フォト部。


「どうぞ。」


フォト部の部室は人の写真だらけだった。まるで思い出のように。


「人の写真ばかりで、ビックリしたかな..?フォト部が写真部と名乗らない意味は少し理解出来るかもしれないね。」


確かに、これは写真部というよりフォト部という方がしっくりくるかもしれない。


人をメインの被写体とした写真がほとんどだからだ。


「カメラで何か写真を撮ってみるのは、どうかな。」


と、彼女はカメラを渡してきた。


「ありがとう。」


綺麗なものは確かに好きで、旅行先ではよく写真を撮ったりはしている。だけど、それはスマホでの話で、ちゃんとしたカメラで撮る機会はなかなかない。


「茅野先輩、外の写真を撮りに行っても大丈夫ですか?」


外の、外の空が夕暮れ時の綺麗な色をしていたから。


無性に撮りたくなった。


「どんな写真でも、自分の撮りたいものを好きに撮って大丈夫よ!」


カシャッ📸


俺は、空の写真を撮った。


夕暮れ時の綺麗だけど、少し寂しくて、暗くなるから帰らないと行けないと感じてしまうこの空を。


「今日は、ありがとうございました。おかげで綺麗な写真が撮れた気がします。」


「少しでもいい写真が撮れてたなら、私としては満足よ。」


今までで1番満足のいく写真だった。スマホとこんなにも違うのかと驚きもした。


2人に感謝を告げ、今日のところは帰ることにした。


「戸琵さん!」


「なにか?」


「フォト部は、先輩からのお誘いがあって設立されたまだ新しい部活動なんです。なので、部員が私達2人しかいない...。もし、少しでも興味があるのなら、入部してみませんか?」


驚いた。

彼女が大きな声で俺を呼び止めたという事もだが、意欲的に何かをしている。


そう感じられる言葉だった。


俺は、少し考えてみる。と返事をしてその場を去った。

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