第18話帰宅

 迷いの森の入口まで戻ってくるとソフィアが待っていた。


「エリアス様、御無事でしたか。良かったです」


「当たり前だろ。母上に会いに行っていただけだから」


 実際は、フィオナに会うという予期しない事態に陥っていたが、無事母上に保護してもらったからソフィアに言うこともないだろう。


 俺達はディートリヒ家に戻ることにした。

 相変わらず尾行しているつもりの父上の兵士も付いてきている。


 平原を南下しているとモンスターが何体か現れた。

 俺はそいつらを余裕で倒した。

 弱すぎてステータスが上がることもない。


「エリアス様、お強くなられましたね」


「そうかな? 普通だと思うけど」


「以前でしたら、モンスターに遭遇してしまったら泣き喚いて逃げ出してましたけど」


「俺、臆病すぎだろ……」


 6歳以前の記憶は朧気だが、そんなに俺臆病だったのか。






 モンスターを倒したり、ソフィアと談笑していたらディートリヒ家に着いた。

 ちょうど夕食の時間だ。

 父上に無事戻ったことを報告しなければ。


「父上、無事戻りました」


「ああ、エリアスか。無事戻ったのなら良い。ディートリヒ家の者に敗北は許されぬ。ここに生きて戻ってきたのなら、負けてないということだろうからな」


 ん? 俺が戻ってきた瞬間、父上が見たこともない満面の笑顔だったぞ。

 直ぐにいつものしかめっ面にもどったが、俺の見間違いか?


「はい。誓って敗北など喫しておりません」


 嘘は言ってないが、何度か死にかけた。

 ソフィアのポーションがなければどうなっていたことか。


 父上の正妻である義母のエラ様、その娘であるリア様、レア様もいた。


「お義母様、リア姉さま、レア姉さま、エリアス只今戻りました」


「ふん。そんな報告どうでもいいですわ。わたくしは、エリアス、貴方のディートリヒ家本邸への立ち入りを認めたわけではありませんわ」


「そうよ、そうよ。お母様の言う通りだわ。あんたの顔なんて見たくないんだからね」


「…………」


 お義母様とリア姉さまは相変わらず俺への当たりがきつい。

 リア姉さまは俺が話しかけても何も返してくれない。

 もしかしたら俺とレア姉さまは話したことがないかもしれない。


「エラ、リア、止めろ。何度も言っただろう。エリアスには食事の時間と用事がある時は本邸への立ち入りを許可していると。何度も言わすな」


 父上はエラお義母さまとリア姉さまに鋭い視線を向けた。

 二人は従うしかないようだ。


 俺をかばってくれた? いや、父上はそんなに甘い人間ではない。

 ただ筋が通らないことが許せないだけだ。


 いつものように食卓で俺は黙々と食事をするだけだ。

 義理の家族にいびられる俺。

 俺が若い少女だったら何かの童話みたいだなと思うのだった。





 俺は自室に戻り床に就いた。

 寝ることでHPが回復し人間度が元に戻る。


 人間度46:魔族度54

 ↓

 人間度50:魔族度50


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