仕事の話(2)

 最近よく聞くのが境界性知能という言葉だ。IQが「70以上85未満」ということで、統計上は人口の約14%もいるらしい。


 そんなにいる訳ないと思うけど、普通に話している分には気が付かないだけなのかもしれない。


 うろ覚えだけど、ある調査で高校生に文章を読ませたそうだが、30%くらいの子は内容をきちんと理解できていなかったらしい。字は書ける、読めるけど、意味がわかっていない。何が原因なのかわからないが、英語で難しい文章を読んだら、内容がよくわからないということはあると思う。同じように日本語がそんなレベルの人もいるようだ。恐らくカクヨムみたいなサイトには少ないだろうが。


 YouTubeでひろゆきが境界線知能の話をしていた。俺はひろゆきの動画を時々見る。勝手におススメに流れて来る。ひろゆきやホリエモンが好きな人は「馬鹿」だと言われるけど、自分もその一部なのだろう。


 その動画では、質問者は自分が境界性知能だと最近知ったが、親が自分の子どもが障碍者だと信じたくないから、普通学校に通って苦労したということだった。


 ひろゆきが言うには知能が低い人でもできる仕事はたくさんあるそうだ。料理を作ったり、飲食店でオーダーを取る仕事に知能は関係ないということだ。ひろゆきの言い方は飲食で働いている人には失礼なのだが、俺は外資で働けても、飲食では働けないと思っている。


 飲食店でオーダーを取る場合でも、ファミレスは楽だ。小さな店だと厨房に自動で送信されるハンディ端末みたいなものがなく、メモを取ることも許されない店があるらしい。俺はいわゆるレストランのような飲食店でもバイトをしていたことがあるが、もし、メモを取れなかったら注文を覚えきれないと思う。例えば喫茶店で、4人で来店したとして、飲み物だけなら覚えられるかもしれないが、飲み物とデザートがセットだと無理だ。


 それに、俺が苦手なのは、テーブルに料理を置くことだった。簡単そうに見えるけど、例えば客の目の前に皿が置いてあったら、飲み物をどこに置いていいかわからなくなってしまう。奥の席の人には手を伸ばさないと届かない等とかいうのが、瞬時に判断できないのである。


 もし、俺が定年後に喫茶店などで働いていたら、年下のバイトからいじめにあう気がする。俺は心の中で、「なぜおまえなんかに」と思いながらも、苦手なのだから仕方がない。


 その他にも、俺は運転が苦手で、特に駐車ができなかった。結局、空間の認知力が低いということなのだろう。発達障害の人には似たような人もいるらしい。それに、事故を起こす確率が定型発達の人より15パーセントほど高いそうだ。


 勉強では数学やコンピューターが苦手だ。数学は何回もやって解き方を覚えるというやり方で何とか胡麻化していた。


 俺自身の知能指数がどのくらいあるのかわからないが、大学で私立文系という進路がなかったら、今どうしているかわからない。俺は有名校の推薦入学も無理だろうし、受験科目が多い国公立に入学したり、公務員試験も受からないと思う。


 でも、たまたま文系科目ができたから、こうしていられる。四大卒だと勉強ができるんだろうと思われるかもしれないが、実際はそうでもない。


 今は大学入試でも一科目受験で入れる大学があるようだ。上智、理科大などもそうらしい。俺は文系だから「理科大すごい」と思ってしまうが、その人が数学だけできて他の科目が全部偏差値20でも、大学名だけですごいと言われるわけである。


 俺から見たら車の運転がうまい人はすごいなと思うけど、そういう人が弁護士みたいに社会的な評価を受けているわけではないのだから、世の中は理不尽だ。結局、勉強が得意な一部の人に社会は牛耳られているわけである。金もそういう人の所に集まる。俺の場合は、IQが高い層とそうでない層の間を行ったり来たりしている気がしてならない。


 それにしても、境界性知能の人が14%もいて、さらに発達障害やグレーゾーンの人が人口の5%くらいいるようだから、生きづらい人が約20%となる。誰だって自分は関係ないとは言えないだろう。

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