ファイル10 日本の英雄
僕はなんとなく、歩道を歩いていた。
何も無い、信号の色が赤から青に変わる。
僕はなんとなく、白線の上を歩く。
「はあ、今日も負けちゃったなー。なんで僕、キャラ弁になんか負けちゃったんだろー」
僕はなんとなく夏の空を見上げていた。
夏の空は静寂に包まれていて、そっと静まった湖のように、雲ひとつない天気だった。
「もう4時なのに、まだこんなに明るいなんて、やっぱり夏だなー」
僕は部活に入っていない。もしもの事があったら大変だからだ。
まあ、そんな事、なかなかないけどね。
ヴヴヴヴヴヴヴ
スマホがポケットの中で震える。
「まつから電話?何だろう」
僕はスマホを取り、電話に出る
「もしもし〜?」
『あ、かえで!き、緊急事態で!すぐに六課の基地に来て欲しいの!!』
「わかった。今すぐ行く」
僕は早めにその言葉を言うと、自分の持っていたスマホに入る。
ーーーーーーーーーーーーワールドインコネクトーーーーーーーーーーーーーーーーー
電脳特殊捜査隊第六課 インターネット基地
インターネット基地に着くと、みんなが真剣な顔つきで汗を垂らしていた。
どうやらまだ、ユミーが居ないようだ。
「み、みんな!何かあったの!?」
『かえで!緊急の任務だ!』
僕は、アズキから発せられる言葉を疑った。
『今、日本に向かって核ミサイルが発射されたらしい!』
「え?」
『この前に潜入した闇組織のGK04の本部が隠し持っていた核ミサイルが東京に向かって飛行中なんだ!核ミサイルは国一つを滅ぼせる可能性がある!!今から俺らはそのミサイルを止めないといけない!!』
「え、は、早く行かないと!!!核ミサイルってやばいじゃん!!!」
『そ、そうなんだけど、実は今、ユミーに電話が繋がらなくて!セキリュティが居た時、セキリュティを壊すユミーがいなければ、どうしようも無いんだ!!』
「そ、そんな…」
「でも、今ここで諦めたら!!日本が無くなっちゃうよ!!」
弱々しく、まつが言う。
『ユミーが居れば!!!』
「ユミーは何をしてるんだ!!!」
流石に、いつもはふざけてたりする兄貴も今回だけは汗を流していた。
『ユミーに繋がらないのか!ツヴァイ!?』
「今やってる!!!」
『くううう!!!まずいぞ!!!』
アズキもさすがに混乱気味のようだった。
今ここでしっかりと言葉を言えるのは僕だけかもしれない。
「ぼ、僕はここでユミーを待つよりも、自分たちで、進んでいった方がいいかもしれない!!」
『だ、だが!ユミーが!!』
「ユミーにばっかり頼らないで、やれることはやらないと!今の日本で何か行動を起せるのは、僕たちしか居ないと思う!だから!!」
「俺もずっと思ってたんだ。早く行かない手遅れになってしまうってさ。」
「あ、アクサン!」
「先手必勝だろ?こういうのはさ」
『そ、そうだな。仕方ない。今回は俺らだけで片付けるぞ!』
「「ああ!」」
青い光に包まれ、僕らはミサイルのコンピューター内部へと侵入する。
目の前には要塞のような、建物が僕らをギラリと睨んでいる様だった。
「侵入成功!制御してるところを見つけたら、兄貴の
要塞の暗唱番号が必要なロックをツヴァイが全て解く。
「これで全部の扉ぶち破れるよ!!」
「ありがとうツヴァイ!」
要塞の中に突入すると、固定型のトラップセキリュティが僕らを待ち構えていた。
「これは私に任せて!」
まつが声を挙げる
ふうとまつは深呼吸。
「
まつから電撃が周囲に放たれる。
セキリュティはたちまち煙をあげて、輝きをなくす。
「つ、強いねー」
僕はまつの有能さに感嘆する。
これで、一気に開けたんじゃないだろうか。
あらゆる
奥の方に、大きな扉が見えた。
「あれが本体?」
「とりあえず飛び込むか!!」
僕らは大きな扉を弾き飛ばして中に入る。
大きな扉の先には、司令室のように、いくつもの画面が並びんでいた。
「アズキ、どう?」
『えと、今調べる』
カタカタと高速でなるタイピングの音が止むと
『ここだ!兄貴!』
「おう!
画面に兄貴は手を当てて、電気を纏う。
「こ、これで!!」
途端、地面が爆発し、僕たちは宙に飛ぶ。
「う、うわああああああ!!!!」
「ごめん皆!ハッキング出来なかった!!」
爆発し土埃が舞う。
土埃からは、巨大なロボットが姿を露にする。
「こ、こいつってセキリュティ!?」
ロボットの様なセキリュティはユミーの分野だ。
まつの分野ではない。
まつの分野は、壁などに張り付いている。
トラップセキリュティ。
このような侵入者を排除する、自立式のセキリュティはユミーだけが壊すことができる
それでも!!!
『アクサン!!』
「おう!!
アクサンから放たれた電撃はセキリュティに直撃し、セキリュティの動きを鈍らせる。
「皆!このセキリュティはミサイルの制御を守ってるセキリュティだ!こいつの中に本体がある!!」
アクサンの
『かえで!!』
「はい!!
僕はセキリュティの周りに電撃を纏いながら走ると僕が走った所から、砂嵐が覆う。
僕の
『ツヴァイ!!』
「うおらあああ!!!
ツヴァイはノイズの中から、思いっきり、ジャンプして、セキリュティの膝部分をタッチする。
「解除!!!!」
ツヴァイの触れた、セキリュティの膝部分が外れ、セキリュティは仰向けに倒れる。
『今だ!兄貴!』
「本体は大体服部らへんだぞ!!!」
「おう!!」
兄貴は、セキリュティの腹部に両足をつける
「もう一回!!
兄貴は両腕に電撃を走らせ、セキリュティに注ぎ込む。
「うおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
すると、セキリュティが巨大な手を掲げた。
手のひらが赤く染まり、アウトレーザーが溜まっているのが、よくわかった。
一瞬だけのアウトレーザーの巨大放出。
もろに食らっていては今頃アクサンこの世界から追い出されているだろう。
だが、タタがいるんだ。
「セーフ。
『このまま体制を維持できれば行ける!!』
だが、もちろんそんな上手いことは続かなかった。
アウトレーザーを体から発し、セキリュティの近くに居た、兄貴やタタに直撃。
希望と思われていた物が無くなった。
『兄貴!!タタ!!』
セキリュティは起き上がり、僕の出した砂嵐、アクサン能力のウイルスそれを掻き消し、そして、外れていた足もすぐに修復され、セキリュティは万全の状態となってしまった。
「ま、まずい!!この後の策はないぞ!!」
「や、やばいよ!!!」
セキリュティは頭から、赤い光を放ち、あたり一面にアウトレーザーを撒き散らす。
『ま、まずいぞ!!!!』
「みんな避けて!!!」
僕とアズキの声も虚しく、僕とアズキはアウトレーザーを避け切れたものの、それ以外のメンバー。
まつ、アクサン、ツヴァイ、もこの世界から追放される。
「み、みんな!!!」
アウトレーザーに当たると、一週間僕たちはインターネットに入ることが出来ない。
『ど、どうする!!このままじゃ!!日本が!!俺らの日本が死ぬぞ!!!!』
「わ、わかってる!!でも、どうすればいいんだよ!!」
僕の能力はせいぜい目眩し程度。
セキリュティを完全に停止させるような能力はない。
『ユミーがいれば!!!!』
そんなこと何度も思った。
でも、ユミーは今、音信不通。
何故かわからないけど、何度電話をかけてもユミーには繋がらない。
こんな時でもユミーは諦めないで一人で立ち向かうかもしれないけど、僕のは無理だ。
僕はユミーじゃない。
僕はかえでだ。
それでも、この状況を!!!!
僕の国を守りたい!!!!!
第六課のメンバーとして!!!!!!
ふと僕は自分の腕から緑色の電気が放たれていることに気がついた。
「え?これって」
もしかしたら、そうなのかもしれない。
賭けてみよう。もうこれしか僕にできることはないんだから。
「アズキ、一つ、頼み事してもいい?」
『あ、な、なんだ?』
「ミサイルが打ち上げられて、今何分たった?」
『えと、大体1時間だ』
ミサイルの速さは大体、分速100キロあたり、打ち上げられて1時間なら6000キロは移動してる。
日本からニューヨークまでは10887キロあたり、つまり半分は超えていて、今は多分太平洋のど真ん中。
いけるかもしれない
「ねえアズキ、ユミー専用のあいつを仕留められるどでかい武器が欲しいんだ」
『だ、だが、かえででは…』
「いいから早く!!!」
『わ、わかった!!』
カタカタと強くキーボードの叩かれる音。
『で、出来たぞ!!』
「ありがとう」
現れたのはとてつもなく大きい、斧のような武器だった。
『念のため機動性上昇スーツも!!』
僕の体に何かが貼られていく感覚がした。
どうやら、そのスーツのようだ。
「ありがとう!行ってくる!!」
僕は足に力をため、精一杯走り出した。
稲妻のように、僕は駆け回り、あっという間に、セキリュティの足元に居た。
「まずは足いいいい!!!!!」
僕は思いっきり、斧を振り回し、両足を切断。
セキリュティの手のひらが赤くなるのが見えた。
だが、僕はそのレーザーが放たれるよりも先に、セキリュティの両腕を切断していた。
「うおらああああああ!!!!!!」
僕は力いっぱいに武器を振り回し、気づいたら縦に真っ二つにセキリュティを斬っていた。
やはり僕の見立てはあっていた様だった。
僕たちの能力は何故かインターネット上だと電気として現れる。
その電気に僕たちの能力が付与されているらしい。
そして僕から流れていたその電気は正真正銘、緑色で緑色の電気を使うのはユミーだけだ。
だとすると、僕の使っていた能力はユミーの能力ということになるが、なぜ僕は今、ユミーの能力が使えたのだろうか。
でも、まぐれだとしても、僕は日本という国を守れたことが嬉しかった。
「はあ、結局ミサイルは落とすことになるけど、太平洋のど真ん中だし、多分、日本は守られたよね」
僕は安心すると、広告のないインターネット上の空を見ていた。
青く輝く空は頑張った僕たちを祝福してくれているみたいで、綺麗だった。
「空って良い色だよね」
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