第4話 虹倉ユウナ(幼なじみ)②

「・・・・・でも、どうせ全部マーク試験だったから123321・・・・・・とか適当にマークしたんでしょ~!」


 幼なじみの虹倉にじくらユウナにいきなりそう言い当てられたので、僕は正直に告白した。


「そうなんだ! 全然わからなかったから、ほんとに123321・・・・・・とかデタラメをマークしただけなのに、まさか1位になっちゃうなんて!」


「えっ! ホントに~? ホントにそれで1位取っちゃったの? 逆にすごいけど・・・・・・。まあ、昔からおふさは運がいいとは思ってたけどさ、どんだけ強運なのよ! でも、それ、絶対誰にも言わない方がいいよ! 運だけで1位取ったとか、きっとめちゃくちゃ馬鹿にされるから! とくに、さっきの・・・・・・なんだっけ?」


 僕は、ついうっかり、さっきの銀髪、碧眼へきがんのほぼ完璧な見た目をした女の人の名前を口にしてしまった。


「・・・・・・旺金林おうごんばやしミレイ・・・・・・さん?」


 でも、すぐに僕は言わなければよかったと後悔することとなった。


「あーっ! 美人の名前はすぐにフルネームで覚えちゃうんだ~! おっぱいもすっごい大きかったもんね~! ずっと見てたでしょ? おふさってホントむっつり巨乳好きだよね!」


 むっつり巨乳好き?


 さすがにそんなふうに呼ばれたのは初めてだったが、なんとなく核心を突かれたような気がして、僕は慌てて必死に否定した。


「みっ、見てないよっ!」


「ホントに~?」


「本当だよっ! かっ、神に誓ってっ!」


「じゃあ・・・・・・あたしのこの・・・・・・かわいい小振りのおっぱいに誓える?」


 ユウナがわずかに顔を赤らめて、小振りだけど形の良い胸を両腕でギュッと寄せて無理矢理に谷間を作って言ってくる。

 

「え? えっ? ぅえっ!?」


 そう僕が思いっきり動揺してしまっていると、ユウナは明るい声でこう言った。


「もうっ! ダメだよ~! こんなことくらいで動揺したら~! なんか噂じゃ、女子に免疫ない男子はみんな悪い女子たちに手玉に取られて脱落しちゃうみたいだよ~! とにかくまぐれでもなんでも一次試験1位で通っちゃったんだから、きっとおふさは今、そういうわる~い女子たちに徹底マークされてるはずだよ。だから、ちゃんとあたしで免疫つけとかなきゃ! あたしと同じ学校通いたいでしょ~? あたし、この学園に受かる気満々だから、おふさも頑張ってよね~!」


 もちろんその噂は僕も知っていたから何か言い返したかったのだが、そう言った後、ユウナは急に何かを思い出したように、「ああ~っ!」と叫んで、どこかに消えてしまったのだ。

 

 すると、その直後、僕はまたしても後ろから声を掛けられたのだった。


「・・・・・・大丈夫ですよ! が味方になってあげますから!」


 振り向くと、そこには男・・・・・・ではなく、どう見ても十歳くらいにしか見えない水色のセミロングの、大きなくりくりした紫の瞳の女の子が立っていた。


 もちろん僕は、と強く感じていた。


 でも、そのくりくりした紫色の大きな瞳に見つめられると、自分の意志とは関係なしに、だんだん警戒心が薄れていってしまうのだ。


 そんな僕にその十歳児にしか見えない女の子はすっかり勝ち誇ったような声音でこう言ったのである。


「おにーさん。魔術士の瞳を安易に見つめたら駄目なんですよぅ。それがどんなにか弱そうに見える小さな女の子でも!」



―――――――――――――――――――

第4話も最後まで読んでくださりありがとうございます!


もしちょっとでも「なんかおもしろそう!」「これは期待できるかも!」と思っていただけましたら、最新話の後に☆☆☆評価をしていただけるとめちゃくちゃうれしいです!

作品フォローもぜひお願い致します!

―――――――――――――――――――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る