第35話 おやぁ?
朋美は俺のお願いを素直に聞いてくれて、朝早くからの俺の部屋への訪問は控えてくれる様になった。 でも、その代わりにほぼ毎晩位のペースで会社が終わってから俺の部屋に入り浸っている。 だから朋美が自分のマンションに帰るのが夜遅く(23時~0時位の間)になってしまっている。 俺としては、朋美も受付嬢の仕事をしているので疲労は溜まっている筈だから、来るなとは言わないが早めに帰宅して仕事の疲れを取って欲しい所なのだ。本音を言えば。
で、今は金曜日の夜20時。俺はちゃぶ台に肘を付いてテレビでネトフリを観ている。 最近俺は " ◯の実力者になりたくて " というアニメに嵌まっている。朋美に勧められて観始めたのだが、これが案外面白く、年甲斐も無く嵌まってしまったのだ。
「雄二さん、お風呂上がりましたよ♡ って、あ~っ! まだ私そのお話は観てないんですよ! も~っ! 一緒に観ましょうねって言ったじゃ無いですか! そこでストップです! 雄二さんは早くお風呂に入って来て下さい! 湯船のお湯が冷めてしまいますから!」
風呂から上がって、バスタオルで髪の毛の水分を取りながら俺の所に戻ってきた朋美に持っていたテレビのリモコンを奪われてしまった。そして観ていたアニメを消されてしまう。 あっ!? 何すんだよ! これから良いシーンだったのに!
でも、確かに朋美と一緒に観る約束をしていたから、消されても文句は言えない。 それに湯船のお湯が冷めたら沸かし直すのも面倒臭いからここは朋美に従っておこう。
俺は " よっこらしょ " と言いながら立ち上がり、着替えを準備する為にクローゼットへと向かう。
「雄二さん、よっこらしょって(笑) おじさんみたいですよ?」
「よっこらしょって言ってたか? 最近その掛け声が無意識に出ちゃうんだよな。気を付けないとな」
着替えを準備してから脱衣場に向かう。
「雄二さんがお風呂から出る頃合いでおつまみとキンキンに冷えたビールを準備しておきますね♡」
「おっ♪ サンキュー♪ じゃあ風呂行ってきま~す♪ ビールビール♪」
「ちゃんと身体を洗ってゆっくりお風呂に浸かってから出るんですよ? 烏の行水は駄目ですからね! 風邪引いちゃいますよ!」
「分かってるよ。小さな子供じゃ無いんだから」
「でも言わないと雄二さん、ものの10分位でお風呂から出てきちゃうんだもん。 この前なんか、本当にお風呂に入りましたか?みたいな時間で出てきましたから」
そ、それを言われると何も言えないんだよな。
此処でお気付きの方もいるだろう。 朋美が20時に俺の部屋の風呂に入っているという事は、今晩は朋美は此処にお泊まりだという事だ。 そう。あの日以来いつの間にか金曜日の夜に朋美は俺の部屋に泊まる様になっていた。 そして日曜日の夜まで滞在して自分のマンションに帰るのがお決まりになっている。
ま、まぁ、俺としても朋美と一緒に居られる時間が長いのは大歓迎だから文句は無いのだが。 むしろめっちゃ嬉しい。
朋美は俺にそう忠告した後、鏡台の前に座り、ドライヤーを使って自分の長くて綺麗な髪の毛を丁寧に乾かしだした。 鏡台には朋美がいつも愛用している化粧品がズラリと並んでいる。朋美は化粧品に拘りがあるらしく、いつも専門店から取り寄せて購入している。 なんでも、そこらに売っている化粧品では自分の肌に合わないらしい(朋美談) この間、アパートに高級そうな化粧品が届いたのにはびっくりしたのを憶えている。
朋美の今の服装は、ピンクの肌触りがなんとも気持ちいいパジャマを着ている。 俺の愛用しているパジャマとは大違いだ。 多分素材はシルクだろうな。 ピンクのパジャマの他にも白・ライトグリーン・薄い茶色と色々なラインナップのパジャマも有ったりする。 クローゼットの中に朋美専用の衣装BOXがあり、その中に入っている。勿論……下着も。 白・黒・ピンク・赤等々。 朋美の衣類もクローゼットの中に入っている。
最近気付いたのだが、朋美が俺のアパートに来る度に、朋美の私物が少しずつ少しずつ増えて来ている様な……。 おやぁ?
この前の事なんだが、食器棚に買った覚えの無いマグカップ(黒猫柄と白猫柄の2種類)がいつの間にか増えていたり、玄関の靴箱の中に見た事無い女性物のパンプスとハイヒールが何足も入っていたりした。 あえて朋美にはツッコミを入れていないのだが。
そして極め付けは、台所に高級そうなコーヒーメーカーがいつの間にか鎮座していた。これには俺も驚き、朋美に何故コーヒーメーカーがあるのかを聞いてみた。すると朋美は " だって、美味しいコーヒー飲みたいじゃ無いですか。雄二さんも美味しいコーヒー飲みたいですよね? " と当然の如く言われてしまった。
と、そんなこんなで朋美の私物と生活用品が着々と俺のアパートの部屋の中に増えて来ている。 もしかしたら近い内に朋美が此処にお泊まりじゃ無くて引っ越して来そうな予感がめっちゃするのだが。 気のせいだろうか?
「風呂上がったぞ~。朋美、ビール飲みたい。ビール飲みたい」
ちゃんと朋美に言われた通りに身体を洗ってゆっくり湯船に浸かってから風呂から出た。そして朋美にビールの催促をする。 すると朋美は笑顔で
「ちゃんとキンキンに冷えたビールを用意していますよ♡ おつまみはピスタチオとカシューナッツです♡ 一緒に食べながら◯etflix観ましょうね♡」
とおつまみのピスタチオとカシューナッツを入れた容器と缶ビールを持ってきてくれた。
俺と朋美は仲良くちゃぶ台の上に置いたおつまみを食べながらネトフリを一緒に観る事にした。
ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m
今回の話はどうでしたか?
面白かったらコメントやレビュー等を頂けたら今後の励みになります。
今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m
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