彼女には...。

今日は彼女が委員会だったため、茅野先輩と2人での部活動の日。


少しでもと言っていた先輩とのこの時間を大切にしたい。


「ここだけの話でね、都ちゃん遠距離恋愛してる彼氏さんがいるの。毎日連絡取り合ってるくらいにね!」


「そうなんですか?」


驚いた。


というより、遠距離というのが少し気になった。


「都ちゃんが小学校4年生の時に転校した学校で目が合って、これは運命かもしれない!って思いながら、次第に話していくうちに仲良くなっていったみたいで。

中学生の頃から付き合ってるそうよ。フォト部に入って誰かの写真を撮っているのも、彼氏さんの運動してる姿をかっこよく撮りたいのが理由らしくって。」


彼女は俺と同じでどこかへ転校していたのか。


少し環境が似ているのかもしれない。


「都さんは彼氏さんが本当に大切なんですね。」


「うん。とっても...。」


その間に少し違和感を感じた。


「遅れてすみません。委員会が早めに切り上げられたので来ました。」


「丁度いいところに!都ちゃん彼氏さんの写真持ってたりしないかな?」


「ありますけど....何に使うんですか?」


部室に入って早々、そんなこと言われたら驚きもする。


「実はさっきまで都ちゃんの彼氏さんの話をしてて...戸琵くんに見せてあげれたらなと思って。」


「私は...構いませんが..。どうぞ」


少し不満げではあったが、彼女は写真を見せてくれた。


その写真の彼は、細身ではあるもののしっかりとした筋肉を持っていた。いかにも運動部という感じだ。


彼女との雰囲気とは真反対というのが近いと言うくらいに。


「今も成長期というくらいに、身長が高い...。とても優しそうな彼氏さんですね。」


「はい、とても優しく接してくれます。

まだ幼かった時も、私が女子バスケ部員として出た試合で怪我をした時も、そのまま退部してしまった時にも。寄り添ってくれました。」


彼女はバスケが、運動することが好きだったのかもしれない。寄り添った彼氏さんはとても頼りがいがあっただろう。


彼女は普段は見ない、乙女の表情をしていた。


可愛らしい笑みを浮かべて。

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