第3話 虹倉ユウナ(幼なじみ)①

 旺金林おうごんばやしミレイという、おそろしく美しくて、おそろしくの豊かな女の人がとてもいい匂いを残して立ち去ると、こんな声が後ろから聞こえてきた。



「あーあ、いきなりめちゃくちゃ厄介そうな子に目をつけられちゃったみたいだね~」



 振り返って、その顔を見て僕は一瞬で安心してしまった。


 その声の主は思った通り、幼なじみの虹倉にじくらユウナだった。


 旺金林おうごんばやしミレイほどではないが(ごめん!)、十分に美少女と言っていい、ちょうどいい明るさの茶髪ボブの丸顔の女の子で、昔から周りの男子たちにモテまくっているのに、なぜかいつも僕なんかのことを気にかけてくれるのだ。



「ユウナも・・・・・・一次試験通ったの?」


「当たり前でしょ! 馬鹿にしないでよね! これでも魔術の知識はおふさよりもあるんだから! おふさこそ、のくせによく頑張ったじゃない! 偉いっ! 偉いっ! よしっ! よしっ! よしっ!」



 そう言って、ユウナは愛犬にするみたいに僕の頭をかなり乱暴にでてくる。



「もう! こんなところで頭 でないでよ! ・・・・・・それからそのゼロパーセント男っていうのもいい加減やめてくれない?」



 全く悪意なくユウナが言っていることはわかっていたが、それでもやっぱり嫌だった。

 それに本当は、『おふさ』って呼ばれるのも恥ずかしいからやめてくれって言いたいぐらいだったが(だってなんかみたいじゃない?)、それを言うと幼い頃からずっとそう呼び続けてきて愛着があるらしいユウナが涙目になって怒るだろうと想像できたのでやめておいた。



「え~!? なんで~? 本当のことなんだから別にいいじゃない!」



 そう。残念ながらゼロパーセント男は本当のことなのだ。だから、そう呼ばれても仕方ない。

 普通は職業適性は30%~70%くらいの数値になるはずらしいので、0%なんていうのは、はっきり言ってあり得ない異常値だった。

 でも、そのかわりに実は超マイナー職業である、盗賊シーフの適性値が100%だってことはユウナにもまだ言っていなかった。

 100%ももちろんとんでもない異常値で、なにも努力しなくても世界一の実力者になれるくらいの無茶苦茶な数値であるらしかった。

 きっとそのことを知られたら僕は周りの大人たちに無理矢理に盗賊シーフにされてしまうだろう。

 ここで君にははっきり言っておくけど、僕は小さい時、毎週欠かさすに見ていたアニメの脇役のいつもやさしい笑顔でみんなを励ましていた魔法使いのおじいさん(でも本当は最強の魔法使い!)にずっと憧れていたから(ちなみにそのパーティーに盗賊シーフはいなかった)、いくら適性があっても盗賊シーフなんかには絶対なりたくなかったのだ。

 ずっと僕の将来の夢は使一択だった。

 僕が目指すあのおじいさんのような世界一やさしい魔法使いになるには、世界最強の魔法使いになるのがきっと一番の近道のはずだ。

 アニメでそう学んだ僕は最強の魔法使いになるために、世界で一番有名で、数々の偉業を成し遂げている伝説的な魔術士を大勢輩出しているこのマリエリア魔術学園を受験したのだった。

 でも、一次試験の問題は



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第3話も最後まで読んでくださりありがとうございます!


もしちょっとでも「なんかおもしろそう!」「これは期待できるかも!」と思っていただけましたら、最新話の後に☆☆☆評価をしていただけるとめちゃくちゃうれしいです!

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