ファイル22 ただいまとおかえり
薄暗く、地面はブヨブヨとした肉の感触の中。
「え!?」
アズキさんが心を沈めるカプセルのアンカーを外そうとした時、ユミーさんの瞼が開く。
その眼は赤く染まり、蒼がデトラルに体を乗っ取られた時のようだった。
次の瞬間、心を沈めるカプセルは赤い目のユミーに片手で捻り潰された。
「やあ、やあみなさん!!!昨日ぶりですねえ!!!」
嫌な、聞き覚えの声がした。
「デトラル!!!!!」
ユミーさんを縛っていた、肉の鎖が溶ける。
「なんで!?私が昨日、蒼に宿っている時に魂はもう消したはず!!!!」
デトラルは頭を抱えて笑う
「フフフ!!実はですねぇ、あの、Vさんが、私の首を掴んだ時にはもう、私の魂は幽体離脱をしていたのですよ。つまり、あなたが能力を使った時は、私の魂と蒼くんの魂を入れ替える、インターバルの時だったわけですねえ!!」
「じゃあ、なんで今、お前はユミーの体の中に入ってるんだよ」
「それは、私がこの前、電脳マインドの動作実験をする際にGK04の本部に突入された際、インターネットから出て、魂の記憶を元に体を作る際、少し調整をして魂を二つ収納できるように体を改造したからです。まあ、そのおかげでユミーさんは真っ黒な怪物になってしまったのですが。そして、一番このデットモードを制御できる方法はこのデットモードを受け入れること。今私は猛烈に殺意が湧いている…!!!!!!!いますぐにでもあなた達を血飛沫にあげたいところだが、まあ。我慢してあげますよ!!少しだけ、痛めつけてあげましょう!!!!!」
そういうと、すぐさまデトラル、元といえばユミーさんの体の背中あたりから、爪のようなものが6本。デトラルを包むように生える。
「さあ!掛かってきなさい!!!」
ニヤリと笑うユミーさん。
だが、笑い方は本人がしないような醜く、シワを寄せた、喜びに近い笑い。
「くそ!どうしろっていうんだ…!!!」
「でも、なぜか動かないぞ!?」
「ねえ、僕思ったんだけどさ。もしかして、あのデトラル、あそこから動けないんじゃない?」
「かえでさん、どういうことですか!?」
「感じる限り、今この青の騎士は動いているんだと思うんだよね。そうだろ?兄貴」
『ああ。さっきと相変わらず進行を続けているよ!さっきは戦車とかあったから進まない時もあったけど、今は全く邪魔者もいないからね!!!』
パイロット室にいるアズキさんが答える。
「頭に脳みそがなくて、空洞なのって、本体が脳みそだからでしょ?ということは、あのデトラルが今この青の騎士を動かしてるわけだから、必ずしも、神経のように繋がってると思うんだよね」
「それってもしかして…」
「僕の考察が正しければなんだけど、青の騎士の本体はのユミーの体は何かしら、この体と繋がっていて、その繋がりを切れないから、今はあそこで棒立ちしてるだけなんじゃない?」
「なるほどなへその緒みたいに繋がっているってわけか」
「君たちさあ、そんなにぐずぐずしてていいのかい?」
突然、デトラルが私たちに向かって言ってきた。
「いいってのはどういうことだ?」
「そんなぐずぐずしてると、私が君たちの大事な人、殺してしまうかもしれないのですよ?」
「そんなことできるわけねえだろ。それよりお前から掛かってこいよ?どうしたんだ?まさか、動けないのか?」
「まさか!!!私はこう、動けなくても、この爪を伸ばせば、すぐさま、あなた達まで届くのですよ!!!!」
そう言って、私たちの方に背中から生えた爪を伸ばし、囲むように爪を振る。
ハサミの刃のように迫ってくる爪を私たちは避ける。
「ふん!!小賢しい!!!」
タタさんは腰にかけてあった黒いものを取り出す。
タタさんはそれをすぐに、前の方へと向ける。
突きつけられた銃口からは甲高い音がした。
「すまんねユミー。銃を数発打ち込んでしまうことを許してくれ!!!」
火薬の匂いが漂う。
銃口から出た弾丸はデトラルに当たったはずだが、化け物じみたその体は銃弾が突き抜けることなんてなかったのだ。
「残念でしたね!!!私のこの体は対人戦に関して最強の防御力を持ちます!!!だから、こうやって突っ立ってるだけでも時期に勝ててしまうんですよ!!!」
「それはどうかね!!!」
「は?何をバカなことを言っているんですか?そんな自信満々な顔であなた達の負けはほぼ確定しているのですよ?私はそもそもまだ本気どころか、普通くらいまでの実力すら出していませんよ?」
「ふん!バカはお前だろ。その油断が仇となったようだな。それじゃあ、バイバイだ!!!!!」
「は?」
その直後、デトラルの後ろにいたまつとアクサンは持っていたナイフを使って、背中に繋がっていたホースのような物を切る
「んな!?!?いつの間に!!!!!」
「電脳特殊捜査隊第六課。それは能力者の集まりで、みんなインターネットに入り込む力がある。そして、インターネットから出る力も。俺は前もって、俺のスマホに入ったアクサンとまつを銃を取り出し、勢いよくお前に向けた時、スマホをお前の後ろに投げた。あとはお前が、俺の方によそ見している間。へその緒みてえなホースをぶった斬る。これが俺たちの作戦だよ!!V!!」
「はい!!!!」
私は止めを差すため、全力で走る。
クライチングスタートを完全に決めた私は殺意を持って、左手を黄色に輝かせる。
本当に、これで終わるんだ!!!!!!
あとは私が、左手を頭に触れるだけで!!!!
「それは、怪物を動かすだけの、コードだ。私本体が死ぬわけではないぞ!!!!!」
私が気づいた時にはもう、遅く、私の腹部には何かが刺さったような激痛がした。
「やっぱり生かすのはやめだ。私の力だけで十分。全員死ね!!!!!!!」
「だっはあ!!!!!」
「うう!!!!!!!!!!!!」
「ぐあ!!!!!!!!!!!!」
「残念だったね!!!!これで、世界も終わり!!!!ようやくだ!!!!」
「ユミーさん…」
「あれ?まだ生きてたの?大事なところはもう貫いたはずなんだけどなあ」
「まだ…完全に死んではいないですね…」
「は?何を言っているんだい?」
私に協力して____________
「全く、そこでずっと寝てればいいものを今度こそ死ね!!!!!!」
「あなたは、私を殺せませんよ…」
「は?何を言っているんだ?まあ、いいやバイバーイ!!!!」
「…ほらね殺せないでしょう?」
「え!?な、なんで!?俺の爪が当たらない!?いや!!!起動がズレてる!?」
「あなた、片目が緑色ですよ…」
「え!?まさか!!!ち、近よるなアアアアア!!!!!!!」
「あなたは、私の友人を…世界を敵に回しました…あなたを生かす理由は…ありません。」
「や、やめろ!!!!その左手を近ずけるな!!!!お、俺を…殺すんじゃない!!!!!!!」
「いやです。さようなら」
「幽体離脱ができん!!!なぜだ!!!」
______________逃がさない_________________
「やめろ!!!離せ!!!!!!!」
「ありがとう。ユミーさん」
「ぐ、ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア朝アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああ亞亞亞亞亞亞亞ああ亞亞亞亞亞亞亞ああ亞亞亞亞亞亞亞ああああああああああああああああ亞亞亞亞亞亞亞ああアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「おかえり。ユミーさん」
「…………ああ。ただいま」
おわり
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