ファイル21 私達の作戦と託された思い
朝早く、私が目を覚ますとリビングでは少しざわめきがあった。
「んん…どうしたの?」
私はリビングの端にたっていた蒼に聞いた。
「あ!お姉ちゃん!おはよー!なんか、作戦のメンバーみたいなのを考えているみたいだよ」
「メンバー?そんなの全員じゃダメなのかな?」
「なんか今、タタさん達の仲間?みたいな人がヘリコプター盛ってきたみたいだよ」
「ヘリコプター!?そんなの自衛隊しか使わないんじゃ!?」
「さぁね?」
リビングの中央にいたタタさんとアズキさんが言う。
「それじゃあ、これからユミー救出大作戦のメンバーを発表する!」
「えーとまず、俺、アズキとタタだ!」
タタさんは鼻息を鳴らす。
「次に俺らの里親、成本葉月さんだ!」
アズキさんに名前を呼ばれた、男性が口を開く。
「えーと、その二人は初めましてだね、俺の名前は成本葉月。まぁー平たく言って、パイロット役だ。よろしく!」
その、葉月と名乗る男は最後に軽く会釈をした。
それを見て、私と蒼も葉月さんに向かって軽く会釈をした。
「次に兄貴とアクサン!」
兄貴と呼ばれた白い髪の人物は「はいっ!」と返事をし、黒髪のアクサンと呼ばれた人物は「ほーい。」と返事をした。
「以上だ。」
「え?」
私はタタさんの言葉に耳を疑う。
「え!?何で私たちも行けないの!?」
「そ、そうだよ!!!」
ツヴァイとまつがタタに向かって言う。
「俺はあまりまつやツヴァイにこの作戦で死んでほしくないんだ…それにこの作戦はなにより、インターネット世界での安全な任務とは違う。だから、より確率の高い俺らだけで…」
「何を言っているんですか!!!!」
私は話に横槍を入れた。
「私たちだって、ユミーさんを助けに行きたいんです!!そんな理由だけで連れていかないなんて…!!!許しませんよ!!!!!」
タタさんは私の言葉に少し怯む。
「そ、そうだよ!!!私たちだって行きたいんだよ!!!」
「せめて、連れてってちょうだいよ!!!」
タタさんは私や、まつや、ツヴァイの言葉に頭を抱えた。
「まぁ、いいじゃないか」
そう言って成本さんがタタさんの肩を叩く。
「葉月さん…」
「まぁ、本人たちもそう言ってる訳だし、連れていったらいいんじゃないか?そもそも、俺が八尾から持ってきたヘリは部下達の努力もあって、大人数でも大丈夫な奴だからな」
「あの、プロペラ2個ついてる奴ですか?」
「あぁ。そうだぞ?」
「ぬーん!!」
頭を抱えた末にタタさんは決断をする。
「わーかったよ!しゃーない!皆で行こう、ユミーを助けに!!」
「「やったー!!!!!」」
鼻息を鳴らしたアズキさんは私達の方を見て言った。
「それじゃあ作戦会議しますか!!」
◇◇◇
「射撃、開始ー!!!!!!」
その合図とともに、車に搭載されたミサイルが一斉に撃ち出される。
ミサイルはユミーの方へと飛んでいき、見事、甲羅にあたり、爆発した。
しかし、甲羅に傷一つとして、着かない。
その一方で、戦闘ヘリの射撃や、戦車の大砲も、一斉に放たれる。
「これでもダメか!!!!!」
「怪物、山口防衛戦突破!!!!!」
「ぐぬぬぬ!!!!!」
暗く染まった、司令室では、パニックが弾き起こっていた。
そんな中、次の瞬間、司令室のモニターは砂嵐に包まれる。
________________________________________________
「葉月さん!!カメラだけ、総司令室のモニターに繋ぎましたよ!!」
「ありがとう!!兄貴!!」
『いやーみなさん、久しぶりです!どうも!成本葉月です!』
「な!成本さん!?」
「成本って…!?あの若き天才って言われてた…」
司令室ではざわめきが走る。
『今僕は、この怪物の真上に来ていまーす!!』
「え!?あれって!!!」
「司令官!!!何か怪物の真上に何か反応が!!!」
「も、もしかして!!!」
「あ、あの二つのプロペラ!!!チヌークです!!!輸送用ヘリのチヌークです!!!!」
『分かりますかねえー?このでっかい頭!!!』
「ま、まさか本当に…ということはあの輸送用ヘリが…!!!」
「撤退だ……!」
「え…!?」
「戦車、戦闘機、戦闘ヘリ…全て撤退しろ!!!俺はあの英雄に任せたい…!!」
そういうと、司令官と言われた男は頭に手を掲げた。
「し、司令官…!!」
「俺はこれからの日本の英雄に敬礼してんだよ。俺は任せてみたいんだ。」
「任せてみたい…とは?」
「俺は…成本さんが最後に務めた、青の戦争に副司令官として務めたんだ。あの時、成本さんが何もできずにずっと後悔している事を知っている。だから、今回は任せてみたいんだ。お願いしますよ…!!!英雄さん……!!!!」
兄貴さんが通信を切ると、チヌークのドアが開く。
「これより!!!!ユミー救出作戦を開始する!!!!!第一カプセル投下!!!!!!」
葉月さんの掛け声により、一つの紐に結ばれたドラム缶のようなカプセルが投下された。
「一定の高度に下されたら、アンカーが外れる!!!!」
「これで頭に大穴を開ける!!!!」
落とされたドラム缶のようなカプセルは数秒後黄色に輝き、轟音をあたりに響かせる。
「ぐうう!!!!!」
青の騎士を見ると、頭に大きな大穴が空いていた。
「やりましたよ!!!!これで、ユミーの本体までいけます!!!」
「でもこれってまだ、死んだわけじゃないんだよね!!!!」
「ああ!!これでも斬撃が来る可能性がある!!!」
「そんなこと言ってる側から、攻撃がくるぞおおおおお!!!!!」
ふと、怪物の方を見てみると、大きく空いたを塞がれつつも、何か構えるような体制になっていた。
「アズキ!!!アレを!!!!」
「オッケー!!!!バリア、発動!!!!!!」
私たちの乗っているチヌーク。
これにはある特殊な装備をいくつか積んでいる。
その一つがアリジアルの作った、バリアという私たち現代人から見たら非科学的なものだ。
球体状に生成されるバリアは攻撃の威力を消し、物理攻撃なのであれば、打ち消すことができるらしい。
アズキさんの近くにある、少し小さめのカプセルがそれだ。
これはアズキさんが急に「思い出した」と言って作っていたやつで試して見たところ、効果は絶大。タタさんの本気の鉄パイプスイングを全くものともしなかった。
でも、その代わり、電気の消費量が激しく、このヘリに搭載しているものはせいぜい10秒もつかどうかが限界なのだ。
青の騎士が覇気が一瞬で変貌する。
鉄のようなものが一瞬で当たった音がした。
鉄が甲高く鳴り響く音。
それは耳がはち切れそうな音だった。
「グワアアアアアアア!!!!!!!!」
「うるっさ!!!!」
「今がチャンスだぞ!!!!まつ!!!!!」
「はああい!!!!!!!」
まつは下開きのドアから、青の騎士の頭に空いた大穴目掛けてロープを垂らした。
「いつでも行けるよ!!!!」
「それじゃあ、全員出撃!!!!」
「「うおおおおおおおおお!!!!!」」
私たちはチヌークの後ろの下開きドアから、ロープを伝って青の騎士の頭の中に突入する。
「なんか自衛隊みてえええええええ!!!!!!!」
「アクサンダイジョオオオオオオオブウウウウウ???」
「地面だ!!!!!」
「みんな着地体制に!!!!!!」
ロープによってユミーの頭の中に侵入成功した、私、まつ、ツヴァイ、アズキ、タタ、アクサン、かえでの私たちはは信じられない光景を目にする。
それは、王座のように高く盛り上げられた肉の丘とそのてっぺんに自分の肉で両腕に鎖のように繋がれた、ユミーさんの姿があった。
「ユミーさん!!!」
「ユミーの近くでこのカプセルを発動させればいいのか?」
『ああ!そうしたら、放射線があたりに放たれて、強制的に心を鎮める光を放つ!!』
携帯電話の通話越しにパイロット室にいた葉月さんの声が聞こえる。
「わかった」
アズキさんがそういうと、肉の丘に渡したいは登った。
「カプセル、発動させるぞ!!!」
「これでユミーが助けられるんだね…!!!」
「そうですね…!!!!早く!アンカーを!!!!」
「おう!!」
これでようやく、ユミーさんに会える…
ユミーさんが帰ってきたら何をしよう…
その時、私はユミーさんが赤い目を開くまではそんな考え事をしていたんだ。
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