第90話エリアスVSブリュンヒルデ

「どうなってんだよ、おい? エリアス君とブリュンヒルデさんが戦うことになったぞ」


「流石にブリュンヒルデさんだろうな。エリアス君も強いがまだまだブリュンヒルデさんには勝てない。と言うより、誰もブリュンヒルデさんには勝てないって」


「確かに。エリアス君も勢いあるけど、才能と経験が段違いだ。相手が悪い。今回は適当に相手してやり過ごすべきだ」


 観客席の声が聞こえてくる。

 どうやら観客席はブリュンヒルデ先輩の勝利を確信している様だ。


 そんなことはさせない。






 俺とブリュンヒルデ先輩は対戦舞台に上がった。


「まさか、こんなことになるとはね。エリアス君、本当に良いんだね?」


 ヴァルデマー学校長から再度確認が入る。


「ええ、決めましたから」


 ここまで来て退くわけにもいかない。


「では、駒は何を賭ける?」


「エリアス、まさかポーンを賭けるとは言わないよな? ボクにあれだけのことを言ったんだ。それなりの駒を賭けてもらわないとね?」


 確かに。

 ブリュンヒルデ先輩の発言に看過できないところがあったとはいえ、俺も啖呵を切ったんだ。


 ここでポーンを賭けるということが許されるわけがない。


「俺は……キングを賭けます」


「エリアス!」


「エリアス君!」


 みんなから沈痛な声が上がる。


「エリアス君、それはちょっと……考え直してくれないか? 私は君のことを買っている。優秀な生徒だ。退学して欲しくない。君の研究はこの国の民を豊かにした。いくらでも研究費は出す。私は君のことを手放したくない」


「学校長、俺のことを買ってくれてありがとうございます。でも、学校長も俺が負けると思っているんですね?」


「そ……それは……」


「はは、そうだよ。学校長だけでなく、観客席の声も聞こえただろ? これがみんなの総意だよ。ボクが一番強いって。ボクには誰も勝てないって。はははは、あーはっはっは!」


「学校長、決まりました。俺はやっぱりキングを賭けます」


 俺の中で決心した。

 このまま見下されたまま終わりたくない。


 例え退学になるとしても。


「くっ……分かった。ブリュンヒルデさんはどうする?」


「ボクもキングで。ここでボクがポーンなんて言ったら、誰も納得しないでしょ」


「ブリュンヒルデさんまで……私は君も失いたくない……」


「ああ、学校長、心配しないで。ボクは勝つから」






「おいおい、エリアス君かブリュンヒルデさんのどちらかが退学することになったぜ」


「すげえ面白い展開なんだが、心臓に悪いな」


「確かに。どうなるんだ? この結末」


 観客席は騒然としている。

 全学年序列上位のどちらかが退学することになったから。






「それでは、始め!」


 ブリュンヒルデ先輩の肩から、黄金の翼と漆黒の翼が生える。

 あれを攻略しないと、俺に勝機はない。


「行くよ、エリアス!」


 ブリュンヒルデ先輩の翼が襲ってくる。

 俺はそれを高速回避する。


 躱しても躱しても、翼が襲ってくる。

 それでも食らうわけにはいかない。


「わ~お、凄いね。エリアスの試合は何度か見たけど、目の前で見るとさらに素早い。僕の攻撃をこんなに躱したのは、この学校でも魔王軍でもいない。ワクワクする! 楽しい! 最高だ~!」


 ブリュンヒルデ先輩はリステアード様と戦っている時とは別人のように楽しそうだ。

 子供の様にはしゃいでいる。


「ブリュンヒルデ先輩こそ俺の動きが見えてるんですね?」


「何とかね。ギリギリ追えてるだけだよ。その動きの秘密は何? あ、教えてくれるわけないか、はは」


「俺は純粋な魔法使いじゃなく、剣士出身なので。動きで魔法使いに負けるわけにはいきません」


 この試合で全てを出し切ると誓った。

 もう、手の内とか余力とか考えない。


 もう知られてもい。

 知られても困ることはない。


「ひゅ~、太っ腹~、エリアス。そういうことが最高に好きなんだよね」


 また好きと言われた気がする。

 気のせいか。


「ルイーサを初めて見た時素早い奴だと思ったけど、そういう秘密があったんだね。ボクも剣を学べば良かった」


 ブリュンヒルデ先輩は剣が使えないのか。

 俺は、純粋に魔法のみを学んだ来た強さがある。


 魔法勝負では、俺は分が悪い。

 この素早さを活かして戦わないと。


 翼の攻撃が飛んでくる。

 一発一発が即死級の攻撃だ。


 一発でもまともに食らえば命はないだろう。

 でも俺の心は昂っていた。


「はは、エリアス。楽しんでいるのか? 口角が上がっているよ」


「まさか。こんなことはもうお終いにしたいですよ。早く帰りたいです」


 俺は笑っているのか? この極限の緊張感の中で。

 そこまで戦闘狂だったのか? 自分自身に呆れてしまう。


「発言と表情が合ってないよ。まだまだ行くよ!」


「もういいですって。負けて下さい」


 躱しても躱しても攻撃が飛んでくるが、目が慣れつつあった。

 俺も隙をついて魔氷竜と魔雷竜で攻撃する。


「く……」


 魔法障壁で防がれ威力が減衰したが、多少ダメージを与えられた。


「やるじゃないか。ボクにダメージを与えたのは君が初めてかもしれない」


 まじか……? 魔法試合とか魔王軍との戦いとかしてきてダメージを負ったことがない……? そんな化け物、実際にいたのか。


「楽しいよ。僕の攻撃を躱したのも、僕にダメージを与えたのも君が初めてだ。ボクと互角に戦える者がいるなんてね。驚愕しているよ」


「互角なんて買い被りすぎですよ。俺は全力なのに、ブリュンヒルデ先輩はまだ余裕があります」


「それじゃ、ボクの全力を見せちゃおうかな。まだまだ付いてきてよね、エリアス」


「手加減してくれてもいいですけどね」


 ブリュンヒルデ先輩の攻撃はさらに苛烈になるが、俺は高速で躱す。


「エリアスって凄いよね。生死をかけた戦いでも減らず口が叩ける。他の奴らは悲壮感が漂うのにね。どういう心境なの?」


「そりゃ、俺だって死ぬのは怖いですよ。だからといって、そこで縮こまって硬くなっていたらそれこそ命取りです。無理やりにでもリラックスしないと対応できません」


「なるほど、勉強になるね。エリアスと話していると楽しいよ。一生こうしていたいよ」


「勘弁して下さい。帰って寝たいです」


「ほら? また減らず口。はは、怒りはないの? リステアードを馬鹿にされた」


「そりゃ、心の中にはありますよ。でもその感情に囚われたら負けます。今は勝つことだけに集中です」


「君は何を言っても戦闘が乱れることはないんだね。戦闘前は激昂してたからどうなるかと思ったけど、戦闘が始まると冷静になった。中々手強いね」


「でも戦闘が終わったら、リステアード様に頭を下げてもらいますよ。馬鹿にしたことは今でも許してないですから」


「分かってる。それも君がボクに勝ったらだけど。そんなこと起こりえないけどね」


 ブリュンヒルデ先輩は俺のことを認めてくれているけど、自分が負けることは全く予期していないようだ。


 ブリュンヒルデ先輩が双翼で攻撃し、俺はそれを躱す。

 俺はその隙をみて魔氷竜と魔雷竜で攻撃し、ブリュンヒルデ先輩は魔法障壁で防ぐが、多少のダメージを与えるという攻防が続いている。


 油断ではないが、俺の方が有利なのではという思いが脳裏をかすめる。

 俺にダメージはないが、ブリュンヒルデ先輩に少しずつではあるがダメージが入っている。


 それと俺は違和感を感じている。

 攻防を続けるうちにブリュンヒルデ先輩の双翼が小さくなり、ブリュンヒルデ先輩の動きが鈍くなっている。


 もしや……俺は思った。

 ブリュンヒルデ先輩は今まで一瞬で試合を決めてきたので、長期戦の経験に乏しいのではと。


 スタミナ切れを起こしている。

 魔力量は俺とは桁違いなので、魔力切れを起こしているとは考えにくいが、これはチャンスなのでは?


 罠の可能性もあるが、ブリュンヒルデ先輩の正確からして真っ向から勝負して相手を捩じ伏せたいと考えるだろう。


 俺はルイーサ様とアルベルトを破った、魔氷竜と魔雷竜の連撃をブリュンヒルデ先輩に叩き込んだ。


「ぐ……がは……」


 ブリュンヒルデ先輩は吹き飛び、地面に勢いよく落下した。






「おいおい、何が起こっている……?」


「ブリュンヒルデさんがダウンした……?」


「こんなこと今まであったか?」


「い、いや。信じられない」


 観客席は騒然としている。

 それもそうだろう。


 人生で一度もダメージを食らったことがないと言っているブリュンヒルデ先輩がダウンしたのだから。


「くっ……やるね、エリアス。魔法攻撃を食らうというのがこんなに痛いとは……」


 俺の仮説は合ってたのかもしれない。

 それに攻撃を食らったことがないから、魔法防御が低いという発見もあった。


 ブリュンヒルデ先輩は攻撃してこない。

 今までは苛烈な攻撃が続いていたが隙だらけだ。


 今なら行ける。

 クリストフとの五年間の修業の成果。


 エミリーとの勉強の結果。

 ワルモンド副学校長から授かったケーリュケイオンの力を。


 ブリュンヒルデ先輩が双翼を振るってくるが、俺はそれを切り裂いた。


「何!?」


「魔光剣」


 アルベルトを正気に戻すために、俺が手に入れた力。

 クリストフと五年間光魔法の修業をしていた。


 それがエミリーやワルモンド副学校長の助力で結実した。

 アルベルトに使う予定だったのは、攻撃性能を弱くして、刃に解呪魔法を纏った魔光剣断罪だったが、マリーヌ先生に制止されてしまった。


 あの時、強引に使ってアルベルトを正気に戻せば良かったが、過ぎたことを言ってもしょうがない。

 今は目の前の試合に集中しないと。


「まだ力を隠し持っていたとはね。面白い」


「今こそ貴方を超えさせていただきます」


「言うね。ボクは甘くないよ」


 ブリュンヒルデ先輩の双翼が襲ってくる。

 俺はそれを魔光剣で斬り払う。


 その攻防を繰り返していると、ブリュンヒルデ先輩の双翼がさらに小さくなった。


「ブリュンヒルデ先輩、決着の時です!」


「言うね。来なよ、エリアス。お姉さんが受け止めてあげるよ」


 俺は正面上空から魔光剣を振り下ろし、右から魔氷竜、左から魔雷竜の連撃を放った。


「ぐっ……がは……」


 ブリュンヒルデ先輩は吹き飛び、地面に落下した。


「おいおい、またダウンしたぞ、ブリュンヒルデさんが……」


「ああ、分かってる。でもいまだに信じられない。俺は夢でも見ているのか?」


「現実だ。よく見てみろ。目の前で来ていることは本当に起こっていることなんだ」


「歴史が塗り替えられるのか? 今まで続いたブリュンヒルデ不敗神話が敗れるのか……?」


 観客席は驚愕と騒然が入り混じっている。


 ブリュンヒルデ先輩は起き上がってきた。

 そして俺に向って手を差し出してきた。


 それは手の平を向けて魔法を放ってくる様子ではなく、握手を求めているように見える。


「ボクの負けだ。もう余力はないよ。お互い死力を尽くして戦ったんだ。最後に握手してよ」


「しょ……勝者エリアス!」


 ブリュンヒルデ先輩が負けを認めた……? 俺の勝ちなのか……?


「う、うおおおおおおぉぉぉぉぉ! エリアス君が勝ったぁぁぁ!」


「マジかぁぁぁ! 五年以上続いた不敗神話が崩れたぁぁぁ!」


「エリアス君、スゲエェェェ! 本当にやり遂げたぁぁぁ!」


「か……勝ったのか……? 俺が……?」


 観客も驚愕していたが、俺自身が一番驚愕していた。


「どうしたんだよ、エリアス? 握手してくれないの? 冷たいなぁ!」


「あ、すみません」


 俺はブリュンヒルデ先輩に駆け寄って握手した。


「ふふ、エリアスの手って温かくて柔らかいんだね。ふふ、強いのに可愛いね」


「からかわないで下さい、ブリュンヒルデ先輩」


「約束は守るよ、エリアス」


「?」


 対戦舞台と観客席を隔てていた魔法障壁は解除されていた。

 ブリュンヒルデ先輩は対戦舞台を降りて、リステアード様に駆け寄った。


「リステアード、ごめん。エリアスを焚きつけるためとはいえ、君を侮辱して利用してしまった。本当は君のことを弱いなんて思ってなかったよ」


 ブリュンヒルデ先輩は深く、深く頭を下げた。


「ブリュンヒルデ……そんなことだろうと思っていた。余を侮辱すればエリアスが激昂してお前に試合を申し込んでくると。余を侮辱したことは許すが、余を利用したことは許せぬ。ふふ、冗談だ。それに世辞は良い。もう余はお前やエリアスみたいな化け物とは違うことは分かっておる。身の程を知ったのだ、余は」


「リステアード、酷いな。化け物なんて」


「ふふ、仕返しだ」


「もう、リステアードったら。ははは」


 ブリュンヒルデ先輩はプクっと頬を膨らませた。

 思わず可愛いと思ってしまった。


「エリアス、心配したのよ!」


 ミラ様が駆け寄ってきた。


「申し訳ないです、でも勝ちましたよ」


「見たわよ……凄い、凄いよ、エリアス……う……うう……」


 ミラ様を心配させてしまった。

 もうちょっと余裕をもって戦えればこうはならなかったのにな。


 まだまだ俺も研鑽不足だ。


「エリアス君……」


「イルザさん」


 イルザさんも心配させてしまったかな。


「感動いたしましたわぁぁぁ! 何て試合をなさるのですか、貴方はぁぁぁ! 凄いですわぁぁぁ! 尊敬いたしますわぁぁぁ! うわあああぁぁぁん!」


 イルザさんは心配したというよりも、感極まっているようだ。


「エリアス……」


「アンナさん」


「なんてことをあんたは成し遂げたのよ! 凄すぎるわよ! 今でも信じられない。それなのにあんたはいつも通り飄々としてるし。偉ぶらない。あんたがあたしたちの大将よ!」


「いや、俺は別に大将じゃないよ……」


 俺は人の上に立つべき人間じゃない。

 性に合わないし。


「エリアス君」


「え?」


 初めてハンナさんから名前を呼ばれた。


「どうしたの、エリアス君?」


「え、だってハンナさんから名前を呼ばれたから」


「名前を呼んじゃ駄目だったの?」


「そうじゃないけど、いつもは全然喋らないのに」


「いつもは心の声で喋りかけてたわ。聞こえなかったの?」


 心の声で喋りかけてたのかよ! とはツッコめなかった。


「ごめん、聞こえてなかった。読心魔法が使えたらよかったのにな、あはは」


 どの返しが正解か分からなかった。

 俺は適当な返しと、愛想笑いしかできなかった。


「あははははははははははは、あーはっはっは! エリアス君、可笑しい。あはははは、はーはっはっはっは! もう、笑い死んじゃうじゃない!」


 何故かハンナさんの笑いのツボに入ったようだ。

 ハンナさんの笑いのツボが分からない。


「それにしても凄かったわね、エリアス君。五年以上無敗だったブリュンヒルデさんを負かすなんて。序盤は彼女の魔法を躱して、魔力を消耗させたわね。そして彼女の双翼が衰えたところを魔氷竜と魔雷竜で徐々にダメージを与えたわね。同じ様な攻防が続いたけど、無傷のエリアス君と徐々にではあるけど、ダメージを受け続けたブリュンヒルデさんでは、後半の展開の影響が違ったわね。ここまで計算の内かしら? そしてブリュンヒルデさんに隙が出来たところを、魔氷竜と魔雷竜の連撃で彼女をダウンさせた。観客も驚愕してたわね。さらに魔光剣とはね。まだ力を隠し持ってるとはね。その魔光剣でブリュンヒルデさんの双翼を斬り払い、彼女をさらに消耗させた。最後は魔光剣と魔氷竜と魔雷竜の連撃ね。勝負が決まったときは痺れたわ。エリアス君、貴方は歴史を塗り替えたのよ。誇っていいわ。エリアス君、貴方は強い!」


 ハンナさん、凄い分析力だな。

 俺たちの戦いを短時間で完璧に分析している。


 本当に凄いのはハンナさんでは? そして、凄い喋っている。


「エリアス君、凄かったですの!」


「ハリエットさん、ありがとう」


「ハリエットは研究漬けで強くないですけど、いつかエリアス君みたいに戦ってみたいですの」


「いやいや、ハリエットさんは強いって」


「?」


 ハリエットさん、自分の強さに気付いてないのかよ。

 同級生では、俺、アルベルト、イルザさんに続く実力者だけど、自分の強さに気付いてないようだ。


「エリアス君……」


「エミリー」


 エミリーは、アルベルトのことがあるのに、観戦に来てくれていた。


「見に来てくれていたんだな。嬉しいよ」


「エリアス君の試合は見に行く。必ず見に行く。そう決めたんだから」


「ああ、ありがとう、エミリー」


 エミリーからは強い意志を感じる。

 そんなに俺の試合が楽しみだったのか。


「エリアスお兄様」


「フィオナ」


 相変わらずフィオナにお兄様呼びされるのは慣れない。

 反射的に『誰がお兄様じゃ!』って、ツッコミそうになる。


 そうしてしまうと、俺の人生は終了するが。


「お兄様、凄かったですわ。私は魔法学校に入ったばかりでブリュンヒルデさんのことはよく存じ上げませんが、それでも今回の試合を見ていればどれだけ凄いお方かは容易に分かります。そんな凄いお方に勝つなんてお兄様は私の誇りですわ」


 フィオナはいつもの猫被りエセお嬢様口調で言い放ったと思ったら、今度は近寄ってきて耳元で囁く。


「エリアス、大好きだよ」


「な……!?」


「うふふ」


 フィオナは悪戯っ子な微笑みを浮かべている。


 俺が呆然としていると、ブリュンヒルデ先輩が俺の右腕を掴んで高く掲げた。


「エリアスが勝ったよ。みんな、拍手!」


 パチパチパチと観客から拍手が送られる。


「エリアス君、カッコイイー!」


「エリアス様、素敵ー!」


 左腕をリステアード様が掴んで高く掲げた。


「エリアス、尊敬するぞ。ブリュンヒルデを倒すなんて。そして余の名誉のために戦ってくれた。感謝する」


「わあああああぁぁぁぁぁ! エリアス君ー!」


「ブリュンヒルデ様もリステアード様も素敵ー!」


 割れんばかりの拍手が送られている。


 俺は充実感で一杯だ。

 まさかブリュンヒルデ先輩に勝つ日が来るなんて。


 仲間や観客から祝福される日がくるなんて。


「う……うう……良かった、良かったぞー! 俺はここまできたんだー!」


 俺の絶叫に周りは驚愕していた。

 でもいいんだ。


 嬉しい時や楽しい時は、存分に堪能する。

 それが俺のやり方だ。


 廃ゲーマーとしての。




 

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