第25話 聖女の座は誰のもの
大神官長様から集まるように言われ、再び私たちは大神官長様のもとに集まった。
「三つの試練、ご苦労じゃった」
ぐるりと見回すと、大神官長様はピタッとエレナに視線を止めた。ああ……そうよね。私ではないわよね。
エレナの頬が嬉しさで赤くなる。聖女らしい振る舞いができる彼女は確かに相応しいわね。
給料2倍、ボーナス……権力よ……さようなら。私はしょんぼりし、下を向いた。モジャコを撫で撫でし、気持ちを落ち着ける。
「試練その1では御神体の怒りに触れたのはラウラではないな?正直に申せ」
私は驚いて顔をあげた。
「だ、誰がそのようなこと………もしかしてレオナルド様ですの!?」
そうエレナが隣にいたレオナルド様を見た。
「ミリーも試練その2では、ラウラとセスに助けてもらっておるな?」
「マテオ!?喋ったのですぅ!?」
焦る聖女候補達の顔を見ながら、大神官長様が続ける。
「この者たちは守護者でありながらも、聖女を正しい道に導くための役割も与えておったのじゃ」
へぇ………って!ちょっと待って!?
「えーと……あのセスもですか!?」
フィッとあからさまに目を逸らす大神官長様。
「むしろ正しい道に戻さないとだめなのはセスじゃ!?あの寝坊し、試練中に昼寝をするし、いちいちめんどくさがるし、激甘党だし!」
「甘党は関係ないんじゃありませんの?」
横からエレナがツッコミを入れる。
「まあまあ。そう言いつつ、助けてもらえたじゃろう?なによりセスはその召喚獣を貸しても良いと思うほど、そなたを信頼しておる。良いハズレコンビになったのではないかのぅ?」
うっ……確かに。私は言葉に詰まる。
「正式な聖女はラウラに決定じゃ。後日、任命式を行う!」
えっ!?私!?
「なんじゃ?意外そうな顔をしておるが、聖女の地位を望んでいたのじゃろう?ラウラ良かったのぅ」
「は、え……っと……そうです。ありがとうございます」
なんだか間の抜けた感じの返事になってしまう。いざ、聖女と言われると……私は……いや、選ばれたのだ。それはもう運命だと受け止めよう。
その運命は私が欲していたものなのだから。
パンを求めてうろついていた幼い頃のもう一人の私がニヤリと笑ったのだった。
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