勇者クラフティ編
第11話「今日は何の日?それぞれの悩み事」
「あーーーーーーーーーーっ!!!清々しい朝だぜーーーーーー!!!」
久しぶりの我が部屋で一夜を明かし、1週間ぶりに男に戻った
「うるさいなぁ…いちごん…」
藍色のロングヘアーに男性用のLサイズのYシャツ1枚の少女がむくりと起き上がり、一悟の表情は一気に青ざめる。少女はベッド真横の布団、一悟はベッドで寝ていたはずだが、一悟は何故か布団の方に居たのである。
「まったく…いちごんは寂しがり屋だなぁ…そんなに僕の…」
「んなワケねーだろ…誤解を招く言い方すんなよ?」
そう言いながら、一悟は
「そうです!一悟は寝相が悪いだけなんですから…」
雪斗の発言を否定する一悟に対し、ラテはさりげなく一悟が傷つくような言葉を述べる。自覚しているとはいえ、
雪斗の方はカオスが染色体までをも女性に変えてしまった影響もあり、ユキの人格を残した上で、
一悟と雪斗はそれぞれパジャマに着替え始めた。ラテはYシャツを脱いだ雪斗の胸を水色のブラで覆う。女性であるシュトーレン達から付け方を教えてはもらったものの、未だに雪斗1人ではブラを付けられないようで、その度に一悟を指名してくるからだ。マグカップに身体を入れた姿でありながら、腋肉まできっちり収めるのは、流石としか言えない。
「それにしても、雪斗のおじいちゃんが元からマジパティの事を知っていたなんて…」
「元々「氷見家の敷地内に、スイーツ界へとつながる空間が存在していた」…って、歴代当主にのみ明かされる事だったとは…」
ガレットが笑いながら話すものだから、最初はシュトーレン共々、冗談だと思っていた。だが、アンニンとムッシュ・エクレールが雪斗の祖父に家庭訪問と名目で確認を取ったところ、事実だという事が判明。警察の事情聴取などもあり、雪斗は一悟の家に泊まるまでの2日間は学校に行けず、退屈だったようだ。30日は一悟、ガレットと共にシュトーレンの所へ泊り、翌日は
「姉ちゃんが「
一悟はそう言いながら、着替えを済ませた雪斗の髪を整える。雪斗は親権が母親に戻るまでは今の姿とほぼ同じ長さだったのだが、雪斗は自分で櫛を通す事をした事がない。ユキの人格ではマカロンに教わった事があるのか、髪を結ぶことができるのだが、マジパティとして復帰した翌日以降、雪斗と入れ替わっていない。雪斗も練習する気はないらしく、仕方なく一悟がやることになったのである。
一悟は雪斗とは逆で、昔から男子にぐちゃぐちゃにされたみるくの髪や、事故で両手が使えない極真会館の館長の娘の髪を結うことが多い。その事実にシュトーレンには驚かれてしまったのだが、一悟本人は気にしていない。まぁ…その事で立場を悪用する者が、一悟の家族に1人いるのだが…
「いーちーごーくーん♪さっき、
「噂をすれば影」…とは、まさにこの事である。丁度、雪斗の髪をまとめ終えたこともあり、一悟は姉の言葉を聞こえぬフリをしながら、雪斗と一緒に部屋を出る。
「いいの?いちごん…」
「俺がやったら、ますます態度がゴリラになるからヤダ!」
「誰がゴリラだっ!!!」
「あー、聞こえねぇ!聞こえねぇ!!ユキも、自分から髪をまとめようとしねぇでいると、あぁいう風な「自分で髪を結えない高校生」になるからな?」
一悟が雪斗に忠告した刹那、一華は弟に掴みかかった。一悟はなんとかガードするが、身長も体格も姉の方が大きいため、どうにも分が悪い。その光景を目の当たりにした雪斗は、つい最近まで言い争っていた相手の家での様子に戸惑う。そんな
「ガチャッ…」
玄関のドアを開けたのは、みるくだった。みるくの気配に気づいたのか、リビングから1匹の小型犬が飛び出す。
「おはよー…マレンゴ♪」
みるくの声がした事に気づいた雪斗は、咄嗟に玄関へと逃げる。
「みるく…い…い…い…いちごん…が…」
怯える雪斗と、2階から響く物音に何かを察したみるくは、マレンゴを抱いたまま黙って靴を脱ぎ、玄関から上がり込む。そして、そのまま階段を上る。その後ろ姿を見た雪斗は、みるくの背中に
「いっくん…ちかちゃん…」
そう2人を呼ぶみるくの表情はにこやかではあるが、いかにも「怒ってます」と言わんばかりのオーラが漂っている。みるくが抱いているマレンゴも、歯茎をむき出しにして、「ウー」と唸る。
「いい加減にしなさーーーーーーーーーーーーーいっ!!!!!」
「ワンワンワンワンワン!!!!!」
突然の
「どうしてケンカを始めたの?」
姉弟はそろってお互いを指さして物言いをしようとするが、みるくが抱いている小型犬の唸り声がそれを妨害する。
「いちごんのお姉ちゃんが…いちごんの部屋に来て…多分、髪の事で…」
「そうそう…まーた、一悟に髪を結んでもらおうとしてたんだろ?一華…」
雪斗の説明に、寝室から出てきた一悟の父が加わる。子供たちのケンカで起こされたらしく、パジャマ姿だ。父親に確信を突かれた一華は、がっくりと項垂れる。
「お察しの通りでございます…」
「ちかちゃん…ちかちゃんにとって、弟はちかちゃんの専属スタイリスト?それとも下僕?」
「女子高生が、プロスタイリストや美容師目指しているワケでもない中学生に髪整えてもらうとか…コレ、結婚したら毎朝未来の旦那に髪整えてもらうレベルー!世間様にお出しできなーい!」
幼馴染と父親の言葉に、一華は身体を縮めた。そんな姉の様子に、一悟はほっと胸をなでおろそうとするが…
「いっくんもいっくんだよ!!!不用意にお姉ちゃんを
「うぐっ…」
図星である。幼馴染と父親と飼い犬に窘められた2人はお互いに謝り、既に仕事で出かけた母親が用意した朝食を食べる。バタバタしていたのか、一悟の母は夫の食事を忘れていたようで、一悟の父の食事は代わりにみるくがハムエッグトーストを作った。カオスソルベだった頃のユキがパンを食べることに文句を言っていた雪斗も、流石にこの3日間でパンのある食事も受け入れたようだ。
食事と
「
この時点で「まだ男に変身せずにいるお前が言うな」と言わんばかりの状態ではあるが、今日はメインでガレットが厨房に入る事になったので、今日のシュトーレンはトルテと共にホールで仕事をするようだ。雪斗共々恰好がメイド服なので、端から見ればメイド喫茶ではあるが、実際はごくごく一般的な喫茶店である。
「それにしても、娘のメイド服姿はいいなぁ…まぁ、変な虫が来たら始末するけど。」
「みるく…親父が変な事したら、
みるくは本来の趣味を生かし、今回はガレットと共に厨房に入ることになっている。
「セーラ…ちべたい…それじゃ、一悟は…っと。」
ガレットは一悟の前に、1本のピンクを基調としたブレスレットを差し出した。ブレスレットの真ん中には、ミルフィーユの時と同じような水色の宝石と白い羽の飾りがついたモチーフが付いている。
「そのブレイブレットを左腕につけて、その飾りにブレイブスプーンをかざすんだ。」
一悟はガレットに言われるがまま、ピンクのブレイブレットを装着し、エンジェルスプーンを飾りの前にかざす。すると、みるみるうちに一悟の身体はみるみるうちに髪は色はそのままのポニーテールに代わり、身長と体格はミルフィーユと同じメイド服の少女に変化した。
「このカフェを手伝うなら、その姿の方がやりやすいだろ。親が警察官なら、尚更だ。雪斗も、元の氷見雪斗の姿に戻り次第、ブレイブレットを渡す。ライス以外のファンクラブの連中が居座ったら厄介だからな。」
雪斗はメイド服、みるくは黄色いスカーフのパティシエ服にそれぞれ着替えが終わり、開店準備を始める。みるくの髪型はツーサイドアップではなく、ツインシニヨンになっている。テーブル、カウンターをダスターで拭き、床はモップ掛け。トイレの掃除は、勿論
「いらっしゃいませー!!!」
トルテが店のドアを開けると、カフェ「ルーヴル」が開店する。初めてのカフェの手伝いにあたふたする一悟だが、生まれつきの運動神経の良さで、なんとかこなせているようだ。そこへ、1人のイタリア人の捜査官がカフェにやってくる。
「いらっしゃいませー!」
「やぁ、セーラはいるかい?」
アントーニオ・パネットーネである。彼の言葉に、一悟を含めた勇者の本名を知る者たちの背筋が凍りついた。特に、普段から勇者を本名で呼んでいる者に至っては…
「大勇者様…その異様なニコニコ顔は…?」
「べっつにー?」
そんな彼の手には「ガラムマサラ」と「一味唐辛子」…家族、及び勇者の右肩と呼べる者以外が、勇者の本名を気安く名乗ってはいけない。
「何しに来たの?トーニ…」
「キョーコから君のお父さんが来ているって聞いて、ご挨拶に来たまでだよ?」
シュトーレンにとっては、本当かどうか疑わしいのは言わずもがな。
「それで…何か注文したいのはある?」
メイド服姿の勇者は、イタリア人の捜査官に注文を聞こうとするが、彼は勇者の腕をつかみ…
「それなら、僕はセーラ…君にしようかな?」
「バンッ!!!」
アントーニオがシュトーレンを引き留めようとしたと同時に、1人の女性がアントーニオと同じテーブルへとやって来た。
「随分と待たせてしまったわね?というワケで…このイタリア人の男に「マスターの父親の今日の特別メニュー」。私はエスプレッソとレアチーズケーキでいいわ。」
「イタリア人の男」の辺りで、わざと厨房にいるガレットに聞こえるように伝えるのが、いかにも僧侶様らしい。
「キョーコ…相変わらず厳しいね?君は…」
「あら?あなたに厳しいのは、私だけじゃないのよ?」
アンニンがそう言うと、2人が座るテーブルの真横に、ガレットがやって来た。
「お待たせしました。マスターの父親の今日の特別メニュー・親バカ勇者の超激辛シーフードカレーでございます!!!」
料理を出すガレットの表情が怖いのは、言わずもがな。
「キョーコ、この男性は?」
「いつもウチの
そんな彼がテーブルに用意した激辛カレーの中には、タコの足のぶつ切りが何か所にも見受けられる。
「あなた、毎食タコを食べた時期があるほど、タコが好きだったのよね?和真さん、元板前だからタコのさばき方は高レベルよ?」
アンニンはにこやかな表情でそう言うが、普段の余裕に満ちたアントーニオの表情が一気に青ざめる。実を言うとアントーニオは、幼い頃に当時の友人の母が出したタコ料理で体調を崩したことがあり、それ以来、タコが苦手なのである。
「
カウンターからガレットがアンニンに声をかけた。
「勉強会の前ですので、腹八分目でキープしているんです。それに…食べながらだと、聖奈の未来の
「そうだよねー…食べ物を
「さぁ…聖奈を自分のものだと豪語している以上、後には引けないわよ?和真さん、この事については厳しいの♪」
目の前の女性の異様なほどのにこやかな表情に、アントーニオの顔が引きつる。
「は…図ったね!?キョーコ…いただきます…」
そう言いながらアントーニオはスプーンを持ち、苦手なタコが入ったカレーを食べ始めた。トラウマのきっかけとなって以来の独特の食感…そして、焼けつくような辛さ…彼にとっては、シュトーレンの前で初めて屈辱を晒しものにされたような気分だった。
「カラン…」
アントーニオの持っているスプーンの手が止まった。彼の目の前のカレー皿には、飾りのパセリすら残っていない。
「これで満足かい?キョーコ…」
「聖奈とのこれ以上の関係は認めないけどね?今回は私のおごりよ。」
そう言いながら、アンニンは涼しい顔をしながらブラックカードを見せる。
「それじゃあ、僕は失礼するよ…ご馳走様。」
口元をハンカチでぬぐいながら、シュトーレンの幼馴染と父親にハメられた捜査官は、カフェ「ルーヴル」をあとにした。そして、店の外で盛大な炎を吐き出した。
「
厨房ではみるくが注文された料理を作り、トルテが運ばれてきたお皿を洗っている。トルテの口元は、どことなく赤いのは気のせいだろうか。
「大勇者様…あたしらに厨房全部押し付けて、何をやったかと思ったら…」
「しかも、今朝俺っちに食べさせた奴よりも…唐辛子の量が多かったッス…」
「つ、つまみ食いしちゃったの!?」
「お皿にほんのちょっぴり残っていたルーを舐めただけっス…」
どっちにしろ、お行儀が悪いぞ!そこのライオン!!!
「それと、親父はコレもカレーに入れようとしていたみたいね?」
厨房に入ってきたシュトーレンは、そう言いながら胸の谷間からソースの瓶を取り出した。そこに書いてあるのは…
「サドンデスソース」
それは、想像を超える辛さ…
マジパティに動きがあると同時に、ブラックビターの連中にも変化が訪れようとしている。
「やっぱり、カオス様にお会いするには手土産は必要だものねぇ…」
そう言いながら、クグロフは何かが砕ける音をBGMにコーヒーをすすり始める。
「歩くスメルハラスメント…」
「右に同じ…んで、お前が捕まえた「逃げ足の遅い奴」って誰だよ?」
「ティラミスの悪い影響でも受けたのかい?マカロン…まぁ、特別に捕まえた場所とおおまかな時間は教えてやろう。東京の有名私立小学校さ。下校時間だったらしく、親の車に乗り込もうとする小学生たちをジロジロと見ていたのさ。特に男の子の方をね?」
クグロフの言葉に、マカロンはカオスソルベだった頃のユキとの話を不意に思い出した。
「お姉ちゃん…シャベッターにもあったけど、アニメに出てくる小さい子を好きな人って…ああいう犯罪するとは限らないよね?」
2人でテレビのニュースを見ていた時の事…丁度、その日は瀬戌市から遠く離れた地域で発生した幼女誘拐殺人の初公判のニュースが流れており、マカロンは彼女と一緒にそのニュースを見ていた。コメンテーター達は口をそろえて「犯人は漫画、アニメ、ゲーム好き」云々の言葉を述べるが、彼女の言葉通りそうとは限らないのが現状だ。実際、マカロンのシャベッターアカウントのフォロワーにも漫画、アニメ、ゲーム好きのフォロワーはいる。しかし、該当フォロワー達全てが3次元の人間に手を出すとは限ったことではない。
「そうだね…大体、こういうニュース番組って大半がスポンサーついてるからさ…コメンテーターに好き放題喋らせたりして、真実を捻じ曲げて視聴者に間違った知識を与えてしまう事なんて
実際、ティラミスがカオスイーツにする相手を品定めする為、マカロンは逮捕された犯人の経歴をハッキングで調べていた。すると案の定、犯人は趣味、特技共にテニスで、よく地域のボランティア活動に積極的に参加している、漫画、アニメ、ゲーム好きとは遠い関係の男だった。テレビで映されたアニメポスターは、犯人の家族の部屋に貼ってあったものだ。視聴率のためならどんな情報操作も問わない…それがマスコミだと、マカロンは思う。
「新たな幹部にするのなら、やはり外面の良い変質者が一番さ。」
「ガシャッ…」
金属が動く音がクグロフの背後から聞こえる。そして彼女が振り向くと、戦国武将のような鎧姿の青年が立っている。目元は隠れているが、口元からは顔立ちの良さが伺える。
「媒体に関する言葉、誉め言葉として受け取っておこう…」
「紹介しよう…こやつはベイク。カオス様の手土産に持ってきた男を媒体とした、我々の仲間だ。ベイクや、こいつらはティラミスとマカロン。好きに動きたいなら、こき使って構わん。」
クグロフの言葉に対して、ティラミスとマカロンは眉をひそめた。
「このババア、気に入らねぇーっ!!!!!」
「左に同じ」
今日のカフェ「ルーヴル」の手伝いが終わり、一悟達は帰路へ着く。
「お疲れ様、また明日もよろしくね。」
「「「お疲れ様ーっ」」」
シュトーレンは一悟達が見えなくなるまで手を振った後、ガレットの方を振り向く。
「親父…コレ、どーゆー意味?(男声)」
シュトーレンが手に持っているモノ…それは、サドンデスソースの瓶…
「そ、それは…ていうか、厨房のカレンダーなんだけど…5日に丸がついているって事は…」
「話を逸らすなっ!!!!(男声)」
「あーっ!!!セーラ、メイド服からおっぱいこぼれてるーーーーっ!!!!!」
突然の大声に胸を押さえる娘を尻目に、大勇者は住居スペースの玄関へ逃げ出した。
「あの人…そんなの完食したのかよ…」
帰り道、みるくからの話を聞いた一悟と雪斗は、アントーニオの話に驚きを隠せない。
「そう言えば、勇者様…困っていたからなぁ…」
アントーニオが何者なのかは、一悟達は知らない。しかし、一悟の父親と一緒に仕事をしているイタリア人であるという事だけは知っている。
「ところで、ユキくん…治療の方は?」
「あぁ、ゴールデンウィーク中には元の氷見雪斗に戻れるって僧侶様が言ってた。それまでには、ユキも機嫌を直してくれるといいんだけどな?」
「そういや、あずきも明日は部活が終わったら来るってさ。元に戻ったら、また練習できるぜ?」
「それは楽しみだな…」
今夜の雪斗は、みるくの家に泊まる事になった。今朝の一悟と一華の姉弟ゲンカがトラウマになったのか、今夜ばかりは流石にみるくの所へ身を寄せることに決めたらしい。
「ただいまー!」
「お…お邪魔します…」
家には既にみるくの父親・
「おかえり、みるく。今日はお友達も一緒なのか?」
「そうなの。この子は
「は…はじめまして…」
「はじめまして、みるくの父の桂です。こんな可愛い子を虐待するなんて、あまりにも自分勝手すぎるな。でも、その話は
みるくの父はそう言いながら、ウインクをする。結婚前に特撮ヒーロー番組「ミラクルマンテール」で主演を務めていたこともあり、今でもミラクルマンシリーズのファンからサービスを要求されている。そのため、そのサービス精神が長年しみついてしまったようだ。彼もそのヒーローを演じたことを誇りに思っており、リビングには彼が演じたミラクルマンテールと、ライバルのミラクルマンアズールのフィギュアが飾られている。
「ただいまー!!!」
米沢家の夕食が始まろうとしているところで、みるくの兄の我夢が帰ってきた。昨日は授業の後に東京の大型ディスカウントストア・ポンキホーテで夜遅くまでバイト、カプセルホテルで一夜を明かし、今日も今朝から昼までバイト。我夢が家に戻るのは2日ぶりである。
「お兄ちゃん!おかえりなさーい!!!」
「みるく、友達が来ているんだってな?食事の時、話を聞かせてくれよ。」
他愛ない
やがて我夢がリビングにやってきて、雪斗を交えた米沢家の夕食が始まる。みるくの父の料理は殆ど亡き妻が残したレシピ集を参考に作っているのが殆どであるが、今日は「ミラクルマンテール」でライバル役として共演した俳優・
「そう言えば、昨日…大学からバイトに行く途中、変な事件があったんだ。」
「変な事件?」
兄の昨日の話に、みるくは思わず首をかしげる。
「通り道に小学校があるんだけど、その小学校の近くにエンジンが点いたままの黒いフェラーリがドアを明けたままで乗り捨てられていたんだ。駐停車禁止の場所だったし、警察を呼んで、見てもらったけど、未だに運転手は見つかってないんだ。財布とか貴重品から、身元は割り出せたらしいけど…誰であるのかは、知らせられないって…」
「そう言えば、W大法学部のキャンパス近隣は今川家が…」
「むぐっ…」
みるくの父の口から「今川家」が出た瞬間、雪斗は食べているカレーをのどに詰まらせた。
「だ、大丈夫?」
「どうした?水を飲むか?」
「大丈夫…です…」
ドーナツカオスイーツの中へ吸い込まれた時、一悟から言われた事を思い出す。確かに彼らは、自分にとって不都合な事は全て金の力でもみ消してきた。恐らく、みるくの兄が言っている消えたフェラーリの運転手も彼らの関係者なのだろう…雪斗はそう確信した。
「へーっ…みるくのお母さんって、メイプルズのKAEDEだったんだ。」
「そうなの。パパとは、「ミラクルマンテール」で共演したのがきっかけなんだって。ママは非常勤のオペレーター役だったんだけど…」
夕食が終わりみるくは、突然雪斗から入れ替わったユキと入浴をしていた。恐らく、ユキ自身にみるくと2人きりで話したい事が山ほどあったのだろう。
「でも、ユキくん…機嫌が悪いって…」
「だって、おとといさぁ…取り調べの時も、触診の時も僕を呼び出してくるんだもん!!!もうしつこくて、しつこくて…」
突然のユキの愚痴に、みるくは納得するしかなかった。
「そう言えば、ユキくんの誕生日は今月の9日だよね?」
「うん…しつこくカレンダー見ていたから、初めて家族やファンクラブの子達以外にお祝いしてもらえるの…楽しみなんじゃないかな?でも、厨房のカレンダーには5日に丸がついてた…」
話は厨房のカレンダーにあった謎の印にシフトしていく。普段なら予約は何時に誰が何人で来るか書いてあり、定休日は赤ペンで丸がつけてある。しかし5日には緑色のペンで丸がつけてあるだけで、他には何も書いていなかった。
「いっくんは8月だし、あたしは11月…あずきちゃんは3月で、勇者様は12月のクリスマス…」
「大勇者様は免許証で見たけど、1月6日。僧侶様は4月12日って言ってた。そうなると…」
2人には該当する人物が段々と絞り込めてくる…
一方、一悟は…
「一悟…その下妻先生って、誕生日いつ?」
姉から担任の先生の誕生日を聞かれていた。
「し…知らねぇよ!大体、何で姉ちゃんが
「前々からカッコいいって思ってたんだよねー…カンでもいいから教えろー…」
姉からの言葉にたじろぐ一悟だが、不意に厨房のカレンダーの謎の印を思い出した。
「
「えっ…叔父様の誕生日が知りたいんですの?」
翌日、弓道部の練習が終わって来店してきたあずきに、一悟がムッシュ・エクレールの誕生日を聞き出している。当の本人は、今日も美化委員の仕事で学校で草むしりをしている。
「あぁ…俺の姉ちゃんが昨日、美化委員の仕事をしている先生を見て惚れちゃってさぁ…」
「な、なんて物好きな…」
「それな!」
「叔父様の誕生日は6月26日。お母様が言うには、教会の時計塔に雷が落ちた直後に生まれたとのことですわ。」
「そっか…サンキュ♪ケーキ持ってくるよ。」
そう言うと、一悟はあずきの座っているテーブルから離れた。
「大勇者様…カレンダーにある5日の丸印ですけど…」
みるくは厨房でシフォンケーキに使うメレンゲを泡立てながら、チャーハンを作っているガレットに声をかけた。
「5日の丸印?あぁ…それはね…」
「ガンッ!!!!!!!」
ガレットの頭上に
「親父…余計な事を言わないように…(男声)」
「ひどいなぁ…こーゆー時はタライでしょ?」
ドリフのコントかよ…チャーハンを炒め終えたガレットは、いったん火を止める。
「てか、本人にはヒミツにしてるんだから、軽々しく喋らないでよ…」
「んじゃ、こっちは軽々しく喋っていいって事っしょ?」
「…?」
大勇者は、きょとんとする娘のメイド服のスカートをつまみ、そこから頭を入れて中を覗き込む。
「純白レースとか、たまにはセーラも可愛らしいの穿くんだねぇー…」
「お~~~~~や~~~~~じぃ~~~~~~~~(男声)」
ガレットの頭上に再び一斗缶が炸裂する間に、ラテは急いでチャーハンを盛り付ける。
結局、一悟達は5日の丸印の意味が分からないまま、当日を迎えてしまった。一悟達はカフェ「ルーヴル」に向かうが、そこには「臨時休業」の文字…
「警察から連絡入ったのよ…きょう未明に瀬戌駅に巨大な柏餅の化け物が現れたって…」
カフェを臨時休業にせざるを得なかったため、シュトーレンの機嫌は悪い。
「そういえば、昨日の瀬戌駅着の最終列車って…0時58分だったよね?
大勇者の言葉に、みるくが不意に血相を変える。
「お兄ちゃんっ!!!!!」
「みるく、心当たりがあるの?」
全員の視線がみるくに集中する。
「お兄ちゃん…昨夜その時間に瀬戌駅に着くから、駅からはタクシーで帰るって連絡が…」
「親御さんはこの事を知ってるのか?」
「パパは昨日から映画のロケで大洗に行ってて…パパにも問い合わせたけど、パパもお兄ちゃんと連絡がつかないって…」
みるくのその言葉に、最悪の状況がカフェ「ルーヴル」にいる者達の頭の中をよぎる。それと同時に、ガレットのスマホから
「今、僧侶ちゃんからLIGNEが来た。柏餅のカオスイーツは、柏の葉をばら撒きながら瀬戌警察署方面に低速で進んでる。国道16号線、日光街道は一部区間閉鎖。救急車は国道沿いの病院に搬送できなくて、大混乱…行くぞ、マジパティ!!!」
ガレットの言葉に、一悟達はブレイブスプーンを構える。
「「「マジパティ・スイート・トランスフォーム!!!!!」」」
瀬戌警察署の近くには、
「よくも私の可愛いディアナちゃんに…葉っぱをかぶせてくれたわね…」
病院の駐車場に止めていたポルシェ「ディアナちゃん」が、カオスイーツの攻撃を受けたようだ。カオスイーツが瀬戌警察署を柏の葉で埋めようとした刹那、アンニンにとって聞き覚えのある声が響く。
「見つけた!!!カオスイーツ!!!!!」
「ピンクのマジパティ・ミルフィーユ!!!」
「黄色のマジパティ・プディング!!!」
「ブルーのマジパティ・ソルベ!!!」
「スイート…」
「「レボリューション!!!」」
「「「マジパティ!!!!!」」」
最後は見事にハモった。
「禍々しい混沌のスイーツさん、勇者の愛でおねんねの時間ですよ?」
「やっと現れましたか…マジパティども。」
今回のカオスイーツも、ティラミスが生成したモノだった。
「待ちくたびれましたが、ご説明いたします!!!今回カオスイーツにしたのは
ティラミスの言葉に、プディングの表情は青ざめる。最悪の状況が現実となってしまった瞬間だ。
「今回彼をターゲットにしたのは他でもありません。我々の動きに、警察が邪魔になった…それなら、過去に警察に恨みを持った者…母親の交通事故に対して、ずさんな扱いをされた彼が匹敵だったのです。」
「ドゴッ…」
ティラミスの言葉にミルフィーユまでも愕然とする中、ソルベはカオスイーツに飛び掛かり、無言で腹部に蹴りをお見舞いする。
「丁度、ユキがお前に言い残した事があるらしい…「やっぱり鬼よりも悪魔じゃん!ムカつく!!!」…だとさ?」
ソルベの蹴りでカオスイーツの腹部は凹むが、今回のカオスイーツは弾力のあるカオスイーツなのか、凹んだ部分はすぐに元通りになり、反動でソルベは瀬戌警察署に投げ飛ばされてしまった。
「うぐっ…」
「相変わらずの生意気なクチを…いいことを教えてあげます!ブラックビターの拠点に運んだ時に着用していた制服は下着や靴に至るまで、私が処分しておきました!!!」
「な、なんだってーーーーーーー!!!」
相変わらず「悪魔」って言われるのが嫌いな「鬼」さんだった。カオスイーツは戦意を失ってしまったミルフィーユ、プディング…そして、ソルベに柏の葉を降らせ、全員簀巻きの状態に縛り付けてしまった。
「もーーーーーーーっ!!!雪斗のバカーーーーーーーーっ!!!!!」
「さぁ、マジパティどものエネルギーを吸い取り、警察署を潰してしまいなさいっ!!!!!」
ミルフィーユ達を簀巻きにした柏の葉は、黒い火花を放ちながら、彼女達のエネルギーを奪い取り始める。
その頃あずきは、カフェ「ルーヴル」に来ていた。あずきの手には大きめの紙袋がぶら下げられている。
「臨時休業…ですの?」
「夜中にカオスイーツが現れたの。一悟達は浄化のために親父と現場に向かってるわ。」
「ユキ様…無事だとよいのですが…」
僧侶から連絡があり、用意していた雪斗のためのプレゼント…本人が不在の現在、渡すにも渡せない…そう思ったあずきは、ある事をひらめいた。
「勇者様、必ず一悟達を連れて戻ります!!!それまで、この荷物を預かってくださいましっ!!!」
「ちょっと…ライス!!!」
あずきはカフェ「ルーヴル」を飛び出し、スイーツ界の住人・ライスの姿に戻る。そして、自らが生成した爆弾を足元へ投げつけ…
「ライス、参りますっ!!!」
カオスイーツが放つ巨大な柏の葉は、警察署の入口を封鎖し、中にいる警察官達は署の中に閉じ込められてしまった。エネルギーを吸い取られているミルフィーユ達の体力もそろそろ限界だ。
「ジャスト・モーメント!!!ちょっと待ったっ!!!!!」
突然のガレットの声と、勢いよく走る自転車の音…ティラミスが振り向くと、そこには必死にママチャリをこいでいるムッシュ・エクレールと、後ろで仁王立ちをするガレットがもの凄いスピードでカオスイーツに向かっていた。
「はぁっ!?」
何が何だかわからない鬼さんだった。そして…
「鬼さん、こちら♪」
突然ソルベの目の前に煙が現れ、そこからライスが現れた。ライスは小さい爆弾がついた矢を短弓にかけ、カオスイーツ目掛けて放った。
「ゴー、ボンバーっ!!!!!」
矢はカオスイーツに直撃したと同時に爆発し、ミルフィーユ達を襲っていた黒い火花は消え去った。
「今ですっ…大勇者様っ!!!」
「魔界仕込みの魔眼…発動!!!!!」
突然ガレットの額から第三の目が現れ、目が開く。開いた目が光り出すと同時に、ミルフィーユ達を簀巻きにしていた柏の葉が緩み、それと同時にムッシュ・エクレールがこいでいた自転車は、電柱に衝突する。
「ガシャン…」
「今だ、マジパティ!!!みるくの兄ちゃんを助けるんだっ!!!!!」
さりげなく飛び降りるところが、いかにも大勇者様らしい。
「ユキ様にもお伝えになって。制服の件は安心してください…って。」
そう言いながら、ライスはソルベにウインクをした。
「プディング!ソルベ!行くぜ!!!」
「「OK!」」
ミルフィーユの言葉にプディングとソルベが答えると、3人はミルフィーユグレイブ、プディングワンド、ソルベアローを出す。
「3つの心を1つに合わせて…」
3人がそう叫んだ瞬間、3人の武器は光の粒子となり、真っ白な柄に、水晶のような剣先、そしてそれぞれのカラーに合わせた装飾が付いた細身の片手剣・パティブレードに変わった。
「勇者の力を1つの剣に!!!ミルフィーユブレード!!!」
「勇者の愛を1つの剣に!!!プディングブレード!!!」
「勇者の知性を1つの剣に!!!ソルベブレード!!!」
3人はそれぞれのパティブレードを構え、ピンク、黄色、水色の光をまといつつ、カオスイーツに飛び掛かる。
「「「マジパティ・トリニティ・ピュニシオン!!!!!」」」
ティラミスに蹴り上げられ、やっと起き上がったカオスイーツだが、ピンクの光を纏ったミルフィーユにミルフィーユブレードで縦に斬られ、続いて黄色の光を纏ったプディングにプディングブレードで横に斬られる。そして、最後に水色の光を纏ったソルベによってソルベブレードで斬られた。
「「「アデュー♪」」」
3人が同時にウインクすると、カオスイーツは光の粒子となり、本来の姿を取り戻す。そして、プディングはカオスイーツから戻った兄を優しく抱きしめる。
カオスイーツの影響で封鎖された国道16号線と日光街道は、カオスイーツが浄化されたことでカオスイーツに襲われるの状態に戻り、襲われた警察署、アンニンのポルシェ「ディアナちゃん」を覆った柏の葉も光の粒子となって消え去った。
カオスイーツの件が解決し、カフェ「ルーヴル」は無事に開店にありつけた。
「いらっしゃいませー!!!」
ユキも、雪斗の意識の中で仕事内容は見ていたようで、さくさくとこなしている。そんな一悟達の所へ、ある人物がやって来る。みるくの兄の我夢だ。
「こんにちわ、米沢ですけど…妹のみるくはお邪魔してませんか?」
彼の声が聞こえた途端、厨房から黄色いスカーフを撒いた女子中学生が出てくる。
「お兄ちゃん!!!」
「心配…かけちゃったな?」
「ううん!ねぇ…お兄ちゃん、お兄ちゃんはどうして検事を…」
「それはちょっと長くなるから…すみません、少し妹と話をさせてください。」
みるくと我夢は、カフェ「ルーヴル」を出る。
「母さんの事故…納得がいかなかったんだ。目撃者である一悟が、その時の事を話せなかったし…それに事故を起こしたのが、産通省の元関係者…それをその時の瀬戌署の署長が父さんに…証拠も揃っていた、一悟以外にも目撃者がいた…なのに…あの署長は…」
みるくが初めて、兄が母の事故の事で涙したのを見た瞬間だった。そして、2人の所へ一悟とよく似た刑事がやってくる。後ろには彼の部下も一緒だ。
「当時の署長は、かえでさんの事故が自分にとって不都合だったと判断したんだ。当時の署長の
一悟の父は、みるくと我夢に母親の事故の後処理のずさんさを話した。一悟がショックで話せなかったからでも、加害者の身分が理由でもなかった…それは、署長という身分を利用し、好き勝手に事故をずさんに扱った男が、自分にとって不都合な事故だと勝手に判断したからだった。そして、部下と共に一悟の父はみるくと我夢の前で土下座をする。
「本当に、申し訳ございませんでしたっ!!!!!」
「ありがとうございます。
そう言いながら、我夢は一悟の父に手を差し出す。
「あぁ…頑張れよ、大学生…」
この時、みるくは兄がやっと心の底から笑ったと思った。
やがてカフェ「ルーヴル」は閉店時間を迎え、一悟達は店を閉める。店を閉めた後、シュトーレンは冷蔵庫からケーキを持ってきた。
「勇者さま、そのケーキって…」
白いクリームにライオンの飾りが乗ったバースデーケーキ…そして、ここで一悟とみるくは誰の誕生日か理解する事が出来た。
「あ…姉御…このケーキ…」
5月5日は、トルテの誕生日だった。
「ビックリさせようと思って…」
「実際は別の日なんだろうけど、お前とセーラが出会ったのが5月5日の今日…だからな。」
その言葉に、本日の主役・トルテは目を潤ませる。
そして、住居スペースから雪斗が元の氷見雪斗の姿で出てくる。服装はサン・ジェルマン学園中等部の制服姿で、全てあずきが
「み…みんな…」
「雪斗…やっと戻れたんだな。」
「
僧侶様の言葉に、雪斗は苦笑いをする。
「ユキくん、女の子の姿でもちゃんと1人で着替えとかできないと、またユキちゃんが機嫌を損ねちゃうからね?」
みるくの言葉に、アンニンが相槌を打つ。
「今日は私が一悟達を送るわ。エクレールは自分で帰れ!」
「叔父様、高萩家で送りますから…」
僧侶に自分で帰るように言われたムッシュ・エクレールを、あずきが
「そういや、9日が雪斗の誕生日なんだよな?誕生日プレゼントだ!」
そう言いながら、ガレットは雪斗にブレイブレットを手渡す。一悟のとは色違いだ。
「あーーーーーーっ!!!おやっさん、俺っちのはないんスかーーーーーー?」
「お前はあとで人生で一番デカいのプレゼントするから、待ってろっての…」
「それって、用意してないってコトじゃないっすかー!!!」
賑やかなトルテの誕生日会も終わり、ムッシュ・エクレールのアパート。ここに、一華がやってくる。
「えーっと…伯父さんの部屋は203号室…と。」
「ピンポーン…」
「おじさーん!引っ越し蕎麦持ってきたよー!!!」
203号室のドアが開き、そこから中学生が出てきた。
「一華、うるさいよ…」
「生意気になったな…涼ちゃん…これ、お母さんから。おじさんと一緒に食べてね。」
「はいはい…」
一華は
「あっ!!!下妻先生…」
しおらしく階段を降りようとする一華だったが、リムジンから降りた中学教師は…
「明日の練習、作業の合間に見に行くからな?あずき。」
リムジンに乗っている少女に笑顔で話す姿…しかも、リムジンに描かれているロゴはまさしく「高萩コンツェルン」のモノ…一華の目の前は真っ白になった。
「おや…それは彼女からのプレゼントかい?愛されてるね…」
弟の担任は一華にそう言うと、そのまま部屋に入ってしまった。
「なんで…こうなるの…」
その30分後、千葉一華は弟に八つ当たりをぶちかますのであった。
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