第48話 連休 いざ福岡
「雄二さん! 早く行かないと飛行機が出ちゃいます!」
空港のロビーで朋美は焦った様子で俺の手をグイグイと引っ張りそう言ってきた。
「大丈夫だからそんなに焦らない。搭乗手続きも済んでるし、後は飛行機に乗り込むだけなんだから。飛行機だって、予約のお客さんを置いては飛ばないから心配無いって」
俺はそう言いながら焦る朋美の姿に少しだけど笑ってしまった。 そんな朋美の姿が堪らなく可愛い。 思わず朋美の頭を撫でてしまう。
「むぅ! 雄二さん! 子供扱いしないで下さい!」
朋美は俺に頭を撫でられ少し不満そうにそう言ってきたが、そんなには不機嫌では無いみたいだ。だって目元が緩んで口角が少し上がっていたから。
間もなく俺達が乗る飛行機の搭乗アナウンスがロビーのスピーカーから流れ、俺達はゲートをくぐり飛行機へと乗り込んだ。
飛行機に乗るのは久しぶりだな。 最後に飛行機に乗ったのは何時だっけか? 確か高校の修学旅行で北海道に行った時に乗った以来か。 久しぶり過ぎて少し緊張する。
……朋美も俺と同じみたいで、俺の隣のシートに座った後何だかソワソワしている。
「朋美、もしかして飛行機に乗った事無い? シートベルトの閉め方分かる?」
俺はソワソワしている朋美が可愛くて、少しからかい気味にそう聞いてみた。 すると朋美は頬を少しだけ膨らませて
「むぅ! 私だって飛行機位乗った事あるもん! 学生の頃にお父さんとお母さんと一緒にイタリア旅行に何回も行ってるもん! だからシートベルトの閉め方位は分かってるもん!」
おおぅ。それは失礼致しました。 しかし……イタリア旅行とは。 やっぱり朋美はお嬢様なんだなと改めて思った。 やっぱりイタリアに行く時はエコノミークラスじゃ無くてファーストクラスなんだろうな。
「なら何でソワソワしているんだ?」
俺がそう聞くと、朋美はニコッと微笑み
「だって…初めての雄二さんと2人きりの旅行なんですもん。楽しみ過ぎてソワソワするに決まってるじゃないですか」
……本当にこの娘は。滅茶苦茶嬉しい事を言ってくれるよ。 俺だって朋美と2人きりの旅行は物凄く楽しみだったから。
やがてゆっくりと俺達の乗った飛行機が動きだし、滑走路を勢い良く走り出した。そしてテイクオフ。 飛行機は福岡空港へ向けて飛び立った。 その時身体にGが掛かり、何とも言えない感覚になった。 俺の周りの人達は平気な顔。おかしいのは俺だけかな?
羽田~福岡まで約2時間。 俺はその間、備え付けのイヤフォンで音楽を楽しもうとした……のだが
「雄二さん雄二さん! ほら見て下さい! 雲の中に飛行機が入りますよ! ふぁぁ♪ 雲って突き抜けれるんだぁ♪ ほら雄二さん! 山があんなに小さく見えますよ♪ うわぁ。海がキラキラ光って綺麗ですよ! ほら雄二さん!見て下さい!」
窓側に座っている朋美に身体を揺さぶられる。 朋美や、そう言われてもさ、通路側に座っている俺からは外の景色は余り見えないんだよ。残念ながら。 だから俺ははしゃぐ朋美に " うんそうだね。凄いね " と曖昧な答えしか出来なかった。 ごめんね朋美。
そして2時間後。飛行機は無事に福岡空港へ到着。
福岡空港のロビーに降りた俺と朋美は言わずもがなテンションMAX。
「さぁ、さっそく観光だぁ! 朋美! 先ずは福岡ドームに行こう!」
「はい! そして次はキャナルシティですね! お買い物楽しむぞ~!」
そんなテンションの俺達はそんな俺達を見て周りの人達がクスクス笑っていたのに気付かなかった。
ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m
面白いと思われたら ♡ ☆評価 コメント レビュー等を頂けたら嬉しいです (* ̄∇ ̄*)
今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m
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