第28話 絶対に欲しいです!

「雄二さん、今晩のおかずはにんにくをたっぷりと効かせた唐揚げにしようと思っています♪ ですので、鶏肉さんを買いたいのでスーパーに寄ってから帰りましょうね♡」


「ありがとう朋美。唐揚げかぁ。凄く楽しみだよ♪ 朋美の作ってくれる料理はどれも絶品だから期待しちゃうよ」


「もぅ雄二さんたら////// そんなに煽てても、後はビールと私の愛情しか出せませんよ//////」


「いやいや、煽てるだなんて。俺は本当の事しか言ってないから」


会社からの帰り道、俺は朋美が運転する車の助手席に乗り、朋美とそんな会話をしていた。


俺と朋美が付き合いだしてから、朋美はよく俺のアパートに来てくれて夕食を作ってくれる様になった。 朋美も忙しいのに、俺の為に悪いなぁといつも思う。


朋美が夕食を作ってくれる時は朋美が車で俺の会社まで迎えに来てくれる。 朋美の車に乗り込む時に禿げによく物凄い顔で睨まれるが気にしない。 羨ましいだろ禿げ? お前は一生独り身を味わいやがれ(笑)


アパートの近所のスーパーで夕食の食材である鶏肉とビールとを購入。スーパーで買い物している時の俺と朋美は端から見たらどの様に見えているのだろう? 恋人? それとも新婚の夫婦? それ位朋美は俺にべったりなのだ。


朋美の車はアパートの駐車場に停車させる(朋美が来た時に車を停めれる様に駐車場を借りた。月額10000円也)。 アパートの近くにコインパーキングもあるのだが、ほぼ毎日と言って良い程朋美は俺のアパートに夕食を作りに来るので、コインパーキングでは金が掛かり過ぎる為、アパートの大家に言って駐車場を借りたのだ。


アパートの部屋に入り、購入した荷物をテーブルの上に置く。


朋美はさっそく腕捲りをしながら


「じゃあ今から私の愛情をたっぷり込めた唐揚げを作りますね♪ 雄二さんはテレビでも観ながら待っていて下さいね♡」


「や、俺も手伝うよ。いつも朋美だけに任せるのは悪いから」


俺も夕飯を作るのを手伝う為に着ていた背広をハンガーに掛けた後、腕捲りをしながら朋美の近くに行く。 しかし、朋美に笑顔で背中を押され


「駄~目♡ 雄二さんのお夕飯を作るのは私の楽しみなんですから、私の楽しみを盗らないで下さ~い♡ ささっ、雄二さんは座って座って♪」


と台所から追い出されてしまった。


「んじゃお任せいたしますか。朋美、くれぐれも怪我だけには気をつけてね」


「は~い♡ 了解です♡ 雄二さんてば本当に心配性なんだから♡ 毎回言ってますよその台詞♡」


「仕方ないだろ? 本当に心配なんだから。朋美に万が一の事があったら後悔してもしきれないからな」


「大丈夫ですって。でも、雄二さんが私の事を心配してくれるのはとても嬉しいです♡」


俺を台所から追い出した後、朋美はご機嫌に鼻歌を歌いながら唐揚げを作り出した。 俺は、畳の上に置いてある座布団の上に胡座を描いて座り、朋美の料理をする姿を眺める事にした。


……この眺め、物凄く良い! 最愛の彼女が俺の為に夕飯を作ってくれている後ろ姿を眺めるのは最高に幸せだ。 皆、そう思わないか?


……そうだ。今の内にこれを俺のポケットの中に忍ばせてっと。 後でこれを朋美に渡して朋美を驚かせてやろう。驚くかどうかは分からないけどな。もしかしたらいらないと言われるかも知れないけど。


俺はとある物を自分のポケットの中に忍ばせる。


それから数十分後、にんにくの良い匂いがする朋美特製の唐揚げが出来上がった。 朋美はニコニコしながら唐揚げとキャベツの千切りが沢山乗った皿を持って俺の居る和室へとやって来た。 持っていた皿をテーブルの上に置き


「私の愛情たっぷりの唐揚げ完成です♪ 熱い内に召し上がって下さいね♪ あっ、いっけない。ご飯を忘れてました。直ぐによそってきますね」


朋美は台所に置いてある炊飯器の所に行き、炊飯器の蓋を開けて茶碗に飯を大盛につぎ始めた。勿論俺の飯だ。 そして大盛につがれた飯を俺の前に置き、次に自分の茶碗に飯をつぎに行った。


テーブルの上には2人分の唐揚げと飯、そして味噌汁が並ぶ。 朋美の前には湯飲みに入ったお茶。俺の前には缶ビールと冷えたコップ。


「では」


「「戴きます♪」」


俺と朋美は手を合わせてそう言って朋美の作ってくれた夕飯を食べ始めた。


「雄二さん、はいどうぞ♡」


朋美は俺の前に置いてある缶ビールを持ち、コップに注いでくれる。


「ありがとう朋美」


俺は注いで貰ったビールを一気に飲み干し


「くぁぁぁぁぁっ♪ 旨いなぁ♪」


「ふふっ♪ 雄二さんは本当に美味しそうにビールを呑まれますね♪ 見ていて楽しい気持ちになります♡」


「そ、そう? じゃあ朋美特製の唐揚げを戴こうかな」


俺は唐揚げを箸で掴み、一口齧る。


唐揚げからたっぷりの肉汁が口腔内に溢れ出す。そしてにんにくの程良い香りと味も口の中に拡がる。 滅茶苦茶旨い! それしか言えない! 味噌汁も一口飲む。 味噌汁も俺の好みの味だ。ほっとする。


「唐揚げのお味は如何?」


「滅茶苦茶旨いよ! もう最高! 味噌汁も俺の好みの味だし。 やっぱり朋美は料理上手だね♪」


「良かった~♡ 雄二さんに美味しいって言って貰えるのは本当に嬉しい♡ じゃあ私も食べよ~っと。…うん♪美味しい♪」


そして楽しく夕飯を食べ終わり


「「御馳走様でした!」」


「じゃあ私、食器洗っちゃいますね♪」


「朋美は座ってて。食器は俺が洗うから」


立ち上がり食べ終わった食器を洗う為に食器を持って台所へと移動しようとする朋美を止め座らせる。 食器洗い位は俺がするから。


「えっ、でも」


「良いから。俺に任せて」


「……じゃあお願いします雄二さん♡」


「お願いされました♪」


俺は食器を台所へと持っていき、食器を洗う。そして綺麗に食器を拭いて片付けた。


和室に戻ってきた俺に朋美は笑顔で


「お疲れ様でした雄二さん♪ 凄く助かっちゃいました♡」


「これ位何て事無いよ。楽勝だよ♪」


「それでもです♪」


座布団の上に胡座を描いて座ると、朋美が俺の足の間に頭を乗せて寝転んできた。 俺は優しく朋美の頭を撫でる。


「はしたない格好だけど、雄二さんにこうやって甘えるの好き♡」


「俺も朋美に甘えて貰えて嬉しいよ」


暫くの間朋美の俺に甘える姿を堪能した後、俺はポケットの中に手を入れて忍ばせていたある物を取り出し朋美に手渡した。


「朋美、はいこれ」


「雄二さん…もしかしてこれ」


俺が朋美に渡した物は鍵。俺の部屋の合鍵だ。


「いつでも好きな時に俺の部屋に来ていいからさ。もしかして鍵を渡すの迷惑だった?」


俺がそう聞くと、俺の足の間から勢い良く起き上がった朋美は首を横に何度も振り、本当に大事そうに部屋の合鍵を握り締め


「絶対に欲しいです! 雄二さん、本当に貰って良いんですか? 私、合鍵貰っちゃったら毎日入り浸りますよ?」


「むしろwelcome」


「本当に嬉しい♡ ありがとう雄二さん♡ この鍵はもう絶対返しませんからね♡」


朋美は渡した合鍵を自分のキーケースにいそいそと付けて嬉しそうに微笑んだ。





ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


面白いと思われたら★評価 🖤 コメント レビュー等を頂けたら今後の励みになります。


今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m



































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