第4話:おまえ誰だよ!!

来たばっかで早くも帰りたがるマーラ。

まあ車になんか興味ねえよな。


事務所まで行くまでにマーラは車を触りまくっていた。


「マーラベタベタ触るな・・・指のあとがついてんじゃないかよ、なんでも

かんでも触んじゃねえよ・・・」


でも最近の中古車って案外綺麗な車種が揃ってるんだ。

売れそうにないクソボロの車なんか置いてないんだな。


で、早速事務所に言って店長に聞いてみた。


「すんません」


「あ、いらっしゃい」


「あの、いきなりですけどクソボロでいいんで、この店で一番激安な

車って?・・・」


「ああ〜・・・そうね、そう言うやつならこの事務所の裏に昨日

ちょうど引き取ってきた軽四が一台あるけど・・・」

「だけど、もう店頭に並べられないくらいスクラップ同然だよ」


「走りさえすりゃなんでもいいんです」


「じゃ〜見てみます?」


で、そのスクラップに等しいって言った車・・・まあひと昔前の車って感じ・・・。

まじで?程よいヤれ具合。


「こいつならまだ廃車してないから名変だけでいけるけど」


「じゃ〜これでいいわ」

「で?肝心の値段、いくら?」


「そうね書類作成込み税込で、ジャスト8万ってとこかな」


「8万もするのこれ?」


「けど、うちにそれ以上安い車ないよ」


俺と店長が話してる間マーラは退屈そうに、たれパンダみたいに

ダラ〜っとなっていた。


「ねえ、おじさん、帰ろ?」


「おじさんじゃねえっつううの・・・」

「俺はおまえの兄ちゃんだろうがよ」


「レンちゃん、帰ろ?」


「おまえな〜俺の名前分かってて、わざとおじさんって言っただろ?」

「ったく・・・すぐ終わるから・・・待ってろ」


「じゃ〜これでいいけど、手続きとかしてる暇ないから即乗って帰ってもいい?」

「妹も退屈して待ってるし・・・」


「へ?、妹?・・・この子が・・・娘さんじゃなくて?」


「遅くに生まれたんだよ・・・たしかに俺の娘って思われてもしかたない

くらい歳が離れてるけどね」


「それはまあ、失礼・・・」


「いいから、はい、キャッシュで8万ね」


「じゃ〜領収書発行するから・・・」


「早くしてくれる?」

「あんま待たされるとそのうちこの子がアイスみたいに溶けちゃうから」


「せっかちだね、あんた・・・じゃ〜あんたの個人情報だけくれたら

後はこっちでやるから乗って帰ってもらっていいよ」


「んじゃそう言うことで・・・」


で俺は、そのポンコツにマーラを乗せてマンションへ帰った。


まあポンコツとは言え、ちゃんとオートマだし走りが心配だったけど、

以外と走るもんだ・・・中古でも日本車は優秀なこと。


「ぶいぶい〜・・・ぶいぶい〜」


「上機嫌だな・・・マーラ」


「こういうの乗ったことないぉ、マーラ」


「そうか、これからどこへ行くのもこいつと一緒だからな」


マーラはポンコツを、まるで遊園地のジェットコースターにでも乗ってる

みたいに喜んだ。


「そうだ・・・今度遊園地に連れて行ってやっからな」

「どうせだから、行きたいとこ全部連れて行ってやるよ」


「これからはずっと一緒だからなマーラ」


ポンコツは途中の踏切で一度エンストしたが、それ以外は順調よく俺の

マンションまで帰ってきた。


マンションに帰るなりマーラは買ったおやつを抱えてリビングのソファに

寝そべって楽そうに食べ始めた。


やっぱりそこは子供だわ・・・それが今のおまえに一番必要なものなんだ。

グミにチョコにポテチ・・・山のように買ったスナック菓子をマーラは

次々平らげて行った。


でプリキュアの衣装に着替えて嬉しそうにポーズをとったりしていた。

キラキラしてるよマーラ・・・なかなか似合ってて可愛いじゃないか。


俺はマーラをリビングに残して彼女の生活必需品の整理を始めた。


で、ひととおり片付けが終わったのでリビングにやって来た俺は、

そこで自分の目を疑うものを見た。


さっきまでプリキュア気取りでソファの前にいたはずのマーラがいない。


その変わり?・・・。


「え?・・・・」

「誰?・・・え〜?・・・うそお?」

「マーラは?・・・どこ行った・・・」


「おまえ、誰だよ・・・マーラをどこへやった?」


つづく。

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