ファイル4 青の騎士

円盤上の部屋の中で、白いセキリュティを真っ二つに切ると隠し扉があることに気づいた俺たちは敵組織のデータバンクの中に入り込んだのだった。

「あまり重要そうな情報があまりないけど」

「そ、そうだねー、、、」

俺たちは鉄のような壁で囲まれたデータバンクの中に浮いていたファイルからデータを探していた。

「こっちもダメだ」

「あ、こっちもない」

『なかなか見つからないなー』

「仕方ないよ、この量だからね」

なんとこのデータバンクの中には100を超えるファイルが保存されていた。

空中に浮かんだ鉄の箱のファイルは無重力を感じさせるかのように広がっていた。

「まあ、唯一の救いはハズレにパスコードがかかってない事だな」

ユミーは上の方に浮いているファイルを探す役割だ。足に履いている靴は上昇ホバリング式ブーツ。上昇した時、空中に安定できる装置だ。

「40〜50あたりはダメだ何もない」

『オッケーありがとユミー』

ユミーはファイル59を調べ終わると「ファイル60」に手を伸ばす。

するとビリリとスタンガンを撃たれたような音がした。

ユミーに電気が流れ少し痛みが走る。

「うお!ビックリした」

ユミーは少しずつ手を近ずけると、ビリビリと猫が威嚇するように電気を放出する。

「どうやらビンゴのようだ」


「ぐぐぐ!ダメダァ」

まつは鍵穴に向かって目を凝らしていたが、集中力が切れたことによって後ろの方に倒れる。

「まつ惜しいね、もう少しだったのに」

「一応まつの能力でもパスコードの解除はできるはずなんだよね?」

『まあ、一応な。一応』

アズキは少し申し訳なさそうに言った。

『この中にパソコンのデータバンクに繋がるデータがあるらしい。ユミーとツヴァイは行って来てくれ』

「「はい!」」

俺とツヴァイはずれることなくハモった。

ツヴァイが手をファイルにかざし、俺はツヴァイの方腕に捕まる。

「じゃあ行って来まーす」

俺とツヴァイは電気に包まれてセキリュティを潜っていく。ツヴァイのセキリュティをくぐり抜ける能力、侵入者インバソールは5秒ほどでパソコンに繋がる。

俺らはこのインターネットリアリティに入ると必ずいつかは本当の現実世界に戻らないといけない。

その時、俺らは自分のスマホから出てくることがほとんどなのだが、モニターやパソコン、テレビなどのデータバンクから端末のディスプレイにまるで貞子のように出てくることができるのだ。

(青い光を浴びて出てくるから別にパクリじゃない)

俺らは、目的のパソコンのデータバンクの中に着くと、弾き出させられるようにパソコンから現実世界へと追い出される。

エリア69。この施設はそう呼ばれている。

この研究施設は、何個も別れているがその一つ。

俺は本物の銃を片手に握りしめ暗い通路を歩む。

人気のない通路。それでも壁に隠れながら進む。

今回の作戦はここの研究施設で作られている研究サンプルを持ち出すとのこと。

高校生にやらせるような物ではない気がする。

「こんなところに探し物かい?青の騎士さん」

後ろから男の声がした。

「よく知ってるな。まぁまだ、が出てきてないから青の騎士じゃないけどな」

男はポッケからタバコを一本出し、ふたつきライターを出し、火をつける。

タバコを吸うと、男は

「じゃあ、イージモードか」

と言って、拳銃を出し素早く発砲する。

薄暗い中でも見えた、寝不足のような目、寝起きのようなボサボサの髪、それでもきちんと着こなすスーツ姿。

それは何かのアニメキャラのような服装だった。

俺は弾丸を避け、壁に隠れる。

「サミュエルだ」

壁腰に聞こえた男の声。

「あ?」

「おれの名前。サミュエルだ。冥土の土産くらいは持たせておこうと思ってな」

「なめてんな」

「は?そりゃあ、子供相手に舐めないやつなんていねぇだろ。年齢で決まるんだよこういうのは」

「そんな偏見持ってるやつが未だにいるなんてな」

俺はサミュエルの前に立つ。

「ゲーム、しようぜ。おれの持っているコインが床に落ちたら、銃を手にとってどっちが早く、相手に弾丸を当てるか、勝負しようや」

「子供騙しの遊びだが、面白い。受けてたとう」

「じゃ、決まり」

俺はそう言うと、銃を腰につける。

「俺もそうしよう」

俺を真似してサミュエルも腰に銃をつける。

「3.2.1…」

俺は思いっきりコインを投げる。

コインは宙を舞い、キラリと俺に光を見せる。

コインが最高地点まで達すると、下に落ちていく。

俺にとってはこの時間がとても長く感じた。

パァンとコインが落ちる音がする。

パァンと銃の音が同時に鳴り響く。

俺は思う。集中しているときほど、無我夢中になるほど、出来事は一瞬で、記憶の中に保存されないと。

気づくとサミュエルの手の中には拳銃がなかった。

記憶は無いものの、俺は残りの銃弾をサミュエルの足に全て撃ち込んだことだけは覚えていた。

なので、サミュエルは足からたくさんの血を流していはいたが、特に叫び声は聞こえなかった。

「最後に青の騎士さんに伺いたい。君はどっちだい?い人か、わるい人か、どっちなんだ?」

俺は倒れたサミュエルに拳銃を突きつけてこう言った。

わるい人だ。」

サミュエルの頭からは、綺麗な血が流れ出した。

どうしても青い物よりも、赤く染まった物の方が好きな俺には腹が立ってくる。

「探そう。俺の使命は、それだけだ。」


しばらくすると、研究室があった。

中には人が数人いたが、腹を撃って気絶させる。一番被害の出ない方法だ。

俺は何本かのサンプルと、設計図を持ち出す。

俺はそこら辺にあったパソコンから基地へと戻る。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

電脳特殊捜査官第六課本部ネットワーク基地


『お帰りユミー!』

基地に戻るとアズキの声がした。

「ただいま。他の皆は?」

『少し問題があってみんな帰ったよ』

「なるほどね、そういうことか」

俺は少し残っている気配に気づく。

『俺は少し落ちるよ。銃、置いておくから、いつもの場所で。こっちもお客が来たようだ』

俺は銃を片手に担ぐと、段々と怪物が露になる。

「そろそろここも、潮時か」

空の広告が一気に破壊され、怪物は覇気を纏う。

どろどろとした、高層ビルのような高さの怪物は、一つの目で俺を睨むと、目が赤く染まる。

「これは少し手が焼けそうだな」


その頃、、、、

「ふう、さてと。お客さんは誰かなー?」

パソコンが薄暗く光る部屋でアズキの声がする。

パソコンの隣に置いてある拳銃を手に取ると、椅子から立つ。

少し狭い部屋でカーテンが掛かった窓から離れる。

次の瞬間、ガラス窓が割れ、カーテンを巻き込みながら黒い服装で、ナイフを持った男が狭い部屋で刃を振り回す。

「無駄な動きが多いな。」

アズキは一瞬でナイフを持った手を殴ってナイフを払うと、足を崩して男の体制を崩す。

銃を向けるとアズキは

「どこから来た?」

「ッち!答えるかよ!」

「あっそ。他のみんなはこんなんじゃ、済まないかもね」

部屋に静かに響く鋭い爆発音。

「俺らをただの引きこもり何て思ったら大間違いだからね」

アズキは持っていた銃をパソコンの隣に置くと、ドアノブを掴んで玄関へと向かった。


その頃ユミーは…

「ふぅ、これで終わり!」

大きな怪物にたくさんの穴を開けると、怪物は重苦しい音を発して倒れる。

怪物の死体(?)は青く光り消えてしまった。

「あらら、さすがにデータ解析はしてはくれないか。でもあれ、どこかで見たことがあるような…まあ、いいか」

ユミーは現実に戻ると、アズキと約束したいつもの場所、もとい桜丘こぶし公園へと向かう。

俺は家のドアを開け、暗闇の中をサンプルを限界まで詰めこんだリュックを背負って走る。

ちょっと走ったところに桜丘こぶし公園と書かれた看板が見える。

「あった。」

看板が張られてある網越しにを現実でのアズキの姿を確認する。

「お!ユミー!」

「アズキ、先にいたのね」

「それで?なにか個人で渡すほどのものがあったの?」

「ああ。少しこれを見てもらいたいんだ」

俺は先ほど手に取った紙の束に書いてあったHBFD-5987と書かれたカプセルを指差す。

「これって…」

「これは、俺らの能力の発現原のカプセルだ」

「や、やっぱり」

「そ。それで、ここにも書いてある通りこれを作ったら送られる先が…」

資料には、カプセルの横に日本語で成本半月ナリモトハツキ様と書いてあった。

「ハツキって、司令官、だよな?」

「う、うん。多分そうだろうね」

電脳特殊捜査隊第六課は任務での出撃は司令官の許可なしでは動くことができない。

基本的に司令官は俺らよりも政治で忙しいので、これるわけではないのだが。

「そういや今回も、知らない所からの調査依頼だったぞ」

するとアズキは驚いた顔で、

「え、なんで言わなかったの?」

「いや、人間観察」

実は、俺は六課の連絡係を任されている。

その度に変なメールが来ると暇なので皆んなを振り回したりしている。

「え、えー、ユミーってなんかそう言うとこあるよね」

「ま、まあな。でも、こっちとしても少し興味があったんだ」

「どう言うこと?」

「報酬が欲しい情報だったんだ」

「ほ、欲しい情報?」

俺はスマホを出し、特殊隊宛に届いたメールを見せる。

メールにはこう書いてあった。

『どうもこんにちわ、ユミー様。私の名前は、特にないですがVと最近では名乗っています。それで、本題になるのですが、今度、ある研究施設の調査をしてもらいたいのです。そこでは、人体実験をしている可能性が高いです。そこの実態を調査してもらいたく連絡させていただきました。報酬は情報でどうでしょうか。気に入ったらその時はお願いします』

「絶対怪しいやつだよね」

「まあね、俺はわかってやってたけど」

「マジか」

「とりあえず、調査結果は可能性があると伝えておくよ。あ、そうだこのカプセルは俺がしっかりと預かっておくよ」

「おっけー、こっちも司令官のことについて少し調べてみるとするよ」

「ああ、わかった」

俺らは話が終わり家に向かって走りだすと直ぐにアズキに「ユミー!」と呼び止められた。

「一つカプセル忘れてるよ!」

「おっと!忘れてた、投げてくれ!」

「オッケー!よっと!」

アズキは手榴弾のようなカプセルを俺に向かって投げると、神が狙ったかのように強風が吹き誰かが狙ったかのように近くにあった家の窓の中に入る。

「あ」

「どええええええええええええええええええ!?!?!?!?!?!?」

あまりの奇跡に俺は大声を出す。

「これって、意外とやばいやつなんじゃ」

影裏と書かれた看板の家が掲げられた、家の窓を俺らは覗き込む。

「あれってどんなカプセル?」

「た、多分、体を変形させるカプセル」

「こ、怖い」

「やべ、回収しないとやん」

「あ!やばい!ねえ!ベットみて!なんか男の人がいる!ってクサ!」

「こ、これは近ずけないな…」

「い、いやでも、回収しないと!」

「あ!なんか男の人起きたぞ!」

「こ、これは、ヤバイカモ…」

その時、男は床に落ちているカプセルを取り、作動させる。

「ア」

カプセルは作動すると青い光を放出する。

青い光が放たれるとともに、男は後ろのベットに倒れ込む。

どうやら気絶したようだった。

「よ、よし!今だ!」

俺たちはもぬけの空となったカプセルを回収する。

「あれ?なんかこの男の人ちょっとさっきと違うくなってない?」

「た、確かに。さっきすごい太っててニキビとかエグいほどあったよね?今すごい美肌&痩せ型体型&美少年なんだけど」

「これってもしかして…」

「もしかしなくても、カプセルのせいだろうね」

「てか、こんな直ぐに効果出てくるんだな」

ドンドンと廊下を歩いて近づいてくる音が聞こえる。

「あ!やばい!誰か来るかも!」

「クッソ!とりあえず今日はもう帰ろう!明日にでも聞きに来よう!」

「わ、わかった!」

俺らはその場を去った。

「はあ、はあ。明日にでも事情とかいろんな説明とかしに行かないとだな」

「と、とりあえず、俺、久しぶりに外出たからそろそろ家に帰ってもいい?後のことは明日にしよ?」

「そうだな、もう19時だしね。それじゃあ解散と言うことで」

「うん。じゃあまた明日」

俺らは月光の元、それぞれの家に戻るのであった。



今回だけ作者からのあとがき

この話の最後はまた別の話の1話の鍵となる部分があるからそっちも見て欲しいです!

題名は

「レオさんは今日も災難に遭う」

です!

是非見てね~!











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