仕事の件

 昨日のヤフーニュースで発達障害の人の記事が取り上げられていた。発達障害の風俗嬢(三十代)が60分手取りわずか2500円で本番をやっているというものだった。これだったら、街頭に立って客を取った方がましだろう。一人二万円だとして、毎日やれば月六十万も稼げる。しかも、税金も取られない。俺だったらそうするが、本人にそういう判断力はない。


 AVなども軽度の知的障害がある人が多いらしく、契約書の内容を理解できずにサインしているそうだ。こういうのは極端な例だけど、こういう記事を世間が喜んで読んでいるのだと思うと腹が立つ。結局、弱者は搾取されるし、こんな安い店があるなら、自分も行きたいと思っている人もいるだろう。こういう記事は問題提起をしているようでいて、芸能人のスキャンダルと同様、面白可笑しく取り上げているのと大差ない気がする。


 コメント欄にも、赤ちゃんポストに子どもを預ける親はこういう人が多いと書いている人がいた。これはとんでもない偏見だろうし、もしそうなら、赤ちゃんポストに預けに行くまでの発想はないだろう。


 しかし、上記のような人をどうしたらいいかは、なかなか答えが出ないと思う。実際目の前にこういう人がいたら、誰も関わりたくないだろうし、周囲に親身になってくれる人がいないのだろう。当然、彼氏もいないのだろうし、本人が疑問を持つようになるまでは何も変わらない。


 外野が「学校のサポート」、「福祉が…」と言ったところで、行政が「(軽度でも)知的障害のある人を風俗産業で働かせてはいけない」というような法律でも作って保護しない限りは、こういう人はなくならない。


 しかし、聞いた所によると、日本人の人口の15%くらいは軽度の知的障害があるそうだ。一応学校に行っていて、字も読めるけど、思考力がないという人は多いようだ。そうでなかったら、割に合わない仕事をする人がこの世からいなくなってしまう。何だかんだ言って、社会は弱者を搾取する構造になっているのだ。


 前述の風俗の女性の他にも、大阪大学出身で障碍者雇用枠で働いている女性の記事もあった。この人は年収320万しかなく、同級生と差を感じてしまうということだったが、結婚もしているそうだから何が問題なのかと思う。年収320万で家庭と両立しているなら理想的なんじゃないだろうか。


 世間は「東大出身だけど、今は貧困で…」という底辺の記事が好きなのだと思う。


***


 働くっていうのは大変だ。仕事内容よりも人間関係の方が苦痛だったりする。発達障害の人は転職回数が多くなる傾向があるが、自分もそうだった。学生時代はバイトをたくさんした。今考えると同じ職場で働いた方が楽だったろうし、稼げたはずだ。今となっては、色々な業界を見ることができて、いい経験だったと思っている。

 

 俺の場合は、大学時代は時給がいいバイト、融通の利くバイトを常に探していたせいで転職回数が増えてしまった。人間関係が合わなかったこともあるが、ほとんどの会社で嫌な思いをすることはなかった。


 大学を卒業して、就職したが、今度は組織で働くのが合わなかった。しかし、自分がおかしいという意識がなかったから、また、別の会社で働いていた。二十代はそうやって何度も転職を繰り返していた。人間関係は相当大変だった。それを当時の俺は妬まれていると思っていた。若いし、イケメンだから…と、自分にいいように考えていた。そのおかげで、あまり自己肯定感が下がることはなかったのかもしれない。しかし、嫌がらせが酷く、仕事にならなくて転職したこともあった。


 その後、日系の会社から外資系に移ってすごく気楽になった。外資に行こうと思ったのは、たまたま面接を受けて、自由な雰囲気がいいなと思ったからだ。それまでは、外資はリストラがあると思っていたから、避けていた。


 俺は私生活では、時間を守れない、私物をなくす、金の管理ができないなどの困った習性がある。二十代の頃は、毎朝始業時間ギリギリに会社に行っていた。しかも、駅までは走るとか、そんな感じだった。


 会社によるかもしれないけど、俺がいた会社は遅刻をしても何も言われなかった。おかげで罪悪感なく、毎日遅刻できるようになった。


 あとは、デスクがパーティションで区切られていて、個人スぺースがあったこともよかった。視線恐怖症だった時期もあるし、今でも近くに人がいると気が散ってしまう。スタバみたいな、ああいう狭いスペースは今も苦手だ。


 パーティションがあるおかげで、常に顔を合わせていなくて済んで助かっていた。コロナの後はどうなっているかわからないが。


 今は多くの企業が在宅勤務を増やして、オフィスの面積を減らしているらしいから、そもそも会社のデスクで仕事をするという時代ではないのかもしれない。


 それから、外資系は会社の雰囲気も基本的には個人主義だから、先輩後輩みたいな感じはなくて気楽だった。しかも、人がどんどん辞めて行く。流動性の高い会社は人間関係もドライだ。しばらく見かけないと思ったらやめていたりする。


 発達障害の人は、日本では変わっていると言われても、海外に行くと普通とみなされるらしい。あちらの人は基本的にはみな個性的だから、日本人から見てちょっと変わっているくらいでは、あまり目立たない。


 俺は普段は無口なのだが、英語を話す時は別人になっていると思う。失礼なことを言わないように気を遣うし、明るく冗談を言い、自分に自信を持っているふりをする。喋る言語によって、人格も変わるのだ。


 発達障害の子どもがインターに通っているというのを聞いたりすると、親もそれがわかっているのだろうと思う。インターは学費が高いから、誰でも行ける訳ではないが、英語を習わせたりしている人は多いんじゃないだろうか。


 外資は仕事がきつい時もあるが、俺は仕事自体より、人間関係の方が苦手だから乗り越えられた。


 俺が外資がいいと思っても、実際は慣れない環境や人間関係で働いたせいで、精神を病んでしまう人も多い。俺と同じ職場で精神疾患を発症した人が何人もいた。だから精神的な有病率は高いと思う。


 やはり、外国人と一緒に働くのはかなりのストレスでもある。俺はそれ以上に日本の会社が嫌だったから、何とも思わなかった。外国人だとカルチャーが違うと割り切ることができる。語学は必須で、勉強にかなりの時間を取られる。しかも、俺の場合は英語が苦手だから、大変だった。定年まで残りわずかだけど、もし、生まれ変わっても、また外資で働きたいと思う。


 そうでなかったら、一人でやる仕事がいいかなと思う。

 客が全然来ない店の店番とか。


 大学時代にやっていた仕事ですごく楽なのがあった。小さな会社でのバイト。あの仕事は楽しかったと今でも思う。店で一緒に働いていたのは、高齢の男性と事務の女の人だけ。男性の方は気さくで、女性の方は無口な人だった。


 または、一日ほぼ立ってるだけの仕事とかもやった。


 それから、小さな職場もいい。


 そうじゃなかったら、若い人が年上の人の中で働くとか…。

 女性ばっかりの中に男が一人とか。逆セクハラはあるみたいだが、重宝されるかもしれない。

 同様に男ばっかりの中に女性一人とか…。


 人それぞれ居心地のいい職場って言うのはあるんじゃないだろうか。


 発達障害の人にどんな仕事が合うかと言ったら、人間関係がない職場だと思う。なかなか難しいかもしれないけど、今はリモートワークで人と顔を合わせなくて済むから、その点ではいいのかもしれない。雰囲気のいい職場でも、一人変なのが入って来るだけで空気がおかしくなることはあるが。集団で誰かがターゲットになったら、周囲もそれに同調してしまう。巻き込まれたくない、自分がターゲットにならなくてよかったと安堵しているのだろう。


 フリーランスがいいのかもしれないが、客に騙されたり、買いたたかれたり、収入が不安定だったりすると、別の問題が出てくる気がする。


 まとまりのない文章になっているけど、男女どちらも専業主婦(または主夫)になるのもいいのかもしれない。そしたら、家にいられる。


 仕事は人生の大きな要素だから、ステイタスや収入よりも自分に合うことをした方がいいと最近は思う。無理をすると、ストレスが溜まって散財したり、家に帰って家族に当たるなど、反動が出てくる。だからと言って、リゾートで働いたり、フリーターでやって行くのは微妙だ。やはり、できるだけ資格を取ったり、手に職を付けた方がいいと思う。そうすれば転職しやすくなる。できるだけ、選択肢を多く持っていた方がいいのは当然だろう。 


 ネット記事を読んでいて腹が立ったから、自分の経験を書いてみた。誰しも、どこかしら合う会社はあるんじゃないだろうか。

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