ファイル15 過去の謎
俺が目を覚ますと、再び研究施設に落ちていた。
ここは?やっぱり、研究所か。
僕はただのマリオネットに過ぎないのか。
「Vの言っていた事は正しかった。俺はただのマリオネットであいつらに糸で吊るされて操作ていた。俺は感情もなく、人を殺すだけの兵器なんだよ」
「…」
一同が黙る。
でも野暮だと思ったのか、言いにくそうにアズキが喋る。
『あ、あのさ、Vってもしかして…』
「うん。この前のGK04の依頼者だよ」
「前にアズキから聞いたけど、お前、Vとはどんな関係なんだ?」
「えーとね」
〔私は情報屋ですよ〕
「「うあああ!!」」
不意に後ろから声がした。
「あ、V!入れたんだね!良かったー!」
〔なんとかいけました〕
Vは俺らのように人型ではなく、アズキのように四角い広告のようなものから声を通信していた。
「こちらが俺の情報屋のVだよ」
〔どうも、情報屋やってるVです〕
「あ、どうも?こんにちわ…」
「俺が今した話もVから聞いて記憶を取り戻したんだ。俺は実験体1号の時の話だけど、皆は思い出せた?」
「いや、まだ何も思い出せない…」
「私も」
「あ、そう…実験の副作用で記憶が飛ぶみたいで、わからないのも当然なんだけどさ」
〔それで、青の戦争の後は、研究は続けられたのですが…〕
「え?なんかあったのか?」
〔実験が失敗したんです〕
「!?」
〔実験機は01〜07までありましたが、途中で08も追加されたんです。そして、08の実験中に実験が失敗したんです。そして、製作者のアリジアル・ズイリス・キマシネアはその実験中に「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」
「うわ!びっくりした、なんだよユミー!!」
「え、えと!えと!V!えとさ!他の話しよう?た、たとえば能力の原理とかさ?」
〔え?は、はあ。いいですけど〕
俺は一つ咳払いをする。
「えーっと俺たちが調べた実験はいくつかあったんだ。みんなにそれぞれ実験のファイルを見せるよ」
俺はみんなに、実験の詳細ややり方などをまとめた紙を渡す。
「俺らの能力源って何か分かる?」
『えーっと、確かなんかのカプセルだったよね?』
「そうなんだけど、俺らは放射線を使って実験されていたんだ」
「ほ、放射線!?」
「うん。放射線ってのは、物質を突き抜けるエネルギーなんだけど、物によってはDNA細胞を破壊することもある。」
「こ、こわ」
「じゃあ説明するよ」
実験1 魂の分離。
魂を体と分離させる。
魂は肉体と紐付いている見えない物質によって身体に魂をとどめているが、それを全て破壊し、分離に成功させる。
紐付いている物質は魂のない肉体に魂が触れることで、結合し、その時一緒に紐付いている物質も一緒になって生成される。
魂は電波による捕獲によって自由を効かなくできた。
幽体離脱時間0.14633秒
「この実験では、要するに幽体離脱をできるようにさせたんだ。放射線5589っていう放射線の個体を研究者のアリジアルが作ったんだ。その放射線は色々な放射線をまぜ合わせていて、実験1の時の放射線5589の作用は魂を体から分離させるという効果を持っていたんだ。」
実験2 細胞の破壊。
魂の分離した体を放射線5589により、破壊する。
完全な無に近い状態となる。
「放射線を使って体の細胞を破壊して、無にするという実験だ。これの意味は後で説明する。」
実験3 細胞の構築。
細胞を構築する。
傷ができたら、細胞の記憶や魂の記憶に沿って再生する能力。
「実験3では放射線5589に浴びた魂は自分の元々の体がなくても、新たに体を作って
幽体離脱の状態から、生きる体の入手が可能となる。つまり、一回死んでも、新しく体が作れるわけ。まあ、これはデットモードの時の話で、デッドモード以外は基本的にこの能力は発動しない」
実験4 魂の憑依できるものを分析
肉体であって、魂の存在しないものなら全て可能。
「これは色々な動物でも全て可能だっていうこと。魂の入ってない猫の肉体に人間の魂が入っても人間の魂と猫の肉体は結合可能ってこと。」
実験5 放射線5589によるDNAの破壊、再構築。
放射線5589によるDNAの破壊、そして魂によるDNAの再構築。
「これはさっきも言ったけど、魂の状態から肉体を作る力。でも、DNAを変える事によって人間じゃない化け物ができる可能性がある」
実験6
コンピューターへのスムーズな出入り。
コンピューターの莫大な普及により、コンピューターを主要とする兵器を操るべく、コンピューターへの侵入などをスムーズに可能にする。
「コンピューターに体を接続するためには、魂の憑依の性質を使う。そのため、体は不要となるため、細胞を全て破壊する必要がある。なので、魂には微弱な放射線5589の発現源となってもらう。そして、コンピューターへの侵入の際、細胞を全て壊し、魂をデータ化。コンピューターからの脱出の際はデータ化した魂を元に戻して、魂の記憶を基に体を作る。そのため、魂の記憶が猫だった場合は人間の魂であっても、猫の体ができる。逆に心が怪物だったら、怪物ができる。」
実験7 インターネットに出入りさせる
魂の能力については、個人差を確認。
「これは俺らの能力の違いが個人差の成長によるもので、全員は本当は7つの能力を使えるということを示しているんだ」
「だから僕はあの時、ユミーの能力が使えたのか!」
「どう?こんなもんだけどわかったかな?」
「?????????????????」
「まつはなんかダメそうだね」
「えと、要するに、俺たちがインターネットに出入りできるのは兵器として利用される目的で、俺たちがインターネットに出入りできる原理は一旦幽霊になってインターネットから現実世界に戻るときは生物として、肉体を作れる力を持っているから…ということか?」
「あ!そう!そんな感じタタ!」
「じゃあ、僕たちが出入りするたびに体が新しくなってんだ?」
「そういうこと!!」
「それで、ユミーが怪物になれるのは、デットモードが存在していて、デットモードになった瞬間に人間のDNAから怪物のDNAに代わってそもそも魂以外は人間じゃなくなるってことだよね?」
「そう!!かえで流石は頭良い!!」
「というか、デットモードは生物兵器にするためのものなんだよね?なんで私達にはないの?」
「えーとそれは…」
〔8号の実験が失敗したとき、体をデットモードにするための制御装置、電脳マインドのコントローラーが破壊されたんです。電脳マインドのコントローラーの仕組みは
アリジアル博士にしか理解できない仕組みだったんです〕
「え?そんなにアリジアル博士って頭いいの?」
〔はい。IQが458あります。〕
『に、人間じゃないな…』
〔そうですね。貴方が言える立場かどうかは知りませんが…〕
嫌味を言うようにVは言った。
『?』
「と、と、と、とりあえず!!電脳マインドの効果を試されたのも俺だけだし、もしかしたら電脳マインドの効果のデットモードの効果が俺の中に少し残っているだけかもしれないから!!お俺は先のGK04との戦いで暴走したんだけど!!もうGK04は特に残ってないから!!もう良いんだよ!!!」
「そ、そうなんだね」
「は、話は終わり!!これが俺らの能力と俺らの過去の話だよ!!」
かえでが深く考え込んだ。
「あれ?でも、僕らってなんで日本に居るの?」
「え?」
「だって、ユミーって海外にいて、海外で実験されてたんだよね?」
「じゃあ、なんで俺らって日本にきたの?」
「た、確かに」
「確かに私も、記憶がなくなってから日本にいて、麻衣さんに連れられて、
「そうだね…でもまあ、MSRもGK04も今はないからさほど気にする必要なんてないんじゃない?」
「まあそうだけど、なんか引っかかるんだよねー」
かえではそう小さな声で言った。
「そ、それじゃあ解散!!」
〔あの、ユミーさん少し良いですか〕
「う、うん!なに?」
〔少し離れたところで話したいことがあるんです〕
「あ、わかった」
俺は会議室から少し離れる。
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僕の気にかかる部分。
やっぱり生物兵器が日本に一斉に集結なんておかしい話のような気がする。
まだ、誰かが糸を引っ張ってる?
いや、それはないか。終わったことなんだよ。考えすぎだ。
「ねえ。かえで」
「ん?どうしたのまつ」
かえでが少し頬を赤くして、僕に声をかけてきた。
「あ、あのさ、なんかユミー、今日変じゃなかった?」
「え、まあ確かに、なんかいつもより弱々しいというか…」
「あ、や…そこじゃなくて!そのさ、Vって言う人って聞くからに女の子の声じゃん」
「え、まあそうだね」
「ユミーさ、さっきまでシリアスな話してたのに、Vって人が入ってきた瞬間、いきなり元気になってなかった?」
「あー」
思い返してみれば…………
「そうだね。一様家族だからあんまりこう言うこと年上の兄ちゃんに言いたくないけど…Vって子がきた瞬間、子供みたいに元気になってたね」
「そうだよね!?よかったー!安心したよー」
確かにユミーはVって子が声を発した瞬間、気持ち悪いくらいの笑顔を顔に貼り付けていた。
正直、その時のユミーは気持ちわるいなんて思ったし
「それに、今なんか、あっちの方にいるけど、ユミー。すごい笑顔だよ?」
「え。どこどこどこどこどこ」
「ほらあっち」
まつが指さした方向に、Vって子とユミーが居た。
ユミーはすごい満面の笑みをしていた。
あんな湯ミーは見たことがなかった。
これまでに一度も。
「もしかして、ユミーってほんとはこの4ヶ月間ずっとあのVって子と一緒に…」
「それは言うな!!!!!もし違ったら代償が大きすぎる!!!」
「そ、そうだね!!!」
「でも、やっぱりあれは…」
「恋してる顔だよ…私あれと同じ顔してる人見たことある!!!」
「それってまさか」
「麻衣さんだよ!!!!!!」
「や、やっぱり!!!」
「てか、ユミーたちなに話してるんだろ」
「まあ、今はいいんじゃない?二人にさせてあげようよ」
「そうだね…」
こうして僕たちはにっこりユミーを眺め続けた。
「ラブコメ見てるみたいだねー!」
「ねー!」
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