第37話 わたしたちは一緒に幸せになっていく
結婚式から三か月ほどが経った七月中旬。
夏がやってきていた。
わたしたちは、財政再建プロジェクトチームが結成されてから、以前よりも忙しくなってきていた。
王国内から優秀な人材が集められ、全員、やる気にあふれている。
殿下、そして、この人たちと一緒にこのプロジェクトを進めていけば、財政再建は絶対に成功するだろうと思っていた。
対策を立案する為には、まず王国の状況を把握する必要がある。
今までは、細かい状況を把握していたわけではない。
そこで、わたしは、殿下から話を聞き、また、殿下から提供された資料を読み込んでいくことで、この王国の細かい状況を把握していった。
それがだいたい終わったので、対策の立案に取りかかり始めたところだ。
まだまだ先の長い話ではあるが、殿下と一緒に一生懸命努力し、成果を上げていきたいと思っている。
忙しくなったわたしたち。
しかし、それで仲が疎遠になり始めたということは全くない。
わたしたちは、夜、寝室に入ると、二人だけの世界に何度も入って行く。
その度に幸せな気持ちになり、殿下を想う気持ちは強くなっていく。
殿下の方も同じ気持ちだと言っていた。
お互いを想う気持ちがますます強くなっていくように思う。
わたしたちは。ますます仲睦まじくなっていった。
この地は、気温は高くなるけれども、湿度はそれほど高くないので、陽射しを避ければ、そこまで暑いと思うことはない。
朝と晩は涼しいくらいだ。
昼、一番陽射しが強い時、庭に出ても、木陰にさえいれば、爽やかな風が吹いてくるので、涼しいというところまではいかないけれど、意外と心地のいいところはある。
そんな休日のある日の午後。
雲一つないきれいな青空と、爽やかな風、そして濃い緑。
わたしたちは庭の木陰に或るテーブルで、席を隣どうしにして、お茶を一緒に楽しんでいた。
テーブルには、紅茶とお菓子が並んでいる。
「こうしてあなたとお茶を楽しむことができて幸せです」
殿下は微笑みながら言う。
「わたしも殿下とお茶をすることができるのがうれしくてたまりません。夢のような気持ちでいます」
わたしも微笑みながら殿下に応える。
「わたしは毎日毎日。あなたへの想いが強くなっています。あなたと一緒に一日を過ごす度に好きになっていくのです」
「わたしも殿下への想いが、殿下と一日一緒に過ごす度に、強くなっていきます。殿下が好きだという気持ち。大きくなる一方です」
「あなたのようなこんなに素敵な女性と結婚できるなんて……。わたしは幸せものです」
「わたしこそ、殿下のような素敵な方と結婚できて、幸せものだと思っています」
殿下はわたしの手を握り、
「セノーラティーヌさん、わたしの愛しい人……」
と言った後、わたしを抱き寄せる。
うっとりするわたし。
「この財政再建プロジェクトを一緒に成功させましょう。そして、この王国を素敵なところにしていきましょう。でもあなたやプロジェクトメンバーに無理はさせません。お互い、お体に十分気をつけながら、プロジェクトを進めていきましょう」
「いつもわたしやプロジェクトメンバーのお体に配慮していただきまして、ありがとうございます。王国の為、そして、殿下の助けに少しでもなれるよう、一生懸命努力したいと思います」
「今でもあなたは、わたしの為に十分すぎるほど尽くしていただいています。ありがとうございます」
「そう言っていただけるとうれしいです」
「セノーラティーヌさん、わたしはあなたのものです」
「殿下、わたしは殿下のものです」
「殿下、愛しています」
「セノーラティーヌさん、あなたを愛しています。わたしはあなたをもっと幸せにしてきたいと思っています」
「殿下、わたしも殿下をもっと幸せにしたいと思います」
「二人で一緒に幸せになっていきましょう」
「殿下、一緒に幸せになっていきましょう」
「殿下、大好きです」
「わたしもセノーラティーヌさんが大好きです」
殿下の唇とわたしの唇が重なり合う。
わたしたちは甘い気持ちになっていった。
幸せを味わうわたしたち。
わたしはより一層、殿下のことが好きになっていくのだった。
わたしは王太子殿下と白い結婚をした。殿下はわたしのことを嫌っている。でも殿下は前々世でわたしと親しくしていた方だった。わたしは一生懸命、殿下に想いを伝え続け、殿下に溺愛されることを待ち続けています。 のんびりとゆっくり @yukkuritononbiri
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