第36話 しつこいです!
~朋美side~
私は今、会社の受付内で絶賛仕事中です。 まぁ、余り仕事に集中出来てはいませんが。 何故かって? それはですね。
「……結構私の私物を雄二さんのお部屋に運び入れる事に成功しましたね。 雄二さんも私の私物が増えている事に薄々気付いているみたいですが、何も言って来ませんから了承してくれているのでしょう。 ふふふ……もう少しで私の私物を(必要最小限)運び入れ終わります。これでずっと雄二さんと一緒に居られますね♡」
……おっと、嬉しくて思わず一人言を言っていましたね。
「……朋、あんた、そんな事やってたの? もしかして朋、彼氏となし崩しに同棲するつもりなの? 重たくない?」
私の隣に居る舞ちゃんがジト目で私を見てきました。 失礼な! 私は重たい女じゃありませんよ!
「私はそんな重たい女じゃないもん! 雄二さんも受け入れてくれてる筈だもん! いずれは一緒に暮らすんだから、私の荷物運ぶのは当然の事だもん!」
「……いやいや、朋のその行動は十分重たいって。もしかして自覚無い?」
私は舞ちゃんの言葉を無視する事にしました。 私の隣で舞ちゃんが何か言ってるけど聞こえな~い。
もうすぐお昼になろうとする時に受付にお客様が来られました。 私と舞ちゃんは笑顔で
「「いらっしゃいませ」」
と頭を下げて対応。 ……って…うわぁ。 嫌な顔見ちゃったなぁ。
来社されたお客様は、◯✕物産の営業マンの毒島さんでした。 私はこの毒島さんが苦手なんです。 だって、いつもいつも会う度に私を食事や遊びに誘ってくるんですよ。私には大切な人が居ると強く伝えている筈なのに、それでもしつこく誘ってくるんです。 正直迷惑でしか無いんですよね。 それに私の事をいやらしい顔でじろじろ見てくるんです。 本当に不快でしかありません。 毒島さんは舞ちゃんには興味が無いみたいで、舞ちゃんが話し掛けても無視もしくは邪険にするみたいな対応をするんですよ。 私的にはそれも許せないんですよね。 舞ちゃんもそれが分かっているので、毒島さんに話し掛けないんだけどね。
毒島さんは案の定舞ちゃんを無視して私に
「水無月さ~んこんにちわ♡ 貴女の
と気持ち悪い猫なで声で話し掛けてきました。 誰が貴女の毒島海ですか! 気持ち悪いんですよ! 私は貴方にミジンコ程も興味はありませんから! 本っ当に止めて下さいよ! 誘われても死んでも行きませんよ! 行ったら最後、何されるか分かったもんじゃありませんから! 私には雄二さんという最愛の男性が居るんですから、貴方には1ミクロンもチャンスはありませんよ!
「毒島様、その件に関しては再三お断りしている筈ですが。 それに、只今業務中ですので、業務と関係無い話はしないで頂けますか?」
「じゃあさ、仕事が終わったら誘うからさ、待っててよ♪」
「お断り致します。 今日はどんな御用事でしょうか」
「……ちぇっ。冷たいなぁ。 まぁそこも魅力的なんだけどさ。 今日はそちらの課長さんと先日約束していた件について来たんだよ。課長さんに取り次いで下さいな」
「……少々御待ち下さいませ。課長にお取り次ぎ致しますので」
私は内線で課長に連絡を入れて課長をロビーに呼び出しました。
そして時間が経ち、今日の業務が終了しました。 さぁ、さっさと帰る準備をして雄二さんの元へ向かいますよ♡
私が帰る準備をしていると、受付に毒島さんがやって来ました。 本っっっ当にしつこいなぁ。
「やぁ水無月さん♡ 迎えに来たよ♡ 仕事終わったでしょ? 俺が昼間に言ってたお洒落なbarに行こうよ♡」
「……お断り致します。今から私、彼氏の所に行きますので」
「またまたぁ。本当は彼氏なんて居ないんでしょ? 恥ずかしがらないで良いからさぁ。 水無月さんの本音は分かってるよ。俺と仲良くしたい癖に意地張っちゃって♪ 可愛いんだから♡」
……本気で気持ち悪いんですよ! 仲良くしたい訳無いでしょうが! 頭腐ってるんじゃ無いですか!?
「ほら、行こうよ♪ 奢るからさ♡」
毒島さんが私の手を掴んできそうになりました。 その時
「おい貴様。俺の女に何してやがるんだ? 事と次第によっちゃ、貴様死ぬぞ?」
毒島さんの肩を掴んだ手と共に強烈な威圧を込めた言葉が聞こえてきました。
あっ、雄二さん♡ 何故雄二さんが?
「お、俺の女? じ、じゃあ本当に水無月さんには彼氏が? 恥ずかしがっていた訳じゃ無くて?」
「私はずっと言っていましたが? 私には最愛の彼氏が居ますって」
雄二さんは毒島さんをキッと鋭く睨み付け
「今なら半殺しで許してやるから、さっさと目の前から消えろ、このミジンコ野郎が!」
雄二さんの威圧に毒島さんは半泣きになりながら逃げて行きました。
「大丈夫か朋美?」
「雄二さん♡ 大丈夫です♡ でも雄二さん、どうして此処に?」
「たまには朋美と一緒に帰りたくてさ。迎えに来たんだよ。もしかして駄目だったか?」
私は受付から出て、雄二さんの胸に飛び込み
「ううん♡ 物凄く嬉しいです♡」
「しかしあの野郎、人の彼女に何ちょっかい出してやがんだよ。来て正解だったわ」
「あの人、本当にしつこかったんですよ。雄二さんのお陰で助かりました♡ ありがとうございます♡ 雄二さん」
「ん?」
「本当に格好良かったです♡ 流石私の最愛の彼氏さんです♡」
「そりゃ何よりだよ」
私と雄二さんは私の車に乗り込み、今日の夕食の食材を買いにスーパーへと移動しました♡
ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m
今回の話はどうでしたか?
面白かったらコメントやレビュー等を頂けたら今後の励みになります。
今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m
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