第32話 男子ごはん(裏話)

~朋美side~


明日は土曜日♪ 今晩雄二さんのアパートにお邪魔して、腕によりを掛けて愛情たっぷりのお夕飯を作らなくちゃ♡ それで、夜遅くまで雄二さんとお喋りを楽しんで、あわよくば……♡ むふふ♡


雄二さんてば、全然私が雄二さんのお部屋にお泊まりするのを許してくれないんだもん。 若い女の子が独身男性の部屋にお泊まりは駄目だって言われるんだよ? 考え方昭和の人かな? 私はそんな雄二さんをめっちゃ愛してるんですけどね♡


雄二さんのお部屋にお泊まりしたのは私がビールで酔い潰れた時のあれ1回こっきりだけ。


私達恋人だよね? 相思相愛だよね? だったら彼氏のお部屋にお泊まりしても良くないかなぁ? お泊まり位普通だよね?


今日は絶対に雄二さんのお部屋にお泊まりしてやるんだもん! そして、雄二さんにアピールして、私を美味しく……♡ な~んちゃって♡ な~んちゃって♡


そんな事を考えながら帰宅準備をしていると、私のスマホからLINEの通知音が鳴りました。


誰だろう?


私はスマホを起動させてLINEの通知を見ました。


……お父さんだ。 …何か嫌な予感が…。


お父さんからの内容はこんな感じ


" 今日は家に帰って来なさい。大事な話があるから。 すっぽかすのは駄目だからね。 もしすっぽかしたらお父さんがお前のマンション迄迎えに行くからな? "


……ほら、嫌な予感が当たっちゃったよ。


何だろう大事な話って? ……帰らないと駄目…だよね? 


……はぁ~~~~っ。 折角の雄二さんのお部屋にお泊まり計画がぁ~。


私は雄二さんのLINEにメッセージを入れました。




" 愛しい雄二さんへ♡



 今日実家から呼び出しが掛かりまして、今晩雄二さんのアパートに向かう事が出来ません。本当にごめんなさい( ノД`)… 本当に悔しいです(≧口≦)ノ 糞…もとい、お父さんの呼び出しですので、無視する訳にはいかず。



雄二さんに愛情たっぷりの夕御飯を振る舞う予定が……。 本当にどうしてやりましょうかあの糞親父(`Δ´) 



明日は必ず雄二さんのアパートにお伺い致しますので。



今晩の夕御飯ですが、お弁当やカップヌードルは駄目ですよ? 栄養が偏りますので。 出来れば外食を(でも、野菜はしっかり摂って下さいね)して下さいね。 雄二さんは自炊しないでしょ?



朋美 "



これでよしっと。 少し雄二さんを煽った文章になっちゃったかも。でも、本当の事だから良いよね?


私はスマホをバッグの中にしまい、帰宅準備を終わらせました。


……本当に下らない話だったら容赦しないんだからねお父さん!


愛車の赤い軽自動車に乗り込み、エンジンをスタートさせて実家へと向かいました。



実家に着き、車から降りて家の中に入りました。 リビングに行くと、お父さんがソファーにふんぞり返って座っていました。 ……なに偉そうに座っているのかなぁ? 正直イラッとしました。


「帰ってきたか朋美。そこに座りなさい」


私はお父さんが座っているソファーの前のソファーに座り


「何の用事? 大事な話があるって言ってたけど。私滅茶苦茶忙しいんだけど? 手短に話して」


雄二さんのお部屋にお泊まり計画を潰された私はお父さんに敵意満々でそう言いました。


「…何怒ってるんだお前は?」


当たり前です! そんな事より早く今日私が呼び出された大事な話とやらをして下さい!


「…まぁ良い。朋美、これを見なさい」


お父さんは紙袋から写真を取り出してテーブルの上に置いてきました。


……もしや。これは……。


「朋美にとっても良い話だと思うぞ。この写真の男性は◯✕株式会社の社長の御曹司だ。どうだ、イケメンだろ?」


お見合い写真でした。


…………ブチッ!


ガッシャーーーン!!


私はテーブルを掴んで一気にお父さんの方に向かってひっくり返しました。


お父さんは自分に迫ってくるテーブルから間一髪逃げました。 …チッ!当たれば良かったのに!


「な、何をするんだ朋美!危ないだろ! というか、お前の何処にそんなテーブルをひっくり返す力が!?」


「うるさいです! 当たれば良かったのに! 私はお見合いなんかしません! 私には超絶格好良い彼氏が居るんですから!」


「親に向かって当たれば良かったのに!とは何事だ! それに彼氏だと? 私は知らないぞそんな話!?」


お父さんがそう言うと、お母さんが何処からともなくひょっこりと現れて


「あれ? 言ってませんでした? てへっ♪」


「知ら~ん!! 何処の馬の骨だ!! そんな奴には家の娘はやらん!!」


私は怒るお父さんの胸元を素早く掴んで


「何処の馬の骨? 超絶格好良い雄二さんの事、馬の骨? いくらお父さんでも許さない……よ?」


多分その時の私は視線だけで人を◯せたと思います。 自覚はありませんが。


「わ、私が悪かった。もう言わないから。だから落ち着け」


お父さんが慌てふためいて私を宥めて来ました。


私はお父さんの胸元から手を離して


「そのお見合い話は断って下さいね! そして2度とお見合い話を持ってこないで下さいね!」


お父さんはコクコクと首を何回も縦に振ってくれました。 ふぅ。これでよしっと。


「それじゃ私は帰りますね。全く無駄な時間を過ごしてしまいましたよ」


「またね~朋美。今度は雄二さん連れてらっしゃいな」


お母さんがそんな事を言ってきました。 ふむ。それも良いですね。


私は放心しているお父さんをそのまま放置して愛車に乗り込んでマンションへ帰りました。


部屋に入ってソファーに座り一息。 全くあの◯親父は……。


……雄二さん成分が足りない……。 でも、今日は雄二さんの所に行けないと言った手前、今から雄二さんのアパートに行く訳には……。


あっ、そうだ! 確か雄二さんSNSやっていた筈! せめて雄二さんのSNSを見て雄二さん成分を補給しましょう!


私はスマホを操作して雄二さんのSNSを閲覧する事にしました。 すると、雄二さんのSNSにはとても美味しそうな焼き飯とスープの写真がUPされていました。


……怪しい。 雄二さんがこんな美味しそうな焼き飯とスープを作れる訳が無い。 だって、雄二さんはいつもお惣菜(唐揚げ)とお弁当なんですよ? そしてビール。 雄二さんが自炊している所を見た事ありませんもん。


……もしかして誰か他の女が……。


私は慌てて雄二さんのスマホに電話しましたが……雄二さんは電話に出ませんでした。


……私は急いでバッグを持ってマンションを飛び出し、車に乗って雄二さんのアパートへと向かいました。 法定速度? そんな物は知りません。


いつもより早めに雄二さんのアパートに到着。車を急ブレーキで止めた私は急いで車から降りて雄二さんのお部屋に向かいました。


インターフォンを押すのも忘れてドアノブに手を掛けると……鍵が掛かっていません。 もしかしたらこの中で雄二さんと女が……。 


私はドアノブを捻り、玄関を開けてお部屋の中に入りました。 すると、和室の畳の上で雄二さんが酔っ払った状態で気持ち良さそうに寝ていました。


私は辺りをキョロキョロと見渡しましたが、女の気配はありませんでした。 そしてキッチンの流しの中にフライパンや包丁や食材の葛が散乱していました。


……どうやら私の取り越し苦労……みたいですね。 はぁぁぁぁっ。良かった~。 じゃああの雄二さんのSNSにUPしてあった料理は本当に雄二さんが自炊した物だったんだぁ。 もし他の女が作った物だったら、こんなに散らかしてないものね。ちゃんと片付けて帰るだろうし。 もしこんなに散らかして帰ったのなら、同じ女として軽蔑しますね。


安心した私は力が抜けて、へなへなとその場に座り込んでしまいました。


チラッと寝ている雄二さんを見ると……可愛らしい寝顔♡ 物凄く魅力的♡ 


そうだ♪ このまま雄二さんと一緒に寝ちゃおう♡ 雄二さんにお泊まりの許可を貰っていませんが、まぁ良いでしょう。だって、雄二さん寝てるし。


私は玄関の鍵を閉めた後、雄二さんのベッドから掛け布団を持ってきて、雄二さんに掛け布団を掛けました。そしてその掛け布団の中に潜り込みました。 丁度雄二さんの胸元辺りに私がすっぽり収まる感じで♡ 


うん♡ 何だかとっても良い感じ♡ 雄二さんの香り♡ 凄く気持ち良く眠れそう♡


私は雄二さんに抱かれた(?)ままの状態で目を閉じました。


……お休みなさい雄二さん♡





ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


どうでしたか? 今回のお話は雄二の男子ごはんの裏話です。


面白かったらコメントやレビュー等を頂けたら今後の励みになります。


今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m























  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る