第14話???&ソフィア&レオンside

 ???side


 なんじゃ、あの小僧は! 強すぎるだろうが。

 最初は子供にしては強い位の認識だったが、戦いを重ねるうちに急激に強くなっていきおる。


 次第に我の攻撃が受け流される。攻撃が苛烈になってくる。

 痛いんじゃ、ガキが! 

 途中から、あれ、もう我より強くない? って思ってしまった。


 なんとか余裕の態度でいるのが精一杯だった。

 疲労感や痛みが凄い。

 我はこの体になってから痛みや疲労を感じることはなかったが、初めて感じることが出来て新発見だった。


 我には心臓も肺も無いのに疲労が感じられる、骨だけなのに痛みを感じられる。

 これが生きている実感か? って、我、死んでるんだった。


 我も小僧も限界だった。

 お互い後一撃食らったらお終い。

 我はそれとなく小僧に戦いを終わらせるように仕向けた。


 だが、小僧は戦いを止める気はないらしい。

 本当に止めよ? 我、もう横になって休みたい。

 面倒くさいが、まだ我には経験の利がある。


 この時点では勝って華麗に立ち去る気だった。

 なのに、女が小僧に回復役を投げ入れてそれを飲みおった。


 それに女も加勢する気なのか? 気配を消した気でいる兵もいる。

 奴らが加勢してきたら流石の我もきつい。

 我は『勝てるんだけど今回は見逃してやるぜ』みたいな退き方をした。


 小僧はおとなしくしたがって、再戦をお願いしてきた。

 我は二度と御免だったが、華麗に退き下がるために渋々了承した。


 次の戦いに向けてさらなる研鑽を積まねばなるまい。

 それよりも今の我の心配事は、このボロボロになった骨の体が元に戻るのかということだった。





 ソフィアside


 エリアス様がダンジョンに向かうことになって、レオン様の兵が隠れてエリアス様に付いて行くのが見えました。


 私はレオン様の命がないのですが、エリアス様に隠れて付いて行くことにしました。

 エリアス様は平原を北上していき、モンスターと戦われていました。

 戦闘経験はないはずなのですが、危なげなく勝ちます。


 流石レオン様の血を引いているだけあります。

 さらにダンジョンでも危なげなく戦いを進めていきます。


 オークやオーガが出てきて、戦闘初心者が奴らを倒したという話を聞いたことはなかったので私はいつでも助太刀する気でしたが、その必要はありませんでした。


 ただ、奴らがエリアス様に攻撃するのを見て、この豚が! 鬼が! エリアス様に何しとんじゃゴルアァァ! とは思いました。

 ほほほ、はしたないでしょうか。


 エリアス様は私が渡したポーションを飲んでくださいました。

 私が渡した物が役に立ちとても嬉しいです。


 さらにエリアス様は進んでいったところ、鎧を着た骸骨に遭遇しました。

 フロアに緊張感が走りました。

 只者ではない。


 躊躇している場合ではない。

 エリアス様をお助けせねば。

 ですが、体が動きません。


 冷汗が止まりませんし、体の震えも止まりません。

 生まれてこの方これほどの恐怖を感じたことはありません。

 レオン様の兵も同じ様な状況でした。


 私は戦闘が始まったのが分かりませんでした。

 いつの間にか骸骨がエリアス様の目の前にいて、エリアス様が傷を負っていたのです。


 骸骨の動きが見えない。

 信じられない。

 これほどの者がいようとは。


 それでもエリアス様をお助けしなくては。

 ですが、恐怖で足が動かない。

 動いて、私の足! 絶対にエリアス様をお助けするんだ。


 そこで信じられない事が起きました。

 エリアス様の動きが急激に早くなって、骸骨の動きに対応し始めました。

 対応し始めたといっても、私の目では全て追い切れているわけではありません。


 完全に異次元の戦いです。

 私の出る幕ではありません。

 レオン様の血を引いているとはいえ7歳の少年がここまで急激に強くなるものでしょうか? 信じられません。


 戦闘は激化していきます。

 二人の動きは疲労のせいか、私でも追えるようになってきました。

 エリアス様は私が差し上げたポーションを使い切ってしまいました。


 私は受け取ってくれるか分かりませんでしたが、無我夢中でポーションを投げました。

 エリアス様は受け取ってくださり、飲んで下さいました。

 そして『これが信頼の力だ!』と言って下さいました。


 骸骨は退き下がっていきました。

 見逃してやろうみたいな感じで去っていきましたが、私の目にはエリアス様に恐れをなしている様に見えました。

 

 私はエリアス様に駆け寄りました。

 無事で何よりです。

 エリアス様は半魔の庭に寄ってからディートリヒ家に帰るそうです。


 私もレイラ様にご挨拶したかったです。

 私の義理のお母様になるのですから。

 あぁ、妄想を口にしてしまいました。


 上手く誤魔化せたでしょうか。

 でも、私の気持ちは誤魔化せそうもありません。





 レオンside


 エリアス、早く帰ってきて~~~!!! パパ、寂しいよ~~~!!!



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