第10話???

 5層に到着した。

 今までのフロアは下に降りる階段だけだったが、このフロアの奥には扉があった。

 ボス部屋か? 俺は扉を開ける。


 ボス部屋と思われる部屋の中心には人影があった。

 よく見ると人ではなく、剣を身に着け鎧を着た骸骨のモンスターだった。

 こちらに近づいてくる。


「久しいな。人間か」


「モンスターが喋ったぁぁぁ!!!」


「いや、貴様も半分魔族だろうが……」


「あ、そうだった。って、なんで俺が半魔だと?」


「魔力が隠しきれてないわ。どういう生活を送っておるのか知らんが、貴様のような者がおるとはな」


 どういう意味だろう? 俺は目の前の骸骨のステータスを確認してみた。

 名前は『???』になっている。

 その他のステータスも『???』になっていた。


「小僧、何用でここにいる?」


「強くなりたくてこのダンジョンに挑戦しているんだ。おじさんも戦う?」


「誰がおじさんだ! この見た目で年は分からんだろう。貴様の様な小僧が一人でここまでだと。俄かには信じられんな」


「じゃあ、試してみる? まあ、俺の方が強いけど」


「何だと? 小僧だからと言って手加減すると思うな!」


『システムメッセージ:HPが100減りました。最大HPが80上がりました。防御力が65上がりました』


 え? 斬られた? 斬られたと認識する前にダメージを食らったシステムメッセージが表示された。


「ほう、今ので倒れぬか。先程の言葉も嘘ではないようだな。面白い、貴様のような小僧がいるとは」


「おじさん、強いね。全然太刀筋が見えなかったよ」


「もう止めるか小僧? 若いのだ、命は大切にせんと」


「いや、続けるよ。俺は誰よりも強くなるって決めたから」


 正直怖いという思いはある。先程の攻撃をもう一発食らっていたら死んでいた。

 フェニックスリングの加護で一回だけなら自動復活できるが、何度も攻撃を食らったら終わりだ。


 俺はポーションを飲んだ。


『システムメッセージ:HPが180回復しました』


 残りのポーションは4個だ。

 かなり追い詰められた状況だが、俺の胸は高鳴っていた。

 圧倒的な実力差の敵と戦える。


 楽しくないわけがない。ステータスもめちゃくちゃあがる。


「そうか。面白い小僧だと思ったのに残念だ。我は舐められたまま終わらす程甘くはないぞ」


 来るぞ! 集中しろ。五感を研ぎ澄ませろ。相手の動きを全力で観察するんだ。

 絶対に避ける。


『システムメッセージ:敏捷性が80上がりました。スキル:見切りを覚えました。見切りのレベルが30上がりました。サイドアヴォイダンスのレベルが28上がりました』


 やった。おじさん骸骨の剣による振り下ろしを見切り、横に回避した。


「なんだと……我の剣を避けられる者がいるとは……しかもこんな小僧が……」


「おじさん、舐めすぎだよ。俺のことを。もう一度来なよ」


「舐めるな、小僧!」


 今度は受け流す。剣と体が一体になるイメージを持つんだ。

 さっきよりも体が軽い。動きがよく見える。

 いける!


『システムメッセージ:敏捷性が60上がりました。器用さが50上がりました。パリィのレベルが32上がりました。見切りのレベルが20上がりました』


 よし、出来た。受け流せた。


「なんだと……またしてもだと……」


「これでまぐれじゃないことが証明できたでしょ、おじさん?」


「なるほど。只の小僧ではないようだ。だが、避けてばかりでは終わらんぞ。攻撃してこんことには貴様の真の実力は分からんからな」


「確かに。じゃあ、行くよ、おじさん」


 俺の力でおじさんにダメージを与えられるか分からない。

 でもやるんだ! 最強になるために。

 反撃の時間だ。


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