はじめまして、あなたの妹です。〜 मैं तुम्हारी बहन हूं.〜
猫野 尻尾
第1話:俺の義理の妹?
俺は「
現在、市内の編集社兼出版社に身を寄せるフリーのルポライター。
ある日のこと。
ジャルシンハ・・・アーラッチラーガなんちゃらって、にわかには
お覚えられないような名前の男から
「これからお伺いしますので、よろしくお願いします」
ってたどたどしい日本語で連絡があった。
なんか怪しい・・・どこか不審。
でもって30分ほどして俺のマンションに見知らぬおっさんと、見知らぬ
女の子が訪ねてきた。
おっさんも女の子も、どう見ても日本人じゃないってのが分かる。
で、女の子は上目遣いに俺を見ていた・・・不安そうな表情で・・・。
訪ねてきた、そのおっさんの名前は・・・
「ジャルシンハ・アーラッチラーガ・トルタ・デーワップヤ・アシャンタ」
スリランカ人?はたまたインド人か?。
そんな長い名前一度に覚えられるかっつ〜うの・・・。
で、どう言う意図で俺のマンションに訪ねてきたのか?
おっさんはその理由をたどたどしい日本語で語り始めた。
どうやら俺の親父が昔、仕事の出向でインドに単身赴任してたらしい。
俺は中学だったか、そことはなんとなく覚えている。
でその親父はインドへ行った時こともあろうに向こうで彼女を作っちゃった
らしいんだ。
たとえ海外であろうと浮気には違いない・・・バカ親父め。
で、ご多分に洩れずその彼女との間に子供ができたんだそう。
よくある話だな。
その後、親父は約一年ほどインドに滞在したらしい・・・だからその間の出来事。
女の子は俺の親父と一緒に撮った写真と親父のイニシャル「A・K」って入った
腕時計を持っていた。
俺の親父の名前は「
間違ってはいなかった。
あとは女の子に関する公式の登録書類一式。
親父が認知したって証明書も含めて女の子の日本国籍もちゃんと取られていた。
まあそれにしたって俺の親父もおふくろももうこの世にはいない。
で、時期を同じくして女の子の母親も他界したらしい。
身寄りがなくなった女の子は天涯孤独に・・・引き取り手のない孤児難民。
女の子は母親が生前、必死で貯めたお金と遺言によって俺を訪ねてきたらしい。
自分にもしものことがあったら日本にいる父親を訪ねて行くようにと・・・。
一緒に来たおっさんは政府の人で女の子を引率して・・・俺のマンションを
訪ねてきた・・・そう言うわけ。
で俺にどうしろって話だけど・・・脳みそをぐるっと検索してみても
女の子の引き取り手は俺しかいない。
たしかに、その女の子の唯一の血縁は俺だけだ、今のところ・・・。
だから女の子は俺とは腹違いの義理の妹ってことになる。
引き取ることを断るって手もあるがそんなの可哀想すぎるだろ。
ってことで俺にインド人と日本人のハーフの妹ができたわけ。
おっさんは必要事項を言うだけ言うと「あとはお願いします」と言い残して
女の子を置いてどこへともなく去って行った。
女の子、俺の妹の名前は「マーラヤーナ・パーピーヤス」。
日本語名は、まあ当然「穴戸 マーラヤーナ」年齢は現在10才。
髪の色は?茶色っぽくてその髪をアップにして頭のテッペンでお団子にしていた。
服は上半身、肌着とペイズリー柄のシャツ、下も同じくペイズリー柄の
イスラムの民俗服のサルエルパンツだかみたいなものを履いていた。
さて、たった今から、俺に家族ができたわけだけど・・・。
15歳も歳の離れた妹だよ。
「あのさ、日本語分かるか?」
「ベラベラだし・・・」
「おお、そりゃよかった」
「じゃ〜さ、マーラヤーナって名前からマーラって愛称で呼んでいいか?」
マーラは小さくうなずいた。
「とりあえず、まあ上にあがりな・・・話はそれから、な」
俺は、リビングまでマーラを連れてきてソファに座らせた。
「分かってるとは思うけど今日から俺と一緒に暮らすことになるけど、
それでいいか?」
マーラはうんってうなずいた。
「長旅で疲れたろ?・・・話は明日でいいか、今日は早めに寝ろ?」
「マーラ喉乾いたぉ」
「おう・・・ちょっと待ってな」
俺は冷蔵庫からオレンジジュースをマーラに持ってきてやった。
「ぷは〜・・・おいしい〜・・・」
マーラが美味そうにオレンジジュースを飲んだ。
今夜はひとりにするのも可哀想と思って俺の寝室で一緒に寝かせることにした。
人んちに来て泣きもせず、気丈に踏ん張ってたんだろう。
マーラは布団に入るなりものの数秒で寝てしまった。
で、そのマーラにまじで驚かされたのは次の朝のことだった。
俺が目覚めると、すでにマーラは起きていて寝室にいなかった。
どこにも行ってないよな、そう思って俺は服を着ると慌ててマーラを
探してリビングを覗いた。
そこで俺が見たもの・・・。
それはリビングのテーブルの上に座禅を組んだ形で空中に浮かぶマーラの姿。
「え?、う、浮いてる?・・・うそお〜」
「たしかに浮いてるよな・・・」
俺はマーラを見ながら彼女の周りをぐるっと一周した。
「浮いてるよ・・・まじで・・・」
マーラは約1メートルくらいの高さで微動だにせずピタッと止まってるじゃん。
「マーラ、なにやってんだ?・・・宙に浮いてるけど・・・おまえ・・・」
「そんなこと、なんでできるんだ?」
「しかも・・・か・身体の色・・・なんで?、なんで青くなってんだ?」
「なますて・・・あさの、めいそうたいむだお・・・」
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます