第16話 朋美さんとの外出 その3
ゲームの順番は 俺、朋美さんの順番。
先ずは記念すべき第1投目。 俺はボールを構え、綺麗なフォーム(自分で思っているだけ)で気合いを込めてレーンへボールを投げた。
俺の渾身のボールはレーンを転がっていき、綺麗に全てのピンを弾き飛ばした。 ストライクだ。 よっし! 幸先良いぞ!
「わぁ♪ 雄二さん凄い凄い♡ ストライクですよ♡」
朋美さんはまるで自分の事の様に可愛らしく手を叩いて褒め称えてくれる。
「偶然ですよ。 でもありがとうございます♪」
俺は朋美さんに褒めて貰った恥ずかしさを誤魔化す為に頭を掻きながらそう答え、朋美さんの座っている席の横の席に座った。 すると何故か朋美さんは顔を赤く染めてアワアワ。
「ゆ、雄二さん////// ち、近いです////// わ、私の心臓、最後まで持つかなぁ//////」
ん? 朋美さんが何か呟いているみたいだけど、声が小さすぎて聞こえない。
「朋美さん? 今何か言いましたか?」
「い、いいえ!! な、何も言っていませんよ!! つ、次は私の番ですね!! じ、じゃあ雄二さん行ってきます!!」
「あっ、はい。頑張って下さい。応援してます♪」
「任せて下さい! 雄二さんに絶対に勝ちますから!」
朋美さんは気合い十分にボールを持ってレーンへと向かって歩いて行った。 ……おかしいな? 朋美さん何か言っていた気がするんだけどな? 気のせいか?
朋美さんはレーンの前に立ち
「……うん。此処はやっぱりこれかな? 雄二さんにも私の格好良い所を見て貰いたいし♡」
朋美さんの記念すべき第1投。 とても綺麗なフォーム(お世辞抜きで)でレーンに投げたボールはレーンの右側を転がっていく。 これはストライクは無理だな。朋美さん緊張しているのかな?
そう思った俺だったが、朋美さんは緊張なんかしていなかったのだ。 そう、朋美さんが投げたボールの軌道は朋美さんの狙い通りだったのだ。
レーンの真ん中より少し先に行ったボールは " ククッ! " と軌道を変えてピンの真ん中へと向かって転がっていった。
フ、フックをかけていたのか!? 動画等でフックを使うプロボーラーを見た事はあったけど、まさか朋美さんがそんなテクニックを使って来るとは!
朋美さんの投げたボールは見事ストライクになった。
朋美さんは満面の笑顔で
「やりました♪ ストライクです♪ 良かった~。上手く曲がってくれました~♪」
「す、凄いですね。朋美さん、言っていた通りボーリング得意なんですね。驚きました」
「えへへ。私なんてまだまだですよ。世の中にはもっと上手い人が居ますから。 でも、雄二さんに褒めて貰えて嬉しいです♡」
これは完全に舐めていた。 本当に本気を出さないと負けるぞこれは。
「さぁ次は雄二さんの番ですよ♪」
「了解です! 見てて下さい!」
此処からが本番だ! 俺もボーリングは得意なんだ。朋美さんに頭を撫でて貰う為にも負ける訳にはいかない!
そして……勝負の結果はというと
俺 : スコア 245
朋美さん : スコア 246
1ピン差で朋美さんが勝利を納めた。 朋美さんは本当に凄かった。 フックとストレートを駆使してストライクを連発。 俺も頑張ったのだが、力及ばず。
「やりました! 雄二さんに勝ちました! 雄二さん、罰ゲームですよ罰ゲーム!」
朋美さんは物凄く嬉しそうだ。 な、何を命令されるのだろうか? 朋美さんの事だからそんなに酷い命令はしてこない……筈だ。 そう思いたい。
おっと、朋美さんの罰ゲームを受ける前に…朋美さんとの白熱したバトルで喉が渇いた俺は
「朋美さん、ジュースでも飲みませんか? 俺、喉が渇いちゃって」
「そうですね。私も喉が渇いちゃいました♪」
朋美さんは自分の財布をバッグから取り出してお金を俺に渡そうとしてきた。
「いやいや、此処は俺が奢りますよ。 あっ、これは罰ゲームとは別ですから」
俺は朋美さんにそう言って朋美さんがお金を出してくるのを阻止した。 流石に女性にジュース代を出させる訳にはいかないだろ?
「そ、そうですか? じゃあお言葉に甘えますね」
「朋美さんは何が飲みたいですか?」
「じゃあミルクティーで」
「了解です♪ 少し待っていて下さいね♪」
俺は財布を持って自販機へと向かう。
自販機で朋美さんのミルクティーと俺のコーヒーを買い、朋美さんが待っている所へと向かう。 すると
「や、止めて下さい! さっきから一緒に来ている人が居るって言っているじゃないですか! しつこいですよ!」
「そんな奴居ねーじゃん? 俺達と遊ぼうぜ? 楽しませてやるからよ? 心も身体もよ♪」
「そ~そ~♪ パイセンの言う事聞いた方が身の為だぜ? パイセンを怒らせるとどうなっても知らねーぞ♪」
朋美さんが柄の悪い野郎二人組にナンパされている。 あのジュースを買いに行っているだけの短い時間でナンパされるとは……。 朋美さん恐るべし。 じゃ無くて、早く朋美さんを助けないと!
俺は手に持っていたミルクティーを思いっきりパイセンと呼ばれている男の顔面に投げつけた。 ミルクティーは綺麗に男の顔面にクリーンヒット!
「プギャッ!?」
男は鼻血をその場に撒き散らし仰け反った。
「何しやがる!」
パイセンの手下が俺に噛み付いてきた。
「それは此方の台詞だ! お前ら " 俺の女 " に何してやがる!」
頭にきていた俺は、野郎二人組にそう言い放つ。
「お、俺の女//////」
朋美さんは顔を真っ赤にして俯いていた。
「痛てーなこの野郎! お前死んだぞ? この俺の顔に物を…ぶつけて…きた……」
鼻血を撒き散らした男が俺に噛み付いてきたが、男は俺の顔を見るなり顔色を青くした。 ん? お前、何処かで見た事があるな……あっ、柏木じゃないか!
柏木とは、俺が大学生の時にバイトしていたコンビニで悪さしていたから軽く〆た男だ。 それ以降俺の姿を見ると脱兎の如く逃げやがる。
「か、か、神谷さん……」
「パイセン? どうしたんすか? 早くこの野郎〆て女連れていきましょうよ?」
「ばっ、止めっ!?」
手下の言葉に俺は完全に……キレた。
「柏木ぃ~? てめぇ 調子くれてんじゃねーぞ? またあの時みたいに血達磨になりてーのか? あ? どうなんだ? 3秒以内に答えろ?」
「す、すみませんでした! 即この場から消えますので許して下さい!」
柏木は物凄い勢いで俺に頭を下げた後、脱兎の如く逃げていった。
「あっ、パイセン!? 待って下さい!!」
逃げていった柏木を追って手下も走り去っていった。
永遠に消えてろボケ!!
ここまで読んで頂きありがとうございますm(__)m
面白いと思われたら★評価 🖤 コメント レビュー等を頂けたら今後の励みになります。
今後とも拙作を宜しくお願い致しますm(__)m
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