第34話 変化

朋美とあんな事があってから、俺に対する朋美の態度が激変した。 朋美は以前から気配りが出来、俺の身の回りの世話をしてくれる女性だったけど、あの時以来、今までよりも輪を掛けて俺を気に掛けてくれる様になった。 


「雄二さん、出社の準備は出来ましたか? ハンカチは持ちましたか? ティッシュは? スマホの充電は大丈夫? 雄二さんの会社まで車で送りましょうか? あっ、それはかまわないと。分かりました。電車で行かれるんですね。 じゃあ定期はちゃんと持ちましたか? お財布は持ちましたか? お小遣いはありますか? もしお小遣いが足りないなら私のお財布の中に2万円ありますから、雄二さんのお財布にお小遣いとして1万円入れましょうか? あっ、後愛情たっぷり込めたお弁当も作りましたので食べて下さいね。今日は用事が有って誠に残念ながら雄二さんと一緒にお昼ご飯が食べれないので……くすん。一緒にお昼食べたかったなぁ……」


今は月曜日の朝7:30。 朋美は早朝から俺のアパートにやって来て、合鍵で部屋の中に入って朝飯(2人分)を作ってくれ、寝ている俺を優しく起こしてくれた。朋美の優しく綺麗な声と旨そうな朝飯の匂いで目覚めた俺は、朋美の作ってくれた朝飯を食べ、出社の準備をして、現在に至る。


……俺に対して少し過保護過ぎな気がするのだけど。


朝の準備は自分でも出来るし(寝癖が付いている事やネクタイが曲がっている等はご愛敬)、財布の中には確か5000円位は入っていた筈。 流石に朋美に会社まで車で送ってもらうのは断った。だって朋美は超絶美人過ぎて滅茶苦茶目立つんだもん。 この前の雨の日に朋美に会社まで車で送って貰った時に、会社の玄関先に居た男性社員達から射ぬかれる様な嫉妬と羨望の視線を全方位から受けたのだ。朋美は ? みたいな顔をしていたが、俺としては居心地が悪くて大変だった。 まぁ、物凄い優越感はあったけどね。 こんな超絶美人が俺の彼女なんだぞって。 あっ、後、弁当ありがとう。朋美の作る飯は旨いから期待大だな。


「大丈夫。全部オールOKだ。ありがとう朋美、心配してくれて。朋美は大丈夫なのか? ちゃんと会社に行く準備してきたのか?」


「私はちゃんと雄二さんのアパートに来る前にして来ていますので。ダブルチェックもしましたし、抜かりはありませんよ♪ ……ふぁぁぁ……」


俺の問い掛けに答えた朋美は、俺の前で可愛らしく欠伸をした。


「何だか眠そうだな……朋美、ちなみに今朝は何時に起きたんだ?」


朋美は自分の顎に人差し指を当てて


「えっとぉ……諸々準備して雄二さんのアパートに着いたのが6:00だったからぁ……逆算してぇ……多分4:00頃かなぁ? お弁当のおかずは昨夜のうちに下拵えしておいたからそんなに時間は掛からなかったし、お化粧にもそんな時間は掛からなかったからぁ……うん。大体その位!」


「……朋美、いつもなら何時に起きてる?」


俺がそう聞くと、朋美はニコニコしながら


「6時半位かな?」


……いつもの起床時間より1時間半も早いじゃないか。 だから眠たそうな顔をしているんだな。


「朋美、明日からは俺の朝飯作りや弁当はいいから。早起き禁止な」


「えっ!? 何で!? 何でそんな事を言うの雄二さん!?」


俺の言葉を聞いて朋美が滅茶苦茶慌てて詰め寄ってきた。 だって、そりゃあ……ねぇ。


「だって、朋美、今、物凄く眠たそうじゃないか。完全な寝不足状態だよ。寝不足は美容にとって天敵だし、体調も崩すし、何より車の運転に支障が出かねない。俺の為に無理して朋美の体調が崩れたり、事故して万が一の事があったら俺は絶対に後悔する。それに……俺的には朋美にはいつも元気でいて貰いたいし、いつも綺麗で可愛く居て欲しいから」


「……雄二さん……////// そんなに私の事を……////// ……うん。分かった。 とってもとっても残念だけど、雄二さんの言う事聞いて早起きは止めます。でも雄二さんのお弁当は作らせて欲しいな。 私が作ったお料理を雄二さんに食べて欲しいもん。 う~ん。でも、雄二さんに毎日朝食を作ってあげたいなぁ……。これは由々しき問題だなぁ。これは早めに対策を練らないと駄目かなぁ……」


朋美は腕組みをして何か悩んでいる。 そんな姿も超絶可愛い。


ふと俺は置時計に視線を移すと……8:00ちょっと前を示していた。


や、ヤバい! もう遅刻ギリギリの時間じゃんか!! 今から電車に乗っての通勤だと確実に遅刻する!! ……ええぃ、背に腹はかえられん!


「と、朋美!! 御免だけど、車で会社まで送って!このままじゃ遅刻する!」


「わっ、本当だ! 今から出たら間に合いますので、直ぐに行きましょう!」


俺は朋美にお願いをして、朋美の車で会社まで送って貰った。 やっぱりと言うか、当然と言うか、俺に対して玄関先に居た男性社員からの強い嫉妬と羨望の視線が突き刺さったのは言うまでもない。




ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


今回の話はどうでしたか?


面白かったらコメントやレビュー等を頂けたら今後の励みになります。


今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m
















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