第41話 お弁当♡

朝、慌ただしく俺と朋美は出社の準備をしていた。


俺は寝癖を整え、パジャマからスーツに着替えるだけで準備は終わるのだが、朋美はそうはいかない。


ドレッサーの前に座り髪型を整え、うっすらとだけど化粧をし、それから着替えをする行程がある。 


朋美は化粧をしなくても超絶美人なのだから、" 化粧をしなくてもそのままの素っぴんで良いんじゃ? " と言ったら怒られてしまったのは記憶に新しい。


二人とも出社の準備が整ったので、俺は玄関を出ようとした。 その時朋美に呼び止められた。


「雄二さん。ちょっと待って下さい」


「ん? どうしたの朋美?」


すると朋美は自分の後に隠していた物を


「はい雄二さん♡ お弁当です♡ 愛情たっぷり込めて作りましたので、残さず食べて下さいね♡」


と言って俺に差し出して来た。


「マジで!? めっちゃ嬉しい! ありがとう朋美! でも朋美、朝準備で忙しかったのによく弁当なんか作れたね?」


「雄二さんが起きる一時間前に起きて作りました。夢だったんですよね。愛している人に愛情たっぷりの手作りお弁当を作って渡してあげるの」


朋美ははにかみながら俺にそう言ってきた。


「朋美……本当にありがとうね。必ず残さず食べるから」


俺はつい朋美を抱き締めて朋美の唇にキスをする。


「ゆ、雄二さん////// 朝からそんな////// でも物凄く嬉しい♡」


俺と朋美は少しの間お互いの身体を抱き締めていた。 その為、二人とも会社に遅刻しそうになったのは言うまでもない。



昼休み。 俺は鞄から朋美お手製の愛情弁当を取り出し自分のデスクに置く。 そして弁当の蓋を開けようとした時


「あれ神谷さん? 今日はお弁当? 珍しい。 何時もなら外食なのに」


俺の背後から後輩である男性社員が声を掛けてきた。 え~っと、こいつ何て名前だっけ? ……まぁいっか。見た目俺の大嫌いなチャラ男だし。


「ああ。彼女が俺の為に早起きして作ってくれたんだよ♪ 羨ましいか。羨ましいよな。分かるぜその気持ち♪」


「……神谷さん、少しキモいその煽り。 まぁ俺も彼女居ますし、時々彼女が弁当作ってくれるので羨ましくは無いけどね」


……ムカッ! 何かイラつくなぁこいつ! ま、まぁ、俺は大人だし、今は滅茶苦茶気分が良いから寛大な心でその暴言は許してやろうじゃないか。 大人な俺に感謝したまえよ名前も知らない後輩よ。


「で、神谷さん。神谷さんの女ってどんな感じ? まぁ神谷さんを好きになる位の女だから大した事無いんでしょうけど(笑) 俺の彼女は超絶美人だよ。おっぱいもデカいし(笑)」


イライラッ! よし、俺を挑発しているんだな? よしお前の挑発に乗ってやるよ!


俺はスマホを操作して朋美の写真を後輩に見せた。


「この娘が俺の彼女だよ」


「…………めっちゃマブい。めっちゃ好み。……なぁ神谷さん、この娘俺に頂戴よ? 神谷さんには勿体無い位良い女じゃん? 俺が毎日可愛がってやるから………って、ギャアアアアアアッ!?」


俺の肩に手を置いてそんなふざけた事を言った後輩の肩関節を俺は瞬時に極めてデスクに身体ごと押さえつける。そして


「……おい小僧……今なんつった? 調子に乗んなよクソガキが? 全身の骨という骨ぶち折るぞ? それとも簀巻きにしてコンクリートで固めてから深夜の海でアクアラング無しのスキューバダイビングでも楽しんでみるか? おい選ばせてやるよ。 一生ベッドの上かスキューバダイビングするか。 どっちだ?」


と優しくチャラ男に問い掛けてみた。 するとチャラ男は顔を真っ青にしながら


「もう生意気言いません!! もう貴方に絡みません!! もう貴方の彼女をくれなんて死んでも言いませんから!! もう許して下さい!!」


と懇願してきた。 ……ちっ!情けない奴め。 ついつい昔のやんちゃな俺がはしゃいじまったじゃないか。


俺はチャラ男を解放し


「二度と絡んで来んなよクソガキ」


チャラ男は何度も首を縦に振り、俺に極められていた肩を押さえながら何処かに消えていった。


後で聞いた話だが、チャラ男はこの後直ぐに会社を退職し、田舎に帰っていったとの事だった。 まぁ興味は無いから知らんけど。


さてチャラ男はほっといて今は朋美の手作りの弁当だ。 俺は弁当箱の蓋を開けた。


……めっちゃ美味しそうだ。俺の好物の唐揚げ、ウインナー 卵焼き ポテトサラダ 等々色とりどりのおかずに大盛御飯。 これで美味しくない訳が無い。


でも……御飯の上にピンクのハートを乗せるのは止めて。めっちゃ恥ずかしいのよ。


何はともあれ朋美の手作り弁当はよ~く味わって、米粒1つ残さず美味しく戴きました。 その後、弁当箱は給湯室で綺麗に洗いましたよ。



帰宅してから朋美に弁当の感想とお礼をしっかりと告げる。


「喜んで貰えて良かったです♡ 味はどうでしたか?」


「物凄く美味しかった♪」


「じゃあこれからも毎日作りますね♡」


「お願いします」




朋美はキッチンで俺には聞こえない位の小さな声で


を隠し味に入れて正解でしたね。ちょっと厳しいけど、これからも頑張ってを隠し味に入れなくちゃ♡」


と呟いていた。





ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


面白いと思われたら♡ ☆評価 コメント レビュー等を頂けたら嬉しいです(* ̄∇ ̄*)


今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m













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