第23話 試練その3『世界樹の葉を手に入れろ』

「3番目の最後の試練じゃ」


 大神官長様に呼び出されて説明を受ける。これで最後なのね。


「世界樹の葉をとってきてほしいのじゃ。緑色の美しい葉を求めている」


 緑色の………!?私は眉をひそめる。


「大神官長様!?……それは……無理です。知っての通り、世界樹の葉は触れると枯れて消えてしまいます」


 エレナが訴えるが、大神官長様は悠々とした表情で言った。


「どんな方法を使っても構わない。どうにかして、ここへ緑色の葉を持ってくるのじゃ」


 緑の葉なんて無茶ぶりだわ。でも本当に無理なら言わないだろう。大神官長様に何か考えがあるのだろうと思った。緑の葉を維持する法則を見つければいいのかしら?


 大神官長様の話が終わり、私たちは部屋から出た。


「こんなこと無理ですぅ。最後に絶対できない試練を持ってくるなんてひどいですぅ〜」


 ミリーが目をウルウルさせている。マテオが宥めるように頭を撫でている。


「世界樹の葉を手に入れた者は聞いたことがないな」


「わたくしもです。どんなお考えなのでしょうか?」


 レオナルド様とエレナも二人で困っている様子。


 そしてエレナとミリーは私の方を向いて言ったのだった。


「あの召喚士はどうしましたの?また寝坊ですの?」


「そのモジャモジャの生き物は何なのですぅー?」


 いるべきセスはいない。代わりに私の腕の中にモジャコがいる。


「ちょっと用事ができたらしいわ」


「世界樹のための試練をくぐり抜けようとしているのに、それより大切な用事などないはずです。まさか!またあいつ……サボっているのか!?」

 

 正義感の強いレオナルド様は声を荒げた。


「私が大丈夫と言ったんです」


「なぜですの!?試練は危険がつきものですわよ!?」


 エレナすら驚く。ミリーとマテオも話を聞いている。……意外だった。これであなたの負けも同然ですわね!とか言われるかと思っていたのに。


「ラウラ、無理しないほうがいいのですぅ〜」


 私は心配顔の皆に、ニッコリ笑った。


「セス無しでクリアすればボーナス付き!っていう条件なのよ!」

 

 エレナが私の一言に顔を歪ませた。


「あなたって、やっぱり最低ですわっ!お金と引き換えに守護者を手放してどうしますの!?」


 行きましょうと呆れたように、その場にいた皆が行ってしまう。


 セスはあの王女様に呼び出されてしまった。一度は断ったけど、どうしても!と王家からの頼みらしく、めんどくさいと言いつつもセスはモジャコを置いて行ってしまった。


 なんとなく隣がスースーとして物足りないのは気のせいなのかしら。エレナとミリーがレオナルド様やマテオといる姿を見て羨ましいと思うなんて……。


 こんな感情は邪魔なだけよ。そう私は確かなものしかいらない。地位とお金は裏切らないもの。


 だけど気づけば、無意識に腕の中のモジャコをギュッと抱きしめていた。

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