第25話 居酒屋 その2

突然の出来事に困惑気味の下野と一緒に会社近くにある居酒屋へと移動した。


「いらっしゃいませ。何名様ですか?」


アルバイトであろう大学生らしき男性から威勢の良い声が掛かる。


「えっと、今は2名なんだけど、後でもう1名来ますので3名かな?」


俺がそう説明する。


「畏まりました。3名様ですね。あちらの席へどうぞ!」


俺と下野は店の奥のテーブル席へと案内される。


下野はテーブル席の奥に座り、俺は手前の席に座る。何故か。それは後で朋美が来るので朋美が座りやすい場所側に俺が居た方が都合が良いからだ。


「御注文をお伺いします」


「えっと生ビールとタコわさを」


「俺も生ビール。それと枝豆と若鶏の唐揚げをお願いします」


「生ビール2つ・タコわさ1つ・若鶏の唐揚げ1つですね。後は」


「とりあえずそんな物で」


「畏まりました。少々お待ち下さい。生2・タコわさ1・唐揚げ1でーす」


アルバイトの男性は俺達がオーダーした品を厨房に伝えに行った。


「……さて神谷。お前には聞きたい事が山ほどある。嘘偽りなく答えて貰うぞ?」


「ああ。了解だ。しかし、答えれない事には黙秘権を行使させて貰うがな」


「……良いだろう。さて、最初の質問だが、お前……彼女出来たのか?」


「……ああ。つい最近出来た」


「彼女居ない歴=年齢だったお前が……いつも良い人止まりで終わっていたお前が……彼女……」


「……俺自身も正直びっくりしている。俺に彼女が出来るなんてな」


「で、どんな娘なんだ? 名前は? 可愛いのか? 年齢は何歳なんだ? 職業は? 親御さんは何をしている人なんだ?」


「お前は俺の親父か」


「心配なんだよお前の事が。お前の親父さんとお袋さんが事故で亡くなってからお前1人だったろ?」


「ああ…そうだな。親戚はいるけど、もう疎遠になっているから事実上1人だな。……ありがとうな天馬」


「……久しぶりに天馬って言ってくれたな雄二。嬉しいぜ」


俺と下野は高校生の時からの付き合いだ。勿論大学も一緒だ。下野とはよくつるんで遊んでいたから結構仲が良い。親友と言えるだろう。だから下野は俺の両親の事も知っている。 なら何故親友なのに名字呼びなのかと言うと、俺達はもう社会人だ。いつまでも子供じゃないから、名前じゃなくて名字で呼ぼうって、会社に入社してからいつの間にかそうなっていたからだ。


俺達がそんな話をしていると


「御注文の生ビール2つ・タコわさ1つ・唐揚げ1つです。ごゆっくりどうぞ!」


さっきのアルバイトの男性が俺達の注文した品を俺達が座っているテーブル席へと運んで来てくれた。


「じゃあ乾杯でもすっか」


「そうだな」


俺と天馬は生ビールのジョッキを持ち


「「乾杯!」」


ジョッキ同士をカチンと軽く合わせて乾杯をする。


俺と天馬は生ビールを勢い良く喉に流し込む。 くあぁぁぁ~♪ この生ビールの喉越しと苦味。最高♪


「…で雄二、さっきの話だが、どうなんだ? キリキリ答えろよ?」


「あ、ああ。 俺の彼女の名前は水無月朋美。可愛いかどうかは天馬の判断にお任せだ。俺的には朋美は超絶可愛くて綺麗な女性だよ。年齢は俺達の1こ下の24歳だ。職業は○○株式会社の受付嬢をしているな。 親御さんの職業は……そう言えば知らないな。でも、朋美の立ち振舞いや住んでいる所とかから推測してもかなりしっかりしている親御さんだと思う」


「ほぇ~。朋美さんって言うのか。○○株式会社ってかなりの大手だぜ? そんな所の受付嬢してるなんてすげーな」


天馬が生ビールを呑みながら俺を見てニヤニヤしてくる。 すると居酒屋の入り口の扉が開いて1人の客が入ってきた。


「…………はっ! い、いらっしゃいませ! お1人様ですか? もしお1人様でしたら一緒に…」


アルバイトの男性が来客者を見て一瞬固まり、直ぐに再起動して人数の確認をする声が聞こえてきた。 それと来店した客をナンパをする声も。 おいおい、仕事中だろ? ナンパしてんじゃねーよ?


「いえ、先に " 彼氏 " が来ている筈ですから、其方へ合流しますので」


「そ、そうですか……彼氏居るのかよ……」


どうやらアルバイトの男性は来店した女性客(アルバイトの男性がナンパしていたからおそらく女性。アルバイトの男性に変な趣味が無かったら)にあっさりと撃沈された様だ。 アルバイトの男性が仕事中にも関わらずナンパをする位の女性客だ。さぞかし美人さんなんだろうな。 俺は興味本位で来店した女性客の方に視線を向け……口の中のビールを勢い良く天馬に向かって吹いてしまった。


「わわっ!? 汚ねーな!? 何すんだよ雄二!?」


天馬の抗議の声はとりあえず無視だ。 何と、アルバイトの男性にナンパされていた女性客は朋美だったのだ。


天馬の抗議の声を聞いた朋美は


「雄二さん♡ 見~つけた♡」


と俺達が座っているテーブル席へと駆け寄ってきた。


そして辺りをキョロキョロと念入りに見回し、テーブルの上の品の数をチェックした後


「…ふむ。女性の痕跡は何処にもありませんね。私の考え過ぎでしたね。良かった良かった♪」


今日の朋美の服装は 黒のロングTシャツとデニムのスカート そしてスニーカー。頭にはキャップを被っていて、凄くカジュアルな服装。 でも朋美が着るとどんな格好でもお洒落で似合ってしまうから不思議だ。


「な? 言ったろ? 男だけだって」


「雄二さんの言う通りでした。すみません女が居るかもって疑ってしまって。 だって……雄二さん超絶格好良いから心配で堪らなかったんですもん」


「疑いが晴れたなら良かったよ。とりあえず朋美も座りなよ」


「は~い♪ お邪魔しま~す♡」


朋美は何の迷いも無く俺の隣に座ってきた。しかも密着する形で。


「……わぁお。滅茶苦茶美人じゃん……」


スーツに吹き掛かったビールを拭き取る事を忘れ、天馬は朋美の姿に釘付けになった。





ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


面白いと思われたら★評価 🖤 コメント レビュー等を頂けたら今後の励みになります。


今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m




私の作品である " 底辺の俺 大人気の彼女に惚れられる " の電子書籍をBOOK☆WALKER様で発売中で御座います。興味が御座いましたらご購入の方をご検討頂けたら幸いです。 1・2巻と発売中ですO(≧∇≦)O 3巻も只今申請中で御座います。

















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