ファイル9 アイツの暴走

ファイル9

アメリカ、GK04、データパンク

「はあ、しっかりと防御が硬いな。」

俺は闇組織、GK04の本部へと侵入を図っていた。

スマホに送られてきた任務の内容は、内部の重要人物の暗殺だ。

この作戦は俺と俺の情報屋、Vだけが知っている作戦だ。

GK04の重要人物一人目、クラ・ベルトン。

GK04のボスと言われる存在。

ちなみに、このクラ・ベルトンは司令塔の役割をしているらしい。

なので、いつも司令室にいるのだとか。

「つまり今日は司令室にまで行けばいいってことか」

それで俺は一人でデータバンクにまで侵入したわけだが、まさか、質より量とは。

俺は雑魚のセキリュティの渦に困り果てていた。

『シンニュウシャハッケン!!シンニュウシャハッケン!!』

「今日はあまりセキリュティを避けたかったんだが、仕方ない」

俺は自分の拳に力を溜める。

「いつもはアズキがいるから武器出せるんだけど今日はナイフすらもないからな」

俺は拳と拳をぶつける

青く染まり、広告一つないデータパンクの中は居心地が悪い。

「さっさと終わらせるか」

俺は一つ一つのセキリュティに拳を叩きこむ。

壊れて、溢れ出す機械の破片。

アクションシーンの如く俺はアクロバティックにセキリュティを壊す。

『レベル5ニ、イコウシマス』

「殴りがいがなかったんだ。もう少しレベルは上げても良いけどな」

小さい人型のセキリュティは幾つかに纏まって、少し大きい機関銃のようなものを両手につけた、四輪式のロボットへと変形する。

「意外と見た目はいいじゃん」

『ターゲットカクニン。ハッシャ!!』

俺は即座に横に向かって走り、あらゆる方向から放たれる赤く光るアウトレーザーを避ける。

「ふう。アクロバティックう」

しかし、俺はこんな攻撃では、もちろん倒れるわけがない。

まず俺は一つ、空中へ飛び込んで電撃の走る俺の拳をセキリュティにぶつける。

すぐさま、俺のところへアウトレーザーが飛び交う。

俺は次に二つ目のセキリュティの懐へと飛び込む。

そしてまた、電撃を喰らわせる。

その攻撃に怖気付いたのか、ようやくセキリュティは四輪式のタイヤを使い始めた。

「元からそんなのがあるんだったら使えよ。そういうのは」

セキリュティは一旦距離を取って、また機関銃を回し始めた。

「それくらいの距離なら俺は…」

俺はすぐさま、20メートルは離れたであろう、セキリュティに文字通り、ひとっ飛びで近付くと、すぐさま、電撃を喰らわせ、二つ狩る。

「弱いなあ」

またもや距離をとるセキリュティを俺は追いかける。セキリュティは走りながら、俺に向かって機関銃を撃ちまくる。

俺は上空にジャンプして上から、奇襲を仕掛け、走るセキリュティを一つ、また一つと壊し、気づいた時には全てのセキリュティが壊れていた。

『レベル50ニ、イコウシマス』

カタコトな言葉使いで、データバンク内に響く。

「そうそう。こんくらいが良いんだよ!!!」

データバンクの床が裂け、俺は空へと吹っ飛ぶ

今度は機械的な見た目ではなく、クジラのような見た目をした怪物で、口の中には赤く染まった刃を潜めていた。

「ふふ!ゾクゾクさせやがる!!!」

怪物は虚空に舞っていた俺を一口で今で飲み込む。

「やっぱりレベル50は違うな」

でも、、、、、、、、、、

「それでも俺を捻り潰すことはできないがな」

俺は胃袋を片手で破裂させ、怪物を無惨に肉の塊へと変形させる。

血の雨が降った。


空中覆い尽くすほどの数のクジラの怪物が空から俺を赤い目で睨む。

鋭い刃物のような視線は少し既視感があった。

どこで見たものか。

だがその時の俺を止めることとなるトリガーにはならなかった。

「やっぱり、任務は楽しいなあ!!こんな敵を血祭りに上げれるんだから!!!!」

怪物達は俺に向かって口が裂けるほどまで、開く。

怪物たちは口の奥を赤く光らせ、赤い光線を俺に向かって放つ。

俺は足を全力で回し、閃光の如く、走る。

そして俺は宙に浮いた怪物の真下で足をとめ、真上へと跳ぶ。

すぐ上には、怪物がいて、怪物は腹に大きな穴を開けられ、白目になった。

俺は他の怪物に飛び移り、脳天を潰し

また別の怪物に飛び移り、首を掻っ切り

また別の怪物に飛び移り、地面に打ちつけ

また別の怪物に飛び移り、体内から怪物を破裂させ

また別の怪物に飛び移り、目をくり抜いて他の怪物にぶつける


永遠と止まない血の雨。

俺は子供のようにただ楽しんだ。


赤い色は絶望のような色。


生命が破滅するときに流れる色。


悪人が流す血は見るだけでゾクゾクする。


合法的に、人を殺せることはなんてことのない祝福。


心の中で誰かが言った。


悪人にも命はあると。


心の中でまた別の人が言った。


悪人は虫けら。生きても死んでも変わらない。


俺の正義を壊す人は殺す。


データバンクは怪物の死体で埋め尽くされていた。

「まだまだ足りない。もっと!殺じだい!!」


俺は、データバンクから現実世界へと出る。

出た先は、どこかの暗い部屋。

人間がいっぱいいた。


「し、侵入者!!!侵入者だ!!!!」

現実世界にいた人間は白衣を着た人だった。

暗い部屋には、パソコン一つと試験管がいくつも並んでいた。

俺はここがGK04の本部と一瞬でわかった。

「だ、誰だお前は!?」

白衣を着た人間達は片手に拳銃を持っていた。


銃を持っているのはワルイヒト!!!


気づいた時には体が勝手に動いていて、銃を持っていた白衣の人は頭が潰れていた。

俺には何も武器を持っていなかったはずなのに、人間離れした怪力が猛威を振るった。

聞こえたのは、人間の喚き声と銃の発砲音だけだった。


「か、怪物…」

肉片が飛び散る音


「じゅ、銃が効かない!!!」

血が辺りに飛び散る音


「緊急事態だ!!パソコンから怪物が出てき…」

肉が潰される音


「俺は何もしていな…」

骨が書き出される音


「と、突撃ー!!!」

『うおおおおお!!!!』

無惨に血が散っていく音。

周りには、歓喜の赤が暗い部屋を彩っていた。


「ま、待て!!俺は無理矢理、働かされているだけで…」

本心はこいつが悪者とは言ってなかった。

でも、俺は自分を止められなかった。


ーーーーーーーー待って!!!!!!ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺はを制御出来なかった。


心は泣いていた。


身体は喜んでいた。


直ぐに武装した特殊部隊のような人たちが研究室に駆け込んで来た。

「ターゲット確認!発射!!!」

銃口が光る。

火薬の匂いがする。


アイツは止まらない。

特殊部隊の攻撃も豆鉄砲程度。

特殊部隊は大体20人ほど。

その20人はアイツが真っ二つに切った。

なり叫ぶアラート


割れたガラスには人間じゃない自分が写っていた。

体全体が黒く悪魔のようになり、背中からは爪みたいな羽が生えて、指先は殺人鬼の使った包丁のように血がこびり付いていた。

目は赤く染まり、人殺しには丁度良い。


廊下を歩く重たい足音がする。






「やはり実験は成功だ!!」



昔、そう言って俺を見ていた奴が居た。

ホルマリン越しに科学者は笑って、叫んでいた。




「ハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!」

無惨に散っていった特殊部隊に俺は高々に笑う。

でも怪物が浮かべるその笑みは実に気色悪い。


足元に何かが投げられた。

その何かはたちまち爆発を起こし、土埃が舞う。

その時、不意に頭が地面に落ちる。


「はあ、はあ、はあ。ふう。お前にはこれくらいがお似合いだよ」

一人の特殊部隊の男は俺の頭を踏みつけにし見下した。


途端、その特殊部隊の男には腹に大きな風穴が開く。

「う、嘘だろ」

血をたっぷりと吐き、男は地面に倒れる。

「コンナコトデ、シニハシマセンヨ」

俺の頭は体に持ち上げられ、首の断面でつながる。

「もと通りかよ。俺の命はなんだったんだ…」

涙を流しながら倒れるそいつに俺はニタリと笑い、頭を潰す。

「ザンネンデシタァ!!!」


俺は司令室という部屋に入る。

「クッソきたか!!射撃、開始ィィ!!!」

壁に貼ってあった機関銃が回り始め、あたりの建造物全てに穴が開く。



でも、ゴム鉄砲とさほど変わらなかった。

機関銃の攻撃も虚しく、銃を持っていた人やディスプレイを見つめていた人、全てが

肉塊に変わり果てる。


「あ、あの化け物めぇ!俺の人類の存続のじゃ、邪魔をしやがって!!まだ俺は傷が浅いが、もう時期死ぬだろう。ならば、今のうちにあのボタンを!!!」

生きながらえた重要人物の男は発射という赤いボタンを押す。

「作戦成功、これで人類は生きながらえる!」

だが男は次の瞬間、俺から伸びた、異形の手に頭を潰されてしまった。


「アトハオマエダケダ」

泣いた声がした。

「や、止めて!!私にはまだ見守らないといけない兄弟がいるの!だから、やめ…」

その言葉だけが俺に聞こえた。

俺は死にそびれた女の人に向かって拳を振り下ろす。


「待て!!!」


瞑っていた目を開けると俺の左手は右手を掴んでいた。

「や、やっ…」


だが右手は腹部を突き刺し、ドクンドクンという内臓の子持ち悪さと生暖かさ直に触れることとなった。

「う、うあああああああ!!!」

俺はすぐさま、手を抜くとそれが追い討ちになったのか、死にそびれた女の人は口から血を吐いた。

「や、死にたくな…い」

女の人はその言葉を放ち目から涙を流しながらあの世へと行った。

光の消えたその目は心苦しい目をしていた。

「あ、あ、あ」


俺の中でアイツが俺に語りかけてきた。


「どうだい?人を絶望まで導いた気持ちは?」


「お、俺が、やった、のか?」


「そうさ!君は立派にトドメを刺したんだよ!なんの罪のない人も手にかけるような、大罪人になったんだよ!」



俺は耐えきれず、膝から倒れ、胃の中にあった物をぶちまけた。




「お、俺は!!!!俺はああああああ!!!!!!!」





俺の中で、俺の心にアイツは言ってきた。





























ーーーーーーーーーーおめでとう。これで君も、罪人だ!ーーーーーーーーーー




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