六話 ラスボス(仮)
僕がダンジョンで記憶を失ってから一週間が経過した頃、父から新たなスマホを渡されてスマホの使い方を教わった。そんですぐに僕は自身の部屋に戻った。
「まず何しよう……最終目標は姫様の永久旦那だが……それにはまずダンジョン調査隊になれれば良いと思うのだが……」
僕は姫様率いるダンジョン調査隊について書かれてあるネットの説明記事を見始めた。
「ダンジョン調査隊……政府に認められた唯一のダンジョンを調査出来る組織……」
*
一時間、僕は姫様率いるダンジョン調査隊について自分なりに調べ終えた。
「逆ハーレムだな……」
隊員は姫様以外全員男らしいな……しかも全員モテそう……!! 早くしないと取られる!! 姫様を!!
「そうだ! 姫様恋愛したことがあるのか調べよう!」
僕は【法灯村姫 恋愛】で検索し始めた。
「おお! 無い!!」
一番手前にあった記事が【法灯村姫は恋愛経験無い!?】って記事だったので安心した。しかし油断せずにいこう。
*
一時間、僕は姫様の恋愛について自分なりに調べ終えた。
「と……とりあえず恋愛している噂とかは無かったな……」
なんかすげードキドキした……もし……結婚してたら僕は記憶を失いたくなるほど病んでいただろうな……
「……記憶を失いたくなるほど?」
ダンジョン攻略したのに僕の記憶が戻らなかった……原因は他にある……
「まさか……記憶を失くす前に僕は姫様の熱愛を知って……?」
止めておこう……
「……とにかく姫様といつでも会える関係になる方法を探すんだ!」
*
一時間、僕は姫様の個人の情報について自分なりに調べ終えた。
「姫様は超金持ちの家にお住まいだった〜!」
法灯村姫は親が両親共にダンジョン調査隊として大活躍し大金持ちになっていた。姫様は両親の厳しい教育でクールビューティーで現在二十三歳。
「身分の格差もあるのかよ〜……」
ベッドで横になってスマホをいじっていた僕は部屋のノックに気付いた。
「椛〜! 昼ごはんの時間よ〜!」
*
二十分後、昼ごはんを食べ終えた僕は自身の部屋に戻って部屋にある机付近にある椅子に座った。
「えぇっと……どうしよっかな〜……」
まじでどうしよう……姫様に近付く方法が何一つ思いつかない……
「どうしよう……」
別の調査隊に入って姫様の調査隊に移るって考えもしたが……移った者は何年もダンジョンで活躍した人だったし……僕が頑張ってる間に姫様が結婚する可能性が……
「んぁー……!!」
そもそもダンジョン調査隊に入るのに何年もかかりそう……
「う〜ん……!!」
何か他に方法は無いのか……!?
*
一時間、僕はダンジョン調査隊に入る方法について自分なりに調べている途中、ある一つの記事に注目した。
「単独でダンジョンをクリアした者がダンジョン調査隊に即入隊……!!?」
まじか……じゃあ僕も単独でダンジョンをクリアしたら……!?
「よし! いけるかもしれない!」
僕は単独でダンジョン攻略した者の顔を見てみると、見覚えのある顔だった。
「小林さん!?」
まさかあの小林さんが……確かに姫様に仕える隊員なくせに妙に軽い感じの人だったからそういうことだったのか……!
「めっちゃ異例だから難しいかもしれないが……これに賭けるしかない!」
僕は気分が上がってさらに記事を見ていると小林さんがダンジョン調査隊に入隊するまでにかかった期間は半年くらいだということが分かった。
「まじで小林さんに対して感謝しかない……! 半年かかかるがこれに賭けるしか……ないだろう!」
あっそうだ! もう一回小林さんに会って連絡先交換しに行こう! ついでにまた姫様の顔を観に行こう!
*
僕は出かける為に家の玄関に行くと父も玄関に来た。
「どこか行くのか? 椛」
「あ……ダンジョン調査隊の本部へ……」
「そうか……ならお父さんが車で連れてってやろう」
「え!? 本当!?」
スマホを渡された今日が日曜日で良かった!
「何の用事で行くんだ?」
「えっと……仲良くなった隊員と連絡先を交換しに……」
「……おぉそうか! 良かったな!」
*
夕方頃、父の車はダンジョン調査隊本部付近のお客様用の駐車場に停まった。もしかしたら姫様に会ったらしつこい男呼ばわりされるかもしれないな……連絡先交換する日をもうちょっと伸ばせばよかったか……?
「お父さんも一緒に行こう。記憶を失くした椛一人じゃ危ないだろうからな」
「ありがとうお父さん」
僕は一週間ぶりにダンジョン調査隊がいる建物に来た。ダンジョン調査隊は日曜日でも仕事するの大変だな……いや! 姫様に会えるなら日曜日が仕事でも良いぞ!
「すみません、許可はありますか?」
僕達は入口付近で警備していた二人に止められた。
「あ……」
そうか……!! 先週はダンジョン調査隊と一緒だったからすんなり歩いて入れたが……許可が無いと入れないのか……!
「すみません……許可は無いですが中に入ることは無理そうですか?」
父は交渉し始めたが……無理そうだな……
「駄目です」
あっ即答オワタ。
「許可が無いものは入れま……ってえぇ!?」
「ああ……貴方は……!?」
警備員二人が僕達の後ろを見てめっちゃ驚いた顔に変わった……もしかして救世主来た!?
「え……?」
僕と父は後ろを振り向くと、とにかく顔に威圧を感じるおじさんが一人いた。
「こ……こんにちは」
とにかく顔に威圧を感じるおじさんに僕は挨拶すると何故か睨まれた。
「お前……ダンジョン調査隊に何の用だ? まさかダンジョン調査隊に入りたいと言うのではあるまいな」
な……なんか聞かれた……! まさかこのおじさん……!
「せ……先代!!」
警備員の一人が驚きの表情で『先代』……この人ネットで見たぞ……! この人は法灯村
「あ……あの……あなたは姫様の……お……おとうさ――」
僕はとっさに両手で口を抑えた。危ねえ〜……今お父様とか言ったら殺されるな……
「お前みたいな貧弱な男がダンジョン調査隊な訳が無い。娘狙いか……?」
うっ……た……確かに僕は今見たら腕とか全然鍛えられてない筋肉だし、娘狙いも合ってる……イタい所を突きやがる!
「困るな。会いたいと言う気持ちだけで娘に会われては」
こ……今回のメインは姫様じゃ無いけど……いずれにしても入れなさそうだな……
「す……すみません……うちの息子がですね……」
「この二人を中に入れるな。分かったな」
「ちょっ……」
姫様のお父様は父の話を無視して警備員の二人に圧力をかけた……確かに一回すんなり入れたくらいの僕が何度も出入りできるはずが無いよな……
「どうする椛?」
「帰る……」
姫様のお父様はダンジョン調査隊本部の建物内に入って行った……ここで僕がもがいたら姫様だけでなくお父様にも悪い印象を与えるから……帰るしかないか……
*
その後、小林さんとの連絡先交換をあっさり諦めて家に帰った。そして僕は部屋にいる。
「はぁ〜……」
僕は超深いため息を吐いた。理由はもちろんお父様。姫様と結婚する前にお父様が最後の砦として立ちはだかるだろうから一応ラスボス(仮)に位置付けしよう。
「姫様のお父様か……調べるか」
僕はネットで姫様のお父様について調べ始めた。
「……あった」
法灯村東二――ダンジョンを何度も停止させてきた男……ダンジョン調査隊の隊長を何十年も務めていた――
「まぁ予想通りだな……あっ! 姫様に関する記事だ」
最近隊長の座を娘に譲り、姫様は隊長になったばかり……なのにめっちゃ威厳感じるの流石だなぁ〜。
「……んん?」
僕はとある一つの文章に目が止まった。
「岐阜県……?」
目に止まった記事には法灯村東二は岐阜県が嫌いと言う噂が流れたというものだった。
「お父様……岐阜県で何かあったのか……? 探してみよう」
その後数時間、僕はお父様と岐阜県に関する記事を探したが、噂止まりのものしか無かった。
「なんだただの噂か……安心した」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます