第2話:幸福の化身カーマラーナ。
「マーラ、なにやってんだ?・・・宙に浮いてるけど・・・おまえ・・・」
「そんなこと、なんでできるんだ?」
「しかも・・・か・身体の色・・・なんで?、なんで青くなってんだ?」
「なますて・・・あさの、めいそうたいむだお・・・」
「瞑想?」
「それにしたって・・・浮いてるって・・・」
「普通そういうのってヤバい宗教団体の教祖とかがやるインチキパフォーマンスじゃないのか?」
「なに言ってんのか分かんないお」
「だってよ・・・宙に浮ける人間なんていないだろ?」
「マーに聞いたの・・・マーラのご先祖さんは、
「だから、こんなこともできるんじゃないの?」
「マーって?」
「マーは私のママのことだお」
「あ〜お母さんか・・・」
「で?幸福の神様以外に煩悩、欲望、性欲、情熱、憧れ、喜び、耽美、愛とかを
司る神様なんだって・・・」
「おまえ、そんなことよく覚えてるな」
「なるほど・・・おまえは欲張りな神様の血を引いてるのか?」
「さ、めいそうおしまい・・・」
そう言うとマーラは、座禅を組んだまま静かに絨毯の上に降りた。
体の色も青から普通の肌色にもどった。
なんでマーラの肌の色が青い色になるのか意味不明。
「まあ、いいわ・・・その、おまえとは違うそのカーマラーナとやらに
ついて、あとで検索して調べてみるから・・・」
「とりあえず朝メシだな・・・顔洗ってないだろ?」
「朝起きたら顔洗って、歯も磨いて・・・」
「って、言ったって昨日の今日だから、おまえの生活必需品なにも
揃ってないよな」
「朝メシ食ったら近所のスーパーに買い物に行くか?」
マーラは何も言わずうなずいた。
「朝メシって言ったって、トーストにハムエッグくらいだけどな」
マーラはまだ子供だからコーヒーは早いだろうと思って彼女のために
牛乳を温めてやった。
砂糖をちょこっと入れてね。
マーラはハムエッグを「美味しい、美味しい」って喜んで食べた。
ハムエッグが気に入ったのか自分のぶんを食べ終わると俺のハムエッグを
欲しそうに見た。
「これも食うか?」
マーラは嬉しそうに笑いながらうなずいた。
そこはやっぱり子供だよな。
まあこう言う場合は相手の期待に応えてやらないと・・・。
マーラは俺のハムエッグを美味そうに食べた。
インドじゃ、普段どんなもん食ってたんだろう?って想像した。
したけどインドの食いもん知らないから、なにも思い浮かばん・・・。
朝メシを食い終えたマーラにテレビを見させておいて
俺はマーラが言った
マーラの別名はカーマラーナと言って仏教では、お釈迦さんが
悟りを開く禅定に入った時に瞑想を手助けするために現れる神様なんだそうだ。
幸福の神でもあり煩悩の化身でもあるらしい。
煩悩の化身であるカーマラーナにとってお釈迦さんが悟りを開くことは自身の
悟りを開く指針になるらしい。
なるほど・・・お釈迦さんの身よりってわけか。
まあ、西洋の神に比べたらインドの神は日本人には馴染みが薄いからな。
でも煩悩って意味じゃ人間もマーラに学ばなきゃいけないんだろうな。
人間はなかなか悟りなんて開けない生き物だから・・・。
ここにいる可愛いマーラがそんな神様の血を受け継いでるのか。
宙に浮くことと体が変色する以外は普通女の子だけどな・・・。
俺はテレビに夢中になってるマーラを見た。
つうかさ・・・神様が先祖って現実的にはあんま信憑性ないよな。
証拠があるわけじゃなし・・・宙に浮いてたことを除いては・・・。
まあ、いいんじゃないか?
独身男の
まだ俺んちに来て二日目だけど、それでもマーラがいるのといないんじゃ
部屋の空気感が違う・・・。
ペットが我が家に来たみたいな・・・。
そう言う意味じゃマーラもペットみたいなもんだろ?
「マーラ、スーパーに買い物に行くぞ」
これからどこへ行くのもマーラと一緒か・・・。
俺が仕事の時に、部屋にマーラ一人残して出て行くのは不憫だし不安が残るし、
ひとりで寂しい思いはさせたくない。
俺はマンションから歩いての5分とかからないところにあるスーパー
にマーラをつれて買い物にでかけた。
お手々つないで・・・。
マーラは俺を見て、ニコって笑った。
「なにが可笑しい?」
マーラは俺と彼女がつないだ手を指差して言った。
「お手々、つないでるお」
「なに?・・・それが?嬉しいのか?」
マーラはそうだと言うようにうなずいた。
「そうか・・・迷子になっちゃうといけないからな」
安心してくれ・・・まだ俺に馴染めてないだろうけど、そのうちでいい。
俺に心を開いてくれよな・・・たぶんおまえとは一生付き合って
行くことになるだろうからさ・・・。
つづく。
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