第17話 あ、あれ?

「朋美さん、怖い思いをさせてしまって申し訳ありませんでした」


柏木達を撃退した後、俺は朋美さんのメンタルケアに努めようとした。


「…………//////」


「あ、あれ? 朋美さん?」


朋美さんに話し掛けるが一向に返事が無い。 朋美さんは何だか心此処にあらずみたいな感じで、真っ赤な顔でポケーっとしている。 不謹慎だけどそんな顔も滅茶苦茶可愛いと思ってしまった。


「お~い朋美さ~ん? どうしたんですかぁ? 大丈夫ですか~?」


俺は朋美さんの顔の前で自分の手をヒラヒラと振ってみた。 ……しかし朋美さんの反応は無い。 


ん? 朋美さんが何かを呟いている。何だろう?


朋美さんの呟きが気になった俺は、朋美さんの呟きに耳を傾けてみた。


「……俺の女////// 雄二さんが私の事を俺の女と////// えへへ……めっちゃ嬉しいんですけど////// 私は雄二さんの女……//////」


……え? 朋美さん? 


もしかして……あの時朋美さんを助ける為、咄嗟に口走った言葉が朋美さんをこんな風にしている?


あ、あれ? もしかしてこれって、朋美さんの俺への好感度はMAXなのではないだろうか?


今まで生きてきて女性にモテた事皆無(仲良くなっても良い人止まりで恋人になった事は無かった)だった俺。 だから本気で恋愛をする事を諦めかけていた俺に、もしかしたら…。


……人生初の春がやって来るのかも知れない。 俺の勘違いで独りよがりじゃなかったらの話だが。


……俺は朋美さんに好意を寄せている。 何時から? それは、朋美さんが俺の部屋にやって来てくれて、手料理を作ってくれた時からだ。 


" ああ、こんな素敵な女性が俺の彼女になってくれたら人生幸せなんだろうな " 


と。 


俺は本当はあの日から朋美さんの優しさに撃沈されていたのだ。


……でも、何回も言っているが、俺は女性からしたら " 良い人 " 止まりで恋愛対象にはならない奴だった。 だから自分の気持ちに蓋をしていたんだ。


今日朋美さんを遊びに誘ったのは、朋美さんのお陰で新規契約が取れたお礼をする為だ。 と言うのは本当なんだが、実はほんのちょっとだけ下心があった。 今日のお出かけをきっかけに朋美さんと少しでも仲良くなれたらな……という下心が。


しかし、今の朋美さんの姿を見て、 " 自分にももしかしたら…… " という気持ちが沸き上がった。


多分十中八九 


" ごめんなさい…私そんなつもりじゃなかったんです。勘違いさせてしまって申し訳ありません " 


って言われるだろうな。 そう言われるの怖いな……。


……でももう自分の気持ちを抑える事が出来ない。 振られても構わない。 振られても友達として付き合って貰えるならもうそれだけで満足だ。


……よし。言うぞ。



俺は呆けている朋美さんの前に立ち


「と、朋美さん!!」


「は、はひっ!?」


俺の大きな声にびっくりしたのか、意識が何処かに遊びに行っていた朋美さんは少し間抜けな声で返事をしてくれた。


「あ、あの、俺……俺、朋美さんとはまだ出会って数日しか経っていませんが、貴女の優しい気持ちや他人を思いやる態度に惹かれました。 朋美さんからすれば、俺の事は恋愛対象にはならないかも知れませんが、俺は朋美さんの事が好きです。 もし良かったら、俺と付き合って頂けませんか? 宜しくお願い致します!」


俺は自分でも分かる位に滅茶苦茶震えている手を朋美さんの前に差し出し、頭を下げて朋美さんの返事を待った。


数秒…数十秒……もしかしたら数分……。俺はそんな感覚を覚えた。


すると、俺の差し出した手がとても柔らかく暖かな感触に包まれた。


「う、嬉しいです雄二さん! 私が電車に轢かれそうになった時に当たり前の様に私を助けてくれた時から雄二さんの事が好きです。はっきり言って一目惚れしました。 私を助けた見返りを求めてこない態度も、私がお酒を呑んで酔っ払った時、私にいやらしい事をせず紳士的だった事も、さっきナンパから滅茶苦茶格好良く助けてくれた事も含めて、雄二さんは私の心を掴んで離さないんです。離してくれないんです。 雄二さん、私と結婚を前提にお付き合いして下さい! どうか宜しくお願い致します!」


マ、マジか!? こんな幸せな事があっても良いのだろうか!? 


俺みたいな " ジ・アベレージ " みたいな男にこんな超絶素敵で可愛い女性が彼女になってくれるなんて! 


「こ、こちらこそ宜しくお願い致します!必ず朋美さんの事を幸せにしてみせます!」


「はい♡ 私も雄二さんの事を必ず幸せにしてみせますから♡」


こうして俺と朋美さんは彼氏・彼女の関係になった。


" パチパチパチパチパチパチ!! "


「おめでとう2人共!!」


「くそ羨ましいなおい!! こんな所で告白してんじゃねーぞ? しかも上手くいきやがって!!」


「リア充爆発しろ!!」



周りから野次と祝福の声が聞こえてきた。 その声で俺と朋美さんは気付いた。此処が何処なのかに。


そう、此処はR◯UND1のボーリング場の中だった。


俺と朋美さんの顔は瞬間的に真っ赤になる。 そして


「も、もう行こうか朋美さん!」


「は、はひっ!」


俺と朋美さんは受付でボーリングのプレイ代金を支払い、そそくさとボーリング場を後にした。





「び、びっくりした。忘れてたよ、あそこがボーリング場の中だった事を」


「ふふ。そうですね。でも、忘れられない思い出になりました♪」


「ごめんね朋美さん。俺のせいで恥ずかしい思いをさせちゃった」


「……朋美です」


「?」


「……これからは私の事は朋美と呼び捨てにして下さ

い。私は雄二さんの彼女なんですから」


「……分かったよ。 と、朋美…//////」


「はい♡ 雄二さん♡」





ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m


面白いと思われたら★評価 🖤 コメント レビュー等を頂けたら今後の励みになります。


今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m











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