第6話

――――


 本屋を全部洗濯機にでも入れたみたいな大掃除もやった。


 本棚の至る所に、設置された無数の電子書籍を、PRしているスクリーンを取り替えるという蟻のように細かな作業もやった。


 石井さんと商品説明や接客の特訓もやった。

 

「うん?」


 そんなある日。


 本屋で、ぼくは不意に例の何も映っていない本棚に向かって、右手を突っ込んでしまった。ちょうど掃き掃除をしていた時に、バランスを崩したからだ。


 でも、本棚のスクリーンには感触が何もなかった。

  

「あれ?」


 ぼくの右手はスッとスクリーンの中へと入ってしまった。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る