第11話反撃

 今度はこちらから攻めなくてはならない。

 おじさんは骸骨だから当てられる面積が少ない。


 それよりも当てられるのか。そして当たったとしてダメージが与えられるのか。

 でも、ここまできて引き下がれない。


「どうした、小僧? 来るがよい」


「行くよ、おじさん!」


 俺は全力でおじさんに斬りかかった。


『システムメッセージ:カウンターダメージを受けました。HPが200減りました。最大HPが150上がりました。防御力が120上がりました』


「くっ!」


 完全に見切られていた。俺の斬りかかりに合わせておじさんはカウンターを決めてきた。

 そしてカウンター攻撃を食らうと普段よりもダメージが大きいようだ。


 危なかった。フェニックスリングで自動復活出来るとはいえ、これは失いたくない。

 ある方から貰ったものだ。効果が発動すると砕け散ってしまうとその方は言っていた。

 なので一生使わずにいたい。


 俺はポーションを飲んだ。


『システムメッセージ:HPが350回復しました』


 残りのポーションは3個だ。


「小僧、攻撃に関しては甘いな。遅すぎて欠伸が出るかと思ったぞ」


 今まで煽ってきた分、煽り返された。

 でもまだ気持ちは折れていない。


「おじさん、見ててよ。今度は本気で行くから」


「ほう、楽しみだ」


 嘘だ。さっきのが本気だった。

 はったりでも自分を奮い立たせないといけない。


 ただ、本気と言っても力や速度の話で攻め方が良くなかった。

 考えなしに斬りこんだ。


 斬りつけだとモーションがでかすぎる。

 突きだ。


 俺はおじさんに向けて突きを繰り出すも避けられてしまった。


『システムメッセージ:スラストを覚えました』


「どうした小僧? 欠伸が出るぞ」


 まだだ。神経を集中して最速の突きを繰り出すんだ。


『システムメッセージ:???に10のダメージを与えました。攻撃力が35上がりました。スピードスラストを覚えました。スピードスラストのレベルが30上がりました。剣熟練度が28上がりました』


 何とか当てることが出来た。でも、全然ダメージが入らない。

 おじさんには、肉体がなく骨だけなので当てるのが難しい。

 やっぱり斬りつけないと無理なのか……。


「ふん。全く効かんな。攻撃を我に当てられたことは真に驚嘆に値するが、小僧の細腕では我に傷を負わすことなど出来ぬぞ」


 確かに。でも収穫はあった。

 かすっただけなのに攻撃力が35も上がった。

 まともに当てることが出来たらどれ位あがるんだろう。


 ピンチの状況なのに、胸が高鳴る。

 絶対に攻撃を当てたい。


 俺の頭の中に色々な選択肢が過る。

 先ずはカウンター。いや、これは無理か。

 技量が違い過ぎる。


 向こうが俺の攻撃にカウンターを合わせることは出来るが、俺は向こうの攻撃に合わせることが出来るほどの技量がない。


 ならば先程と同じように突きか。さっきよりスキルの熟練度が上がっているし、攻撃力も上がっている。

 そこで相手の動きを止めて、十字斬りのコンボだ。


 十字斬りなら斬りつける面積が広い。

 よし、これか。いけるぞ。


「どうした小僧、怖気づいたか?」


「いや、行くよおじさん」


『システムメッセージ:???に90のダメージを与えた。攻撃力が70上がった。スピードスラストのレベルが20上がった。クロススラッシュを覚えた。クロススラッシュのレベルが30上がった。剣熟練度が22上がりました』


「なっ、早いっ! くっ!」


 よし、うまくいった。


「やるな、小僧。貴様は戦闘を重ねるうちに急激に強くなるようだな。面白い」


「そうだね。力や速さ、技術が上がっているのを実感しているよ」


「ならばこれはどうだ!」


『システムメッセージ:HPが300減りました。最大HPが200上がりました。防御力が100上がりました。敏捷性が80上がりました。スキル:見切りのレベルが10上がりました。サイドアヴォイダンスのレベルが12上がりました』


「くっ!」


 連続攻撃が来た。最初の突きはかわせたがそこからの攻撃がかわせずに攻撃を食らい続けた。

 ダメージは食らったが、その分最大HPと防御力が上がった。


 最初の突きをかわせた分の敏捷性やスキルレベルも上がった。

 ステータスが上がって嬉しいが、また死にかけた。


「小僧と舐めて単発攻撃しかしなかったが、そちらが連続攻撃をしてくるのならこちらも連続でいかせてもらったぞ」


「流石だね、おじさん」


 俺はポーションを飲んだ。


『システムメッセージ:HPが500回復しました』


 残りのポーションは2個だ。

 まだ本気を出してなかったのか。


 極限状態だが、楽しい。

 まだまだ俺は強くなれる。

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