第22話 ランチタイム!

1時間(正確には禿げに絡まれた時間を差し引いて45分程)のランチタイムを利用して俺と朋美は昼飯を食べに街に出掛けている。


「ごめんね朋美。あの禿げのせいで昼飯に余り時間が取れそうにない」


「そうですね、あの禿げのせいで、雄二さんとのラブラブなランチタイムが台無しですよ!」


「今回の穴埋めは必ずするから許してくれよな」


「雄二さんが悪い訳ではありませんので気にしないて下さいね。 でも雄二さん、今、穴埋めをしてくれるって言ってくれましたから次は期待しちゃいますからね♡」


「ああ。任せてくれ。次はお洒落な場所に連れて行くからさ」


「わ~い♡ やった~♡」


そんな話をしながら俺と朋美は目的の場所に歩いて行く。


「で、雄二さん、今から何処でお昼ご飯を食べるんですか?」


「本当なら行った事が無い場所に行きたかったんだけど、時間が無いので今回はパッと飯が食べれる場所に行こうと思ってるんだ。朋美には申し訳ないんだけど、サラリーマンの味方の……ほらあそこだよ」


俺が指差した場所は俺の会社の近くにある " 立ち食い蕎麦屋 " だった。


「わぁ! 人が一杯居ます! でも何故皆立って食事をしているんですか? 行儀悪くないですか?」


朋美は立ち食い蕎麦屋に興味があるみたいだが、立って飯を食べるのに若干抵抗があるみたいだ。


「それはな、仕事が忙しくて飯に時間を掛けられない奴らは座って食べる時間も勿体ないんだ。だから食べたら直ぐに移動出来る立ち食いを選ぶんだよ」


最近では立ち食いが出来る店は珍しくなってきている。 しかしこの店は昔(俺が高校生の頃からある)から潰れる事無くて、このスタイルで営業している。 忙しい我々サラリーマンには有難い店だ。


「もしかしてこの場所で昼飯食べるのは嫌か? 嫌なら場所を変えるが」


俺は朋美にそう聞くと、朋美は


「立ってご飯を食べるのは初めてですが、見ていたら何だか楽しそうですので、あそこで全然構いませんよ♪ さぁ雄二さん行きましょう!」


「お、おう」


俺と朋美は立ち食い蕎麦屋に入り、食券を購入。 そしてカウンターに向かい食券を差し出した。


俺が注文したのは月見蕎麦。 朋美はきつね蕎麦だ。


食券を差し出してから約2分位で注文した蕎麦が俺達の前にやってきた。


早い・美味い・安い の三拍子揃ったこの店は何気に俺のお気に入りである。


「わぁ♪ もうお蕎麦が来ました♪ それにとっても美味しそうです♪」


「だろ? じゃあ食べようか」


「「戴きます!!」」


カウンターに置いてある割り箸を取って割り、俺と朋美は蕎麦を食べだした。 俺はいつもの様に(時間が無いバージョン)蕎麦を勢い良く啜り上げる。 うん。やっぱり美味いな此処の蕎麦。


俺は横で食べている朋美を横目でチラッと見る。 朋美は自分の髪をかき上げながらチュルチュルと上品に蕎麦を啜っている。 ズルズルと下品に蕎麦を啜り上げる俺とは大違いだ。


当然の事ながら勢い良く蕎麦を啜って食べた俺の方が先に食べ終わる。 食べ終わった後に朋美を見ると、朋美の蕎麦はまだ半分も食べれていなかった。 俺が食べ終わったのに気付いた朋美は焦りながら


「わわっ!? ゆ、雄二さん、少しだけ待って下さい! 私も直ぐに食べてしまいますから!」


と一生懸命蕎麦を食べ始めた。


「急がなくて良いからゆっくり食べな。朋美が食べ終わる迄待ってるからさ」


「ううっ。すみません」


朋美が蕎麦を食べ終わったのはそれから約10分後だった。 俺は朋美が食べ終わるのを待ってる間、朋美の食事姿を眺めていた。 飯を食べる朋美も滅茶苦茶可愛いなぁ♪ なんて思いながら。


2人共食べ終わり店を出る。 店を出た朋美が


「美味しかったけど、雄二さんを待たせてしまいました。反省です。次はもっと早く食べれる様にしないと! リベンジです!」


ふんすっ! と鼻息を荒くして握り拳を作っていた。 そんな姿も滅茶苦茶可愛い。


そしてあっという間に昼休憩も後20分を残す所となった。


「そろそろ戻らないと不味いですね。雄二さん、私、職場に戻りますね」


「いまさらだけど時間は大丈夫なのか? 朋美の職場って駅1つ向こうのオフィス街だろ? 間に合うのか?」


「それは大丈夫です。だってほら」


朋美が指差した場所はコインパーキングだった。 そしてそこには赤い色の軽自動車が駐車してある。


「もしかしてあの赤い軽自動車って」


「私の愛車です。車なら10分で職場に着きますから♪」


「そっか。車なら間に合うか。 ……ん? 待てよ? 朋美が俺の会社のロビーに居たのが12時少し過ぎだったよな? も、もしかして朋美?」


「ばれちゃいました。少しだけ早くお昼休憩にして出てきちゃいました。雄二さんとお昼ご飯を一緒に食べたかったから♪」


朋美は可愛く舌をペロッと出しておどけてみせた。


「おいおい……大丈夫なのか? バレたら怒られるんじゃ?」


「大丈夫ですよ。私、普段から真面目にお仕事していますから。少し位ズルしたって怒られませんので♪」


「そ、それなら良いんだけど……」


「じゃあ雄二さん、またお昼ご飯一緒に食べましょうね♡」


そう言って朋美は駐車料金を支払った後、車に乗って自分の会社に戻っていった。


……本当に大丈夫なのか? 怒られなかったら良いんだけどな。


朋美の運転する車が見えなくなってから、俺も自分の会社に戻った。





ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


面白いと思われたら★評価 🖤 コメント レビュー等を頂けたら今後の励みになります。


今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m

















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