第43話 う、嘘……

~朋美side~


現在の時刻は18時。 私は今日、親戚の兄さんである水無月修に連れられて、私の中古車を探しに修君の知っているお店回りをしてきました。 


私の愛車である赤い軽自動車がいよいよおかしくなりましたので、車に詳しく中古車を販売している場所を色々知っている修君に前々からお願いして、今日やっと修君の都合がついたから連れていって貰ったんです。


昔からなんですが、修君はやたらと私に触れてスキンシップを図ってくるんですよね。


親戚だから嫌では無いんで(他の男なら即全力ビンタです!)そのままにしていますが、いつか婚約者である愛さんに殴られますよ? あのチャラチャラした喋り方も直した方が良いと思いますね。 絶対にナンパ男か間男に間違えられますから。 


現に最近も、修君が修君の会社の女性と街中で話をしていたら、その女性の彼氏に思いっきり殴られたと言っていましたので。


それはともかく、修君のお陰で良い中古車を見つける事が出来ました♪ 


今回私が見つけた中古車は、軽自動車じゃなくて普通車です。 


えっと、確か名前は……そうそう、シビックって言っていましたね。


今回は赤じゃなくて黒です。 


えっ、何故黒かって? それは、黒い車は雄二さんが大好きな色の車だからに他ありません♡


だって、私の愛車2号は雄二さんの好きな色にして、雄二さんを隣に乗せてドライブデートに行きたいじゃないですか♡


あっ、まだ雄二さんには車を買い換える事は伝えていません。 新しい車をいきなり雄二さんに見せて驚かせたいと思ってましたので。


もうこの時間なら雄二さん会社から帰ってきてリビングのソファーでビールを飲みながら○etflixを視ている頃ですね♡


だから、雄二さんの為にネットや口コミで評判だった唐揚げ専門店に寄って美味しそうな唐揚げを沢山買ったんです♡


早く雄二さんと一緒に唐揚げを食べながら○etflixを視たいです♡


私は意気揚々と玄関のドアを開けて


「雄二さん♡ 今帰りました♡ ……あれ?」


何時もなら " お帰り朋美 " と大好きな雄二さんの声が聞こえてくる筈なのですが……。 雄二さん寝ているのでしょうか?


私は靴を脱いでリビングへと向かいました。


……あれ? リビングの電気が着いていない?


それに、人が居る気配が……無い。 まるで私1人がこの部屋に居る様な感覚に襲われているのですが……。


「ゆ、雄二さん? 何処に居るんですか? 私を驚かそうとして隠れているんですか? そうなら私、思いっきり驚きましたから、早く出てきて下さい。私、雄二さんの大好きな唐揚げを沢山買ってきましたので、一緒に唐揚げを食べながら○etflixを視ませんか?」


…………返事がありません。


物凄い不安感に襲われた私は寝室へと向かいました。


……クローゼットが開いている…。 何故? 確か出かける前にちゃんとクローゼットは閉めた筈……。


私は急いで開いているクローゼットに近付きました。


そして次の瞬間愕然としました。


ゆ、雄二さんのお洋服が……無い。 此処にあったスーツケースも無い。


お、おかしい。何故雄二さんのお洋服が無いの? 


ゆ、雄二さん? 何処に居るんですか?


私はフラフラとリビングへと向かいました。 そしてふとテーブルの上を見ました。


……手紙?


私はその手紙を手に取り、中身を取り出しました。



" 水無月朋美様



今まで沢山の素敵な思い出をありがとうございました。 


どうか私の事は忘れて幸せになって下さい。 



部屋の鍵は後日封書で郵送致します。 



貴女に作って貰った食事とても美味しかったし、とても嬉しかったです。



少しの間でしたが貴女と過ごした時間は私にとって掛け替えの無い思い出です。



どうかお体に気を付けて幸せにお過ごし下さい。



                 神谷雄二 "



……う、嘘……。雄二さんが居なくなった……。


何で? どうして? 私何かしちゃいけない事しちゃったの? 


手紙を持つ手が震える。 何も考えられなくなる。


私はその場に座り込んでしまいました。


こ、これは夢。これは夢。これは夢なんだ。物凄く悪い夢なんだ。


……夢なら早く醒めて!! こんな悪夢は見たくないの!!


私は自分の顔を思いっきり叩きます。


……痛い。 じゃあ……これは夢なんかじゃない……の?


私は慌ててスマホをバッグから取り出して雄二さんに電話を何度も何度も何度も掛けました。


……繋がりません。 雄二さんに繋がりません。 雄二さんに繋がらないの!! 


何で!? どうして!? お願いだから電話に出て!! 雄二さん!!


私は何を間違えたの!? 何でこんな事になってるの!? ねぇ!? 誰か教えて!! 教えてよぅ!!


私はその場で泣き崩れてしまいました。


……雄二さん、私が悪かったから……私を捨てないで下さい……。 誠心誠意謝りますから……帰ってきて下さい……。








ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


面白いと思われたら ♡ ☆評価 コメント レビュー等を頂けたら嬉しいです(* ̄∇ ̄*)


今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m




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