第75話お疲れ様会

 先日の試合のお疲れ様会を食堂でリア姉様、ルイーサ様としている。

 何故かレア姉様もいる。


「凄かったわね、二人の試合。どちらが勝つか手に汗握ったわ。とてもあたしなんかが付け入る隙なんかないわね。まだまだ修行が足りないわ」


「何を言っているのですか、リア姉様? 魔雷獣獅子王なんて力を隠していたなんて、正直驚愕しました。何も言わなくてもこれまでリア姉様がどれだけ努力してきたか分かります。弟として誇らしいです」


「な……なによ、エリアス。おだてても何も出ないわよ!」


 リア姉様は赤面しているが、まんざらでもない様子だ。


「ふふ、今だから言えるが、冷静に見えるよう装っていたが、内心穏やかでなかったぞ。お前があんな切り札を隠していたなんてな。正直負けを覚悟していた。リア、お前を一番近くで見ていた私が断言する。お前は強い」


「な……何よ、ルイーサまで。照れくさいじゃない」


 ルイーサ様もリア姉様のことを認めていたのか。

 弟として嬉しい。


「リア姉の力は間違いなく魔法学校でトップクラスよ。結果が出ていないのは努力のしすぎよ。リア姉はもっと休んだ方がいい。普段体を酷使しすぎて、本番で力を出せない。後、焦りすぎよ。先手必勝は格下なら通用するけど、上位勢相手なら魔力切れで苦しくなる。ああ、ごめんね、私、強くないのに口出しして。余計なお世話だったわ。リア姉のポテンシャルを考えたらもっと出来ると思って、つい余計なことを言ってしまうわ」


「レア、いいのよ。事実だから。あたしのことを考えて言ってくれてるのよね。レアのフィードバックはありがたいわ。もっと休んで、冷静になった方がいいわね」


 レア姉様は、リア姉様のことを認めつつも冷静な分析をしている。

 リア姉様を思う故かな。


「レア姉様の言う通りですよ、リア姉様。ほら、もっと食べて栄養を摂ってください」


「そうだな、リア、食べろ」


 俺とルイーサ様はリア姉様の皿におかずを載せる。


「ちょっと、あんたたち、あたしを太らせたいの?」


「元気になってほしいからですよ」


「ふふ、そうだな」


「もう……でも、ありがとね。エリアス、ルイーサ、レア。あんたたちがあたしを励まそうとしているのは分かるわ」


 リア姉様には元気になって欲しい。

 まあ、俺が励まさなくてもリア姉様は元気になってくれたと思うが。






「エリアス君、エリアスく~ん」


 リズベット会長だ。

 生徒会の件は断ったはずだが、毎日付きまとわれている。


「エリアス君たら、エリアスく~ん」


「うちの弟に何か用かしら? 会長」


「結婚してもらお……じゃなかった、エリアス君に生徒会に入ってもらえないか頼もうと思って。お義姉様~」


「誰がお義姉様よ! エリアス、あんた生徒会に入るの?」


「いえ、もう会長にはお断りさせていただいていたのですが。何故か毎日勧誘されています。事情があって生徒会に入れないことは説明したのですが……」


「ふ~ん。確かにあんた毎日図書室に入り浸っているものね。中等部一年序列一位、全学年三位だからやること多いわよね。相変わらず努力家よね。会長、なのでエリアスをほっといてあげたら?」


 俺が図書室に入り浸っていることを、リア姉様が知っていたとは。

 どこかで見られていたのかもしれない。


 実際は呪いや解呪といった学校の勉強とは違うことをしていたとはいえ、努力を褒められるのは嬉しい。


「エリアス君が忙しいのは分かっているわ。生徒会に入れないことも。でも、いやだ、いやだ~、お義姉様~。お義姉様からも頼んで~」


「だからお義姉様じゃないって言ってるでしょ? 駄々っ子か! こんなのが生徒会長なんて頭痛いわ……。ていうか、会長こんなキャラだっけ? もっと威厳のあるキャラだったような」


「こんなのとは失礼ね。プンプン!」


「会長がここまで人に執着するなんて珍しいですね。冷酷な生徒会運営をして異常なほどの支持率を維持していた会長がどういう心変わりなのか。ふふ、よほどエリアスが気に入ったと見える」


「何をいってるのかしら、ルイーサさん。私は博愛主義者よ。人類大好き人間よ。冷酷なんてエリアス君の前で言わないでほしいわ。私の優しいイメージが崩れるわ。エリアス君を気に入っているのは否定しないけど」


 何故リズベット会長はここまで俺に執着するのだろうか。

 俺にはやることがあるのに。






 エリアスたちのことを苦々しく見つめる者がいた。

 カイだ。


(ちっ、エリアスの奴。少しばかり腕が立つのは認めるが、いつも女性に囲まれていやがる。気に入らねえぜ)





 そんなカイのことを苦々しく見つめる者もいた。

 オティリアだ。


(何よ、カイ。いっつも会長の方ばかり向いて。ちょっとは私の方も見てよね。会長はあんたのことなんか相手にしてないことなんか早く気付きなさいよね)


 皆の心は別の方向を向いてるのであった。


___________________________


 お詫び

 74話のルイーサの順位が間違ってました。

 しれっと修正しておきました。


 作者の頭の整理のために今までの順位をまとめておきます。


 エリアス入学時


 中等部一年


 1 エリアス

 2 イルザ

 3 ミラ

 4 ハリエット

 5 アンナ

 6 ハンナ

 41 エミリー

 99 デレック

 100アルベルト


 全学年


 1 ブリュンヒルデ

 2 リステアード

 3 ルイーサ

 4 リズベット

 9 カイ

 13 フバード

 18 オティリア

 

 イルザ戦後


 1 エリアス

 2 ミラ

 3 イルザ

 4 ハリエット

 5 アンナ

 6 ハンナ

 41 エミリー

 99 アルベルト


 全学年


 変動なし


 アルベルトリステアード戦後


 中等部一年


 変動なし


 全学年


 1 ブリュンヒルデ

 2 アルベルト

 3 リステアード

 4 ルイーサ

 5 リズベット

 10 カイ

 14 フバード

 19 オティリア

 

 ミラ不戦敗後


 中等部一年


 1 エリアス

 2 アルベルト

 3 ミラ

 4 イルザ

 5 ハリエット

 6 アンナ

 7 ハンナ

 42 エミリー


 全学年


 変動なし


 カイ戦後


 中等部一年


 変動なし


 全学年


 1 ブリュンヒルデ

 2 アルベルト

 3 リステアード

 4 ルイーサ

 5 リズベット

 10 エリアス

 11 カイ

 15 フバード

 20 オティリア


 ルイーサ戦後


 中等部一年

 変動なし


 全学年

 1 ブリュンヒルデ

 2 アルベルト

 3 リステアード

 4 エリアス

 5 ルイーサ

 6 リズベット

 11 カイ

 15 フバード

 20 オティリア



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る