第9話 その咆哮の正体は!
俺が
―――グワァァァアアアアアアアッッ!
その、今までのすべてをかき消すような凄まじい
すると、すぐにこんな校内アナウンスが耳に飛び込んできた。
『緊急! 緊急! 校内に魔物が侵入。
そのアナウンスに最初に反応したのは、僕の幼なじみの
「大変っ! SSS(トリプルエス)級って、大災害クラスの魔物だよ! 遭遇したら確実に殺されちゃう! それどころか下手したらこの学園も一瞬で破壊されちゃうかも! ほらっ! 何ぼーっとしてるの、お
そう言ってユウナは僕の手を掴んできたのだが、僕はそれでもそこから動くことをしなかった。
「何してるのっ? お
焦りながらそう言ってくるユウナに僕はこう答えた。
「・・・・・・いや、ごめん。・・・・・・僕は残るよ! SSS(トリプルエス)級っていったら、一生冒険者やってても出会えないような超レアな魔物でしょ? ここで見逃すのは絶対もったいないよ!」
きっとあの魔法使いのおじいさんだって同じことを言っていたはずだ(年を取っていても好奇心に満ちあふれた人だったのだ)。
「何バカなこと言ってんのっ? もったいないもなにも殺されちゃったらどうしようもないでしょ?」
僕がユウナに呆れられながらそう
「
すると、その言葉に反応してすぐにユウナが声を上げた。
「何言ってるのっ? あんたまで! SSS(トリプルエス)級だよっ! 遭遇したら死んじゃうかもしれないんだよっ? うんん、確実に殺されちゃうっ! わかってんの? 二人ともっ?」
それに僕が何か答える前に、
「将来冒険者になってダンジョンとか魔界でガッポリ稼ごうってやつが何ビビってんだよっ! SSS(トリプルエス)級の魔物なんて動画撮影できただけで、もしかしたら億万長者になれるかもしれねえんだぞ? お前こそ、そこんとこわかってんのか?」
「わかるわけないでしょっ? バカじゃないの? ・・・・・・お
寂しそうにそう言って握っていた手を離したユウナを見て、僕は一瞬決意が揺らぎそうになったが、それでもSSS(トリプルエス)級の伝説クラスの魔物をこの目で見たいというあの魔法使いおじいさん譲りの好奇心には勝てなかった。
◇
「・・・・・・つーか、お前、あんな別れ方して大丈夫だったの? 幼なじみじゃんね? あの女?」
凄まじい
「・・・・・・たぶん、全然大丈夫じゃないと思う」
そう答えると、
「だよなぁ!」
と言って、
それがなんだか無性にムカついたので、僕は負け惜しみみたいにこう言ったのだ。
「・・・・・・でも、ユウナをちゃんと避難させられたのは良かったかな」
「はっ? なにっ! それ? カッコつけやがって! そんなのたまたまじゃん? もみっちの手柄でもなんでもないじゃんか!」
「・・・・・・それはそうだけど。・・・・・・ていうか、ずっと気になってたんだけど、そのもみっちって何?」
「何ってお前のあだ名じゃんか! もしかして・・・・・・もみっち よりもみちんの方がよかったりした?」
僕は思いっきり首を横に振った。
なんだかわからないが、もみちんだけは絶対に嫌だった。・・・・・・なんか
「そっか! そっか! じゃあ、もみっちで決まりってことで! それじゃ、お前も全然あだ名で呼んでくれていいぞ!」
「あだ名って?」
「そりゃ、ジュリア様に決まってんじゃんか?」
「えっ? 嫌だよ、そんなの! なんで同級生のことを様付けしなきゃいけないの?」
「そうか? ・・・・・・じゃあ、仕方ねえなあ。特別に・・・・・・ジュリアって呼んでもいいぞ! あの、なんだ、その、幼なじみ・・・・・・いや、こっ、恋人みたいにっ!」
「へっ?」
そんな情けない声を出してしまったその直後、僕はやっと気づいたのだが、話に夢中になっていた僕たちはいつの間にかそのSSS(トリプルエス)級の魔物に驚くほど接近してしまっていたのだった。
―――グワァァァアアアアアアアッッ!
すぐ近くで聞く
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第9話も最後までお読みいただきありがとうございます!
もしちょっとでも「なんかおもしろそう!」「これは期待できるかも!」と思っていただけましたら、最新話の後に☆☆☆評価をしていただけるとめちゃくちゃうれしいです!
作品フォローもぜひお願い致します!
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