第18話 名前の呼び方

R◯UND1を出た俺と朋美さんは近くのカフェに入る事にした。


近くと言ってもR◯UND1からちょっと距離があったので、少し歩かないといけなかった。 その移動時間の間、朋美は俺の腕に自分の身体を密着させて物凄くご機嫌だった。


「♪ 雄二さん♡ カフェで一杯お話しましょうね♡ あ~、雄二さんとこうして居られて私幸せですぅ♡」


「そ、そうだね。朋美さんが幸せなら俺も嬉しいよ」


「………(プクゥ)」


「あ、あれ? 朋美さん? ど、どうしたのかな? 急に頬を膨らませて?」


「…雄二さん、もぅ! 私は誰ですか?」


「? 朋美さんですよね? 水無月朋美さん」


朋美さんの質問の意味が分からないんだが? 貴女の名前は水無月朋美さんですよね? 俺の理解力が足りないのか? 急に私は誰?と聞かれても。


「んもぅ! 私の事は呼び捨てで呼んで下さいって言ったじゃないですか! もう忘れちゃったんですか!」


! そ、そうだった。だから彼女はご立腹だったのか。 今まで 彼女居ない歴=年齢 だった俺からしたら、女性の名前を呼び捨てにするのはハードル高いんだよな。


「と、朋美さんだって俺の事を " さん " 付けで呼んでいるじゃないですか。 じゃあ俺だって " さん " 付けで呼んでも良いのでは? と思うんですけど?」


「私はさん付けで良いんです! 私は大好きな人を呼び捨てになんて出来ませんよ! 私は大好きな人には呼び捨てで呼んで欲しいんです!」


「それはそれで何か違う様な気がするんですが」


実は俺も自分の彼女から呼び捨てで呼んで欲しい願望があったりなかったりする。


「とにかく、雄二さんは私の事は " 朋美 " と呼び捨てにして下さいね! じゃないと」


「じゃないと?」


「雄二さんに呼ばれてもお返事致しませんから!」


そう言って朋美さんはプイッと俺から顔を背けてしまった。


……困ったな。どうしようか? だから、女性の名前を呼び捨てにするのは、俺にはハードルが高いんだよ。 


どうしたら良いのか分からず暫くの間無言で困っていると、そっぽを向いていた朋美さんが急に俺の方に振り向き、泣き顔で俺に抱き付いて来て


「やっぱり雄二さんとお話出来ないのは物凄く辛いです。私、雄二さんと一杯お話したいんです。 だから雄二さん、私の事を無視しないで下さい……」


……可愛いなぁもう。 なんだこの超絶可愛い生き物は? そう思った瞬間、俺は無意識に彼女の背中に手を回して優しく抱き締めていた。


「ゆ、雄二さん?」


「こんな可愛くて素敵な彼女を無視なんてしないし出来ないよ。ごめんな朋美。これからはちゃんと朋美って呼び捨てで呼ぶから。だからそんな顔しないで。ねっ?」


俺は泣いている朋美の綺麗な顔の顎をクイッと左手の指で上げ、右手の指で優しく拭った。


「ゆ、雄二さん////// 好き。大好きです//////」


「俺も朋美の事大好きだよ」


そして俺は朋美をまた優しく抱き締めた。 朋美からは " くぅ~ん♡ " みたいな甘えた声が出ている。


……うわぁ。誰だお前? 自分でも思ってしまう。本当にあのヘタレな神谷雄二か?と。  滅茶苦茶自分らしくない恥ずかしい事をしてしまったわ/////


カフェに着いた俺達は店内に入り、カウンターで飲み物(俺はホットコーヒーで朋美はホットカフェラテ)を注文し、自分の飲み物を持って席へ移動する。


今は4人席しか空いていないみたいだからそこに座りますか。


「朋美、此処に座ろうか」


「はい雄二さん♡」


俺が席に座ると、何故か朋美は俺の前の席に座らず俺の横の席に座ってきた。 しかも密着気味で。 そして滅茶苦茶ご機嫌な様子で美味しそうにホットカフェラテをチビチビと飲み始めた。


「と、朋美? 何故俺の隣に? 狭くないか? 俺の前の席が空いてるよ?」


戸惑いながら朋美にそう訊ねると、朋美は え?何言ってるの? みたいな顔をした後


「私は雄二さんの彼女なんですから、雄二さんの隣に座って当たり前ですよね? 私は大好きな雄二さんと余り離れたくありませんのでこれで良いんです♡ それとも…雄二さんは嫌ですか? 私が隣に座るのは…」


「嫌な訳無いよ」


「じゃあ問題無しですね♡ 雄二さんも早くコーヒー飲まないと冷めちゃいますよ?」


そう言って朋美はまた美味しそうにホットカフェラテをチビチビと飲み始めた。俺に密着したまま。


……俺は朋美に絶対口では勝てないかも知れないな。 そう思った瞬間だった。




ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


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今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m












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