世界魔術師たち
邪霊や巨大ガニを倒しながら、道を進むベイケたちの様子を見に謎の魔術師たちがやってきた。
謎の魔術師は、青いひもで飾った黒装束を着ている。そこに居るようでいて、あるのはただの青いひもだけではないかと思わせる幻惑感を出している。
「おまえたちはギルベキスタのところへ向かっているな」
謎の魔術師がたずねてきた。
「あれは誰だ」
ミシアが警戒していうと、
「あれは魔術師グルダヤだ。東方の世界魔術師のひとりだ」
とベイケが答えた。
「わたしを知っている。やるな。ギルベキスタに挑もうとするだけのことはある」
魔術師グルダヤがいった。
「こんなところへ何の用だ」
ベイケが気合を込めて質問すると、
「おまえたちの見学だよ」
と魔術師グルダヤは答えた。
「魔術師グルダヤの名前は初めて聞いたぞ」
ミシアがベイケにいうと、
「すまない。面倒くさいんで、説明しなかったんだ。他の世界魔術師たちもやってくるかもしれない」
ベイケが答えた。
そして、魔術師ダイツアが現れた。かつて、ベイケが召喚した世界魔術師だ。ダイツアの衣装は赤い。
「まさか、ギルベキスタに挑むとはな」
魔術師ダイツアがいう。
「様子を見に行くだけだ」
ベイケがいうと、
「きっとギルベキスタと戦いになるだろう」
魔術師ダイツアがいった。未来を予測しているのだろうか。
「あなたはギルベキスタより強いのか」
「互角だな」
魔術師ダイツアが答える。
さらにもうひとりの魔術師が現れた。濃赤紫色の衣装を着ている。
「誰だ」
「わたしは魔術師ドービーだ」
ベイケはその名前を聞いて、恐れた。魔術師ドービーも東方の世界魔術師のひとりだ。
「あなたもおれたちの見学に来たのか」
「そんなところだ」
魔術師ドービーが答える。
さらにもうひとりの魔術師が現れた。
「誰だ」
「わたしは魔術師アギリジアだ」
それを聞いて、ノアミーが恐れた。ノアミーが契約相手にしている魔術師だ。アギリジアもかなりの東方の魔術師だ。
世界魔術師が四人、ベイケたちのギルベキスタ来訪を観察している。
確かに、こんな連中に観察されているのは、背筋の凍りつく威圧感だ。
世界魔術師が四人も集まった。この場にギルベキスタもやって来るのではないかという雰囲気がある。
この四人にギルベキスタを含めた五人の世界魔術師がとても仲が良いということをベイケは初めて知った。
五人の世界魔術師は、それぞれ対立して縄張り争いをしているのだとベイケは今まで勘ちがいしていた。世界魔術師たちは協力関係にあるようだ。
五人の世界魔術師の中でいちばん強いのは誰なんだろう。とても気になってしまう。誰がそうであっても不思議はない実力者ぞろいだということは納得できる。
何より、ここに集まってくる魔力の濃度が濃い。むせぶほどだ。
状況の変化が怖い。想定していた敵の戦力が五倍になる可能性もある。
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