第19話 甘い物に釣られる召喚士
時間通りに私達は明朝、大神官長様の元へ訪れた。
ちなみにセスを起こすために、私はまた部屋に乗り込んで叩き起こしてきたことを追記しておく。
「お前たちはやる気を出せばできる者であると信じている。その力を信じ、頼みたいことがあるんじゃ。ここ1ヶ月ばかり、王家の第3王女の様子がおかしく、体調を崩しているそうだ。癒やしの力を持つ者を派遣してほしいと言われたのじゃ」
ここで、嫌でーす。なんて言えな……
「王家に行くのか!?めんどくせー。嫌だ」
言うのっ!?セスの方を思わず見た。
「おまえは……ほんっとに……」
頭を抱え込む大神官長様。こんな姿を初めて見た!私も問題児だと言われたけど、私なんて可愛いものじゃない?と思えた。
「私は行くわよ!セスもついて来るのよ」
これは名誉挽回のチャンスよ!
「一人でも行けるだろ?あ、そうだ。モジャコをつけてやるよ」
「セス、私の守護者でしょ!?あっ!そうだわ。ついて来てくれたら、あのデカパフェの出してたカフェの食べきったらタダの新シリーズのデカ盛りパンケーキ奢るわよ!」
「……よし。行くか」
おー!あのセスの心を動かした!?とざわめく神官たち。
「食べきれなかったら、奢ってあげるわよ」
「食べきる自信はある。だけど、あの店、女ばかりだし、男一人じゃ入りにくいんだ」
そんな理由!?
大神官長様はしばらく私とセスの顔を交互に見て、うむと頷いた。
「存外、良いハズレコンビかものぅ。セスが己の召喚獣を人に貸すなど、今までなかったことである」
そうポツリと言った。……でも私は思うのだった。単なる自分が動くことがめんどくさいから召喚獣にやらせてるのでは?という疑惑。
「良いか?忘れるなよ。デカ盛りパンケーキだぞ?」
「わかってるわ。ちゃんと割引クーポンのチラシもとってあるもの」
私の返事に完璧だ!と上機嫌なセス。割と……割とこの召喚士、扱いやすいかもしれない。
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