第91話男性からのエリアスに対する気持ち

 リステアードside


 エリアスが余のためにブリュンヒルデと戦うことになった。

 嬉しいが、流石に相手が悪い。


 ブリュンヒルデの恐ろしさは余が一番分かっておる。


 試合が始まった。


 試合は予想外にエリアスが押しておる。

 それと余の身に異変が起きておる。


 エリアスの試合を見ておると、余の胸がトゥンクトゥンクいっておる。

 余は男色の気はないと断言したい。


 だが、この思いは何だ……?

 エリアスから目が離せない。


 そして、結果的にエリアスが勝った。

 まだ余の胸はトゥンクトゥンクいっておる。


 余は男に興味はない。

 だが、エリアスは別ということは通らないのであろうか……?





 カイside


 エリアスがブリュンヒルデ先輩と戦うだと……? よせよせ、死に行くようなもんだぞ。


 試合が始まった。


 予想外にもエリアスは善戦している。

 というより、エリアスが押してないか……?


 エリアスの試合を見ていると俺の身に異変が起きた。

 俺の胸がトゥンクトゥンクいってる……?


 そんな馬鹿な……俺にはリズベット会長という心に決めた人がいるんだ。

 近くで観戦しているリズベット会長を見てみた。


 俺の胸はときめかない。

 エリアスを見た。


 俺の胸はトゥンクいってる。

 あああああぁぁぁぁぁ! 俺はおかしくなってしまったのか……?


 試合はエリアスが勝った。

 俺の胸はさらにトゥンクトゥンクいっている。

 エリアス、お前はなんて罪深い男なんだ。





 フバードside


 エリアス君がブリュンヒルデさんと戦う。

 ふう、これで忌々しいエリアス君が消えてくれるのですね。


 ブリュンヒルデさんと戦って、彼も生きていられないでしょう。

 これで、リズベット会長と私の恋路を邪魔する者がいなくなります。


 試合が始まりました。


 おかしいですね……。

 エリアス君がブリュンヒルデさんを押しています。


 そして、私の体もおかしいです。

 エリアス君を見ていると、胸がトゥンクトゥンクいっているのです。


 試合はエリアス君が勝ちました。

 私の胸はさらにトゥンクトゥンクいっています。


 私のエリアス君への想いは抑えられそうもありません。






 ヴィルヘルムside


 馬鹿野郎、エリアス! ブリュンヒルデと戦うなんて死にに行くようなもんだぞ!

 俺はお前に死んでほしくない。


 試合が始まった。

 予想外にエリアスが押している。


 試合を見ていると、俺の身に異変が起きた。

 エリアスを見ていると、俺の胸はトゥンクトゥンクいっている。


 俺とエリアスは長い付き合いだ。

 そういう目でエリアスを見ていいわけがない。


 と、自分に言い聞かせるが、俺の胸はさらにトゥンクトゥンクいっている。


 試合はエリアスが勝った。

 俺の胸はさらにトゥンクトゥンクいっている。


 長い付き合いだからそういう目で見たらいけないというのは、本当にそうなのだろうか……? 長い付き合いだからこそ愛情が育まれて……って、俺、エリアスに愛情を感じてるのか……?


 そういや、あいつ昔から女性に囲まれてたな。

 その女性たちの気持ち、今なら分かるかもしれねえ。





 レオンside


 レイラから突然、使者を通じて連絡があった。

 ハーフエルフの娘を、エリアスの妹にして欲しいというのだ。


 何なのだ、その願いは……。

 いいだろう、いいだろう、聞けばその願いはエリアスの願いでもあるという。


 パパ、何でもエリアスのお願い聞いちゃうぞ。


 レイラからの話によれば、私は何もしなくても良いとのことだった。

 どういうこと……? 聞けば、半魔の庭には認識を操る魔法を使う者がいるとのことで、その魔法でハーフエルフの娘は皆から初めからディートリヒ家の人間だと認識されるそうだ。


 何それ……? こわ……そんな魔法あるのかよ。





 レイラから紹介されたハーフエルフの娘は、可憐な少女だった。

 それと気になることが。


 あれ? エリアスに似てね? 初対面だが、この少女を守らねばと思った。

 愛する息子に似ている少女を、フィオナを。


 私もフィオナと一緒に魔法学校に入りたいが、それは許されないだろう。

 エリアスとずっと一緒にいられるなんて、フィオナが羨ましい。


 ま、いっか。

 エリアスが幸せなら。

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