第19話エラ&リア&レア&レオンside
エラside
わたくしはエラ・フォン・ディートリヒですわ。
王様をも凌ぐ権力を持っていると言われている、レオン・フォン・ディートリヒ様の妻ですわ。
レオン様の妻になりわたくしは陰の実権を握ることが出来ましたわ。
使用人達やレオン様より立場の低い貴族達は、いつもわたくしの顔色を窺いそれが滑稽でしたわ。
わたくしは全てが自分の思うが儘になって、浮かれておりましたが予期しない事態が起きましたの。
レオン様に愛人がいる事が発覚しまして、何とその愛人が魔族でしたの。
私は二重のショックでしたわ。
さらにその愛人との間に子供がおりまして、その子供をディートリヒ家別邸で住まわせるとのことで四重のショックでしたわ。
わたくしはレオン様に隠れて、その子供をいびってディートリヒ家から追放する気でしたわ。
実際にその子供に会ってみた感想としては、あれ? 超可愛くない? 可愛いの権化じゃない? 目クリックリだし、睫毛超長い。
尊い。いや、てぇてぇ。
意味は分かりませんが、わたくしの頭の中に、てぇてぇと言う言葉が浮かんできました。
可愛いの限界突破しているじゃありませんか。
尊過ぎて死んでしまいますわ。尊死してしまいますわ。
又はキュン死ですわ。
エリアスを追い出さなければならない。
わたくしが尊死しないように。
リアside
あたしはリア・フォン・ディートリヒ。
この国で最強と言われるレオン・フォン・ディートリヒの長女よ。
生まれた時から全て持っている。
人生なんてヌルゲーよ。
正に親ガチャ大成功の勝ち組よ。
使用人達は私の顔色ばかり窺っている。
そんな成功街道まっしぐらのあたしに信じられないことが起きた。
義理の弟が出来る。
初めて見たエリアスは可愛すぎた。
心の中でお姉ちゃんがエリアスを守ってあげるからねと思っていた。
そんなあたしの口から飛び出した言葉は『あんたなんか出ていけばいいのよ!』だった。
そんなこと全く思ってな~~~い!!!
ある日食事の席にエリアスがいなかった。
お父様に聞いてみると、エリアスは強くなるためにダンジョンに行っているとのことだった。
何それ? ディートリヒ家に生まれたのなら楽して生きていける。
努力する意味なんてない。
ここには全てが揃っている。
でも、カッコいいって思っちゃった。
男らしいじゃない、エリアス。
前は怠惰な性格だったけど、心意気までカッコよくなったのかよ。
ダンジョンから帰ってきたエリアスは只の可愛い子供ではなかった。
可愛いだけじゃなく、カッコいい雰囲気を纏っていた。
はい、反則~!
いつもはエリアスにきつい言い方しかできないけど、今日は優しい言葉をかけたい。
変わるのよ、リア。
そんなあたしの口から飛び出したのは『あんたの顔なんか見たくない』だった。
嘘よ、というか、本当はエリアスの顔だけ見て生きていたい。
あたしの馬鹿~! 何で素直になれないのよ……。
レアside
私はレア・フォン・ディートリヒ。
ディートリヒ家の次女よ。
私はエリアスに勘違いされていることがある。
無口だということよ。
エリアスに話しかけられると黙ってしまう。
本当はエリアスのことで頭が一杯なのに。
『レア姉様―――』
『……』
『レア姉様―――』
『……』
エリアスの様な尊い存在が私如きに話しかけてくれる。
何かエリアスが楽しくなるような返しをしたいけれど、何も思いつかない。
ある日、エリアスがダンジョンに行ったという話を聞いた。
流石エリアス、私の様な臆病者とは違うわね。
私は安全なディートリヒ家で暮らしたい。
でも、エリアスと二人きりになれるならダンジョンに行ってもいいな。
エリアスのピンチに私が魔法で助けるのよ。
あぁ、妄想が止まらない。
エリアスが帰ってきたら、私はダンジョンでの冒険話を聞かせてもらうつもりだった。
勇気を出すのよ、レア。
『レア姉様只今帰りました』
きちゃ! エリアスの冒険話を引き出すのよ、レア。
『…………』
何しとんじゃ~い、私。
エリアスの話を聞きながら、さり気なく『今度はお姉ちゃんが守ってあげるからね』なんて妄想までしてたのに。
エリアス、私は本当は無視してるんじゃないのよ~!!!
レオンside
エリアス、帰ってきた~~~!! パパ、嬉しいよ~~~!!!
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