第46話 本当ですか!?

俺のプチ家出の一件以来、朋美は仕事の時以外は俺の傍を離れなくなった。


朝起きてから出社するまでの時間も鳥の雛みたいにずっと俺の後ろを付いて回り、朝食の準備をする時は、俺の姿が必ず見える場所で調理をし(俺に " 必ず私から見える場所に居て下さいね " と指示をしてきた。少しでも朋美の視界から外れると焦りだす始末だ)自分の化粧をする時も化粧道具を持って俺の隣でコンパクトな鏡(100均で売ってそうなやつ)を見ながら化粧をする様になってしまった。 


その鏡じゃ化粧しづらくない? 鏡台の方が良くない? と提案したけど、朋美は俺の提案に対して一切首を縦に降らなかった。


出社時も滅茶苦茶名残惜しそうに俺から離れて出社し、仕事中も空き時間があればSNSでメッセージを飛ばしてくる。 忙しくて返事を返すのが遅れたりした時は、鬼の様にメッセージが入ってくる。


" 何故返事くれないの? "


" もしかしてまた居なくなったりしませんよね? "


" 既読付かない……(泣) "


" お願いだから返事して下さい(泣) "


等々。


最近ずっとこの調子だ。


う~む。これでは俺も朋美も仕事にならない。 今晩じっくりと話し合う必要がありそうだ。


……ほら、今もポケットの中にあるスマホのバイブが震えっぱなしだし。 ……あっ、禿げに睨まれてる。何故俺をそんなに睨むんだあの禿げは?


朋美からの怒涛のメッセージ攻め(本当に大丈夫か? 仕事場で怒られてない? 心配になるんだが?)の中、やっと仕事が終わり会社を退社して帰宅する。


おや? 鍵が開いているな。どうやら俺より先に朋美が帰宅していたみたいだ。


玄関のドアを開け


「ただいまぁ~」


部屋の中に向かって声を掛けると


「雄二さん!! お帰りなさい!! 私、寂しかった。ギュッとして!!」


部屋の中から朋美が小走りでやって来て俺に抱き付いていた。 俺は朋美のリクエスト通りに朋美の身体を抱き締め


「ただいま朋美。寂しかったって言っても今朝一緒だったろ? まだ1日も経っていないじゃん」


「寂しかったのは本当だもん! 雄二さんと少しの時間でも離れるのは嫌なんだもん! ずっと一緒に居ないとまた雄二さんどっかに行っちゃうもん! そんなの絶対に嫌なんだからね!!」


うわぁ……何かこの前の出来事が朋美の中でトラウマっぽくなってるみたいだなぁ。 俺を抱き締める腕の力が徐々に徐々に強くなってきた。 ち、ちょっと朋美さんや、ちょっと痛いんだが? 力強すぎなんじゃないかい?


その後、帰宅後の定番である 食事・風呂をすっ飛ばして……何故か俺と朋美は寝室のベッドの中に居た(勿論全裸で)。 …いや何でだ? 何故こうなってる? 別に嫌じゃないけど。 しかし……腹減ったなぁ。朋美、今晩のご飯は?


その後とりあえず夕飯を食べ終わった俺達は、今の生活スタイルについて話し合いをした。 


俺の要望的には 


① いつもくっつかない。 ② 化粧はちゃんと鏡台の前でする。 ③ 会社出勤中はSNSのメッセージは休み時間にする。 ④ 会社のイベント事には極力参加。どうしても嫌な場合は除く。


朋美の要望的には


① 自分の視界から離れない。 ② SNSのメッセージにはちゃんと反応して欲しい。 ③ 仕事が終わったら自分といつも一緒に居て欲しい。


この両方の要望を踏まえて話し合いをした結果、こう決まった。


① 朝は身支度をきちんとしてから会社に出社するまで一緒に居る。 ② SNSのメッセージは休み時間にする。で、俺は朋美のメッセージにはちゃんと反応して返事を返す。 ③ 会社のイベント(飲み会等)には極力参加する。どうしても嫌だったり都合の悪い時はその限りではない。


朋美はこの決まり事に納得していなかったが、俺の強い要望に折れてくれた。


折れてくれた代わりと言ってはなんだが、夜のスキンシップは必ずする事と約束させられたけどね。


よし。これで今まで通りの生活に近いスタイルになりそうだ。





それから数日後。


俺は帰宅後に朋美に提案を持ち掛けた。


「なぁ朋美」


「はい。何ですか?」


「次の連休なんだけど、何か予定入ってる?」


「いえ。特には予定ありませんけど? 強いていえば雄二さんと1日中イチャイチャする事位ですかね?」


よく恥ずかしげも無くサラッとそんな事を言えるなこの娘は//////


「じゃあさ、連休に何処かに行かないか? 泊まり掛けで」


「えっ!? もしかして旅行ですか!? 雄二さんと2人きりで!? 本当ですか!?」


「勿論そのつもりだけど。 もしかして嫌かな?」


朋美のビックリした反応を見て、少し不安になった俺。やっぱり嫌だったかな? しかし帰ってきた答えは


「行きます!! 絶対に行きます!! 何が有っても行きます!! 例え両親が死んだとしても絶対に行きます!!」


いや、両親がヤバかったらそこはそっちに行こうよ。


「じゃあ決定な」


「はい♡ 楽しみだなぁ~♡ 雄二さんと旅行♡」


という事で今度の連休に朋美と2人で旅行に行く事となった。


次の日から朋美は色々な旅行先のパンフレットを何処からか集めてきて入念なチェックをする様になった。






ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


面白いと思われたら ♡ ☆評価 コメント レビュー等を頂けたら嬉しいです(* ̄∇ ̄*)


今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m





















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