第4話「ソルベの危機!マカロンの甘ーい罠にご用心♪」
「今です、ミルフィーユ!!!!!」
「行くぜぇっ!!!!!」
カオスイーツに飛び掛かったと同時に、ミルフィーユは長薙刀の刃先をカオスイーツに突きつけた。
「ミルフィーユパニッシュ!!!!!」
ミルフィーユグレイブがカオスイーツの中央部を貫いた。その刹那、カオスイーツは光の粒子となって浄化される。カオスイーツが消えたと同時に、カオスイーツが破壊した個所は、汚染した部分は瞬く間に元通りに復元される。
「勇者の魂は…」
「本日も晴天なり♪」
チョコレートドリンクのような液体となった川が元通りになった事で、カオスイーツに動きを封じられた人々は歓声を上げた。
みるくがマジパティになって2週間が経った。
「聞いたか?昨日
「知ってる!!!あれもマジパティが退治してくれたんでしょ?」
「プディングとミルフィーユって、めちゃくちゃ息が合ってるよねー。」
通行人がミルフィーユとプディングの話をするたび、ブレイブスプーンを握りしめる雪斗の表情は曇る。本来なら、そこに自分も加わる筈だった。だが、加わる機会もすべて雪斗自身、一悟の前で強がって突っぱねてしまい、その機会を次々と逃してしまう…これほど一悟を気にかけていても、みるくのように振舞う事なんて今の雪斗にとっては理解しがたいことだ。挙句の果てには、今朝の弟の言葉…
「あのピンクのポニーテールのお姉ちゃん、また大活躍なの?カッコいいー!!!」
祖父が読んでいた朝刊の一面に、ミルフィーユの姿が写っていて、その写真に弟は目をキラキラさせた。雪斗の弟・
「僕だって…マジパティなのに…」
ブルーのマジパティ・ソルベもとい、氷見雪斗の苦悩がなくなる日は、果たして何時になるのだろう…
「あずき様、最近千葉一悟とよくお話になられるようですけど…」
2年B組の教室で、雪斗のファンクラブの会員で、あずきの側近である
「幣原…吉田…」
「あずき様、よくお考えなさって!!!千葉一悟はユキ様の仰ることを全然お聞きになりませんわ!!むしろ、ユキ様のお感情をいつも逆なでして…」
「そうです!!!「
吉田と幣原はあずきの前で、一悟の言動を否定する。だが、この言動の大半は憶測で語ったものばかりであり、マジパティの件で一悟について知ろうと決めたあずきにとって、現在の2人の言動は…
「バンッ!!!!!!!!!!!」
あずきは涼しい顔をしながら、自身の机を叩いた。
「千葉一悟をよく知らずに否定するのは、見苦しくてよ?そもそも、千葉一悟を否定してもよろしいのはユキ様ご本人ではございませんか。ユキ様でないあなた方が、千葉一悟を否定する資格などなくってよ?ユキ様の顔に泥を塗る行為そのものですわ!口を慎みなさい!!!!!」
「お…仰る通りでございます…」
もっとも、一悟がマジパティになるまでは、あずきも一悟の事を否定的に見てきた。だが、実際はどうだろう?本当に一悟は雪斗の話を聞いてない?本当に一悟は雪斗の感情を逆なでする?その答えは、スイーツ界の住人であるあずきには見えている。
「一悟はユキ様の話を聞いていないのではなく、ただ単にユキ様が口うるさいだけ…そして、一悟がユキ様の感情を逆なでしているのは違う…ユキ様が一悟の感情を逆なでしていらした…どうしてワタクシは早くお気づきにならなかったのでしょう…」
最近の雪斗の放つ矢も、日に日に迷いがにじみ出ている。顧問や部長に指摘されても、雪斗は「なんでもない」とはぐらかす…あずきから見れば、あれはいかにもマジパティの事で悩んでいる…そう見えた。
「一悟、今日はユキ様から何か言われた事はございまして?思い出すのが嫌なら、無理をしなくて構いませんわ。」
「いや…何にも…でも、授業中ずーーーーーーっとにらんでいたのは確かだな。特に
カフェ「ルーヴル」の2階のリビング…一悟がみるくとあずきを初めて連れてきた際、マジパティの話が他のお客さんの耳に入らないように、そしてココアとラテが自由に動けるようにするため、シュトーレンが合鍵を一悟に渡したのである。
「下妻先生って…一悟とみるくが正解するたびにベタ褒めしますもんねー…その反面、雪斗さんに対しては「氷見ィ、生徒会のメンバーたるものがこんな英単語も読めんのかァ!!!」って煽ってますもんねぇ…」
ラテによる下妻先生のモノマネに、一悟とあずきはうんうんと頷いた。あずきのクラスも英語は下妻先生が受け持っているため、今のラテの言動には理解ができている。
「ところで、今日はみるくいないの~?」
「みるくは父ちゃんの退院の関係で、今日は来れないの!」
「あら…
あずきはため息をついた。あずきの人間界での母親・高萩みぞれは椎名元哉の大ファンで、撮影中の事故で入院したという時は、めちゃくちゃ困惑していたという。みるくが来られないと知ったココアは、顔をフグのように膨らませた。
一方、
「今日も僕のシャベッター、めっちゃバズってるぅ~♪この間の
毎度毎度のムッシュ・エクレールの失態に、ティラミスは苛立っているのだが、マカロンは自身のシャベッターアカウントに夢中で、ムッシュ・エクレールの失態に無関心だった。
「エクレール、もうこのまま自滅コースでしょ~?とやかく言うヒマあるなら、自分のシャベッター気にするもーん…」
「彼はこのまま自滅するだろう」と思っているマカロンにとって、今一番大事なのは、自身のSNSアカウントだった。
「マジパティは今…2組に分かれている…2人の所は、誰かさんが自滅後はティラミスに任せることにして…あとは…」
「そういや、瀬戌にもう1人マジパティいなかった?」
「いるらしいけど、全然姿見せないよね?」
「もう1人のマジパティは幽霊ですね。わかります。」
「おい、幽霊言った奴、控えめに言って〇ね!この間現れたぞwww」
「そしてミルフィーユとケンカしててワロタwwwwwwww」
「ミルフィーユとプディングのCP推してる俺には、青いのはいらない子」
「「【ゆるぼ】まころんに青いマジパティの画像を提供してくれる人」…と。」
タイムラインのマジパティに関する発言を一通り眺めるマカロンは、慣れた手つきでシャベッターを更新する。送信ボタンを押した後、ティラミスのお小言が聞こえた。またムッシュ・エクレールが失敗したのだろう…そう思ったマカロンは、彼の所へ向かった。
「何なんだ?マカロン…またイヤミでも…」
もう二度と動くことのないエスカレーター近くの非常用シャッターの影から、マカロンが顔を出している。
「エクレールぅ…ちょっと教えて欲しいことがあるぺろ☆彡」
ムッシュ・エクレールに対して可愛らしく話すマカロンの口元は、何かを企んでいるような雰囲気だった。
「えー…それでは、昨日の小テストを返却する。今回は序盤ということもあり、1年生のおさらいも兼ねた内容だった。平均点は72点…実にエクセレント!!!そのうち、100点が2人も出た!!!これもエクセレント!」
翌朝の1時間目…2年A組は英語で、昨日の小テストの返却が行われている。
「千葉一悟、君はスペルミスが多すぎる。たとえ小テストでも、答えの確認は行いたまえ!!80点!!!この点ならまだ可愛いものだ!!!」
「うぐっ…」
一悟の手には、〇や×よりも△に数字が付いたモノがたくさん並んでいる答案用紙が返却された。
「
「フン…スペルミスとは無様だな…そんなんでよく…」
雪斗に答案用紙を見られ、思わず一悟は答案用紙をくしゃくしゃに丸めようとするが…
「氷見ィ!果たして貴様は、千葉一悟に対して偉そうな口を叩いていい身分か?」
雪斗に向かって、下妻先生がニヤリと笑った。
「平均点より上の者をけなすとは、余程自身があったようだが…それは、このクラスの今回の最低点の自慢かな?」
「くっ…」
下妻先生の手には、〇よりも×の方が多い雪斗の答案用紙がある。その点数は…
「19点!!!平均点より上の者をけなした
下妻先生の言葉に、クラスメイト達はざわめきだしたが、下妻先生による小テストの返却は続く。
「
みるくは母方の祖父がかつて英語塾を開いていたこともあり、中1の時点で英検1級の資格を持つなど英語の成績は良い方だ。しかし、みるく自身は高校卒業後はパリの製菓学校に進学を考えているため、英語よりもフランス語を学びたいと思っている。
「最後は
この流れは一悟にとっては良いことなのか?悪いことなのか?一悟本人にとっては、正直後味の良くないテスト返却だった。
「はいっ、これがいっくんの今日のお弁当。」
昼休みになり、一悟はみるくと一緒に中庭にいる。二人の間にはラテも一緒である。今日は一悟の母が早番のため、今日の一悟のお弁当はみるくの手作りだ。
「美味そう…いっただっきま~す!!!」
とても美味しそうにお弁当をたべる一悟に、みるくも嬉しそうだ。
「それじゃあ、ラテも…」
みるくはラテが入っているマグカップに、自販機で購入した牛乳を注ぐ。
「はぁ~…生き返りますぅ~…」
ラテはスチームミルクから生まれたスイーツ界の精霊のため、定期的にマグカップに牛乳を注いでもらうことで、精霊としての生命を維持している。それは彼女の恋人であるココアも同じだ。
「それにしても、何で下妻先生は氷見雪斗に対してあんなイヤミを…」
「幸せな飯時にアイツの話すんの…マジでやめて…」
一悟もみるくも、下妻先生の雪斗に対する煽り行為は日に日にエスカレートしているように感じている。下妻先生は元々部活動の顧問を務める意欲はなく、弓道部の顧問ではないし、生徒会の顧問ですらない。それなのに、どうして下妻先生は雪斗をいつも煽るのか…2人はそれが全くわからなかった。
その答えは、教員トイレの個室で明らかになった。
「フハハハハハハハ!!!!氷見雪斗ォッ!今日も無様な表情だったなァ!!!」
トイレの個室では下妻先生が大笑いしている。そして、彼の左手には穴の開いた1つのシルクハット…そう、英語教師の
「それにしても…マカロンは一体何をするつもりだ?この私にブルーのマジパティの事を聞き出すなんて…しかも「放課後を楽しみにしてぺろ☆彡」って…ますます怪しくなってきたぞ…」
ムッシュ・エクレールの心配を尻目に、マカロンの暗躍は既に始まっていた。マカロンは自身のシャベッターを通じ、学校の中にいる男のフォロワーに次々と灰色のマカロンを配っている。
「はぁ~い☆彡みんな、順番通りにならんでほしいにょ☆彡1人1個である事も守ってねん。」
黄緑色のピッグテールに、サン・ジェルマン学園中等部の制服の裾という裾にフリルを付けた少女・
「このマカロンはぁ…まころんのお祈りがぎゅ~っと詰まった手作りマカロンだからぁ、英語の成績急上昇間違いなっしんぐだにょん☆彡」
いかにも眉唾物である。それもそのはず、漆山マコが配っているマカロンは、マカロンのいう事しか聞かない媚薬が混入されているのだから…
放課後になり、雪斗は弓道練習場にむかっている。そこに、あずきが声をかけた。
「ユキ様!本日は弓道部の活動日ではございませんが…」
「今日は自主練習だ。先生の許可はとっている。」
「では、自主練でしたらワタクシも…」
「一人にさせてくれ!!!」
あずきの言葉を遮るかのように、雪斗は声を荒げた。そんな雪斗を見て、あずきは何も言葉を発することができなかった。
「ガラッ…」
中等部敷地内にある弓道練習場に入った雪斗は、更衣室で制服から弓道着に着替え、射場へと赴く。弓を構え、目先にある的へ矢を放つ…1本…また1本…狙いは定めているようには見えるが、段々と的に当たる矢は的の中央からどんどん離れていく…
「ドタドタドタ…」
突然、弓道練習場に入る大勢の足音が響き渡る。雪斗は足音のする方向に弓矢を向けるが、足音の張本人たちは虚ろな目をした男子生徒達だった。
「ど…どういうことだ!?ここは部員以外…」
雪斗の言葉に呼応するかのように、ある人物の声が弓道練習場上空から響いた。
「ごっめ~~~~ん!まころんのグループLIGNE(リーニュ)で、呼び出しちゃった♪てへぺろ☆彡」
黒を基調としたミニスカロリータ服に、緑色のピッグテール…そして手には黒とピンクのスマートフォン…
「僕は「ブラックビター」のマカロン!!!」
まるで性別が変わったかのように、マカロンは突然険しい表情へと変え、可愛らしい口調から荒々しい口調へ変化させる。
「今日はお前の最後だ!!!ブルーのマジパティ!!!!!」
「くっ…」
突然のマカロンの襲来に、雪斗はブレイブスプーンを構え…
「マジパティ・スイート・トランスフォーム!!!!!」
雪斗はマカロンの前でブルーのマジパティ・ソルベに変身した。
「何か腹立つな…あの変身シーン…」
雪斗がソルベに変身する様子をみて、苛立つマカロンは、操っている1人の男子生徒の方を指さし…
「おいでぇ…僕のきゃわいいカオスイーツちゃん☆彡」
マカロンの指先から黒い光が放たれ、指をさされた男子生徒に黒い光が直撃した。黒い光を浴びた男子生徒は身体を緑色のマカロンを巨大化したようなカオスイーツに変化していく…
「ブルーのマジパティ・ソルベ!!!!!」
雪斗はブルーのマジパティ・ソルベに変身した。そして、男子生徒もマカロンカオスイーツに変身を完了させる。
「貴様らに僕の邪魔は…ぐっ…」
マカロンカオスイーツが背後からメレンゲのような泡状の物体を吐き出し、ソルベの両手首にぶつけた。泡は瞬く間に硬化をはじめ、ソルベは手首の宝石からソルベアローを出せなくなってしまった。
「弓矢なんてぇ…物騒なの使っちゃダメダメぇ☆彡」
カオスイーツは丸腰のソルベの真横をかすめるように、的場に泡を2、3発発射した。そして…
「ぐぅっ…」
カオスイーツは吐き出した泡を目掛けてソルベを突き飛ばし、そのままソルベは的場に大の字の状態で磔にされてしまった。腰から上にかけてはやや猫背気味になっている。
「きゃははっ☆彡無様っ!!!実に無様っ!!!!!」
そう言いながら、マカロンはソルベの胸元の装飾をコスチュームごと引きちぎり、そこから胸全体を覆うインナーと、インナーに覆われていない腹部が露わになる。そしてマカロンは黒いナイフを取り出し、ソルベのインナーの中に潜り込ませ…
「お前のプライド…この僕がズッタズタにしてやんよ!!!」
マカロンのナイフがソルベの胸の谷間を駆け上がるように、ソルベの胸のインナーを引き裂き、ソルベは豊満な胸の半分近くをマカロン達の前で晒してしまった。
「ぷるんっ…」
「みんなぁ、ブルーのマジパティと遊ぶ時間だよぉ☆彡」
「くっ…くそっ…」
悔しさと共に胸を晒したことによる恥じらいがこみ上げたソルベに、カオスイーツと操られた男子生徒達が襲い掛かる。
「きゃぁ~ん!!!クラスメイトから提供された動画なんだけど、学校に化け物が現れて、青いマジパティがピンチに!!!他のマジパティ達、早く来て~!!!まころん怖~い…(>_<)」
丁度その頃、特別棟最上階の被服室前の廊下でみるくを待ちながらシャベッターを見ていた一悟は、一つの動画付きのツイートに目が留まった。その動画は顔と局部のほとんどは見えないものの、カオスイーツに襲われるソルベの動画だった。動画を見る一悟に、ラテはある事に気づいた。
「ソルベがあられもない姿なのに、出さないんですね?鼻血…」
「…氷見だから…多分…って、突っ込むトコはそこかよっ!!!っつーか、俺はいっつも鼻血垂らすような奴じゃねぇっ!!!!!」
ムキになってラテにツッコミを入れる一悟の所へ、あずきとみるくが合流した。どうやら2人もカオスイーツの気配に気づいたようだ。
「一悟、カオスイーツが現れたのは弓道練習場ですわ!!!」
「それなら、屋上から行った方が近いな…行くぜ、みるく!!!」
「えっ…う…うん…」
一悟とみるくは屋上へ駆け上がり、ブレイブスプーンを構えた。ラテはあずきと共に特別棟の階段を下りる。万が一に備えてマジパティと合流するためだ。
「マジパティ・スイート・トランスフォーム!!!」
ピンクと黄色の光に包まれた一悟とみるくは、ピンク髪のロングヘアの長身少女と金髪ロングヘアの少々ふくよかな身体の少女に変身し、手を繋ぐ。一悟は光に包まれたみるくの身体のラインにドキッとするが、手を繋いだまま背中合わせになったと同時に二人の身体はコスチュームで覆われ、スカートが穿かされ、さらに一悟の方にはスパッツが追加され、それぞれにソックスとブーツが光の粒子によって穿かされる。チョーカー、アームリング、手袋、イヤリングが付けられると、今度は手を繋いだまま向かい合い、一悟の髪はポニーテールに結われ、もみ上げがくるりと丸まる。みるくの髪は触角が飛び出し、ツーサイドアップともみ上げが縦ロールになり、下した部分は2つに分かれ、リボンで括られる。それぞれの腰に現れたチェーンにエンジェルスプーンが付くと、2人の瞳の色が変わり、変身が完了する。
「ピンクのマジパティ・ミルフィーユ!!!」
「黄色のマジパティ・プディング!!!」
ミルフィーユとプディングはそれぞれ名を名乗り、それぞれポーズを決めると、今度はお互いの手を繋いだ。
「スイート…」
「レボリューション!!!」
「マジパティ!!!!!」
最後はハモって、今回もポーズがバッチリ決まった。屋上のドアをミルフィーユがキックでこじ開けると、弓道練習場の場所を確認する。普段は矢が外に飛び出さないよう安全のため、練習場にネットが張られているが、弓道部の活動日でない今日は、ネットが張られていない。
「あそこか…」
2人はフェンスを越え、弓道練習場の方へ目を向ける。
「プディング、しっかり捕まってろよ?」
「う…うん…」
プディングはしっかりとミルフィーユに捕まり、ミルフィーユはプディングをお姫様抱っこする。プディング…もとい、みるくは高いところがやや苦手なためだ。そして、そのままミルフィーユはプディングを抱っこしたまま屋上から飛び上がった。
「あうっ…ひゃんっ…」
張り付けられたまま、ソルベは操られた生徒達によって身体を貪られている。巻きスカートの下を覆うアンダースカートは既に跡形もなく切り刻まれ、ストッキングもところどころが破かれて、そこからシルクショーツが露わになっていた。最も…巻きスカートもマカロンによってズタズタにされてしまったのだが。それでも操られた生徒達はカオスイーツと共に、上半身と腰をがくがくと震わせるソルベを蹂躙していく…
「
マカロンの荒々しい声が響き渡る弓道練習場を目掛けて、上空から2つの光が激しい勢いで降り注ぐ…
「マジパティ・ダブルキーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーック!!!!!!!」
緑色のカオスイーツの頭上に、ミルフィーユとプディングのキックが炸裂した。ご丁寧にも、プディングは目をつぶりながら右手でスカートを押さえている。
「禍々しい混沌のスイーツ、勇者の力で木っ端微塵にしてやるぜ☆」
「やぁ~ん☆彡ピンクのマジパティカッコいい~ん☆彡黄色い子もきゃわわぁ~ん♪」
わざとらしいぶりっ子モードである。
「プディングサーチャー!!!」
プディングの頭の触角がぴこぴこ動く…これはプディングの能力の一つで、相手の弱点などを調べ上げることができるのである。触角の動きがおさまると、プディングが叫ぶ。
「ミルフィーユ、頭の部分ですっ!!!」
プディングの早い弱点探査に、ミルフィーユはミルフィーユグレイブを構え、再び宙を舞った。
「ミルフィーユパニッシュ!!!!!!!」
ミルフィーユグレイブがカオスイーツの頭上に炸裂し、カオスイーツは頭上から光の粒子となって浄化され、男子生徒の姿に戻っていく。男子生徒の姿に戻ったと同時に、ソルベも解放され、芝生の上で膝をついた。
「さっすが、ミルフィーユ達かぁ~っくいい☆彡ふふっ…また会うのが楽しみになってきちゃった☆彡ばいばーい♪」
マカロンがミルフィーユとプディングに向かってそう言うと、そのままフッと音を立てて去ってしまった。マカロンが去ったと同時に、男子生徒達はバタッと音を立てて倒れこむ。
「…り…がと…」
ソルベがボソッと呟いた。
「…あ?聞こえねぇ…」
腕で胸を押さえるソルベに、ミルフィーユが横目でソルベを見つめる。そんなミルフィーユの姿に、ソルベは逆上し…
「な…何で僕を助けたっ!!!あんな奴、僕1人でも…」
「1人でやった割には、負け確定の劣勢だったじゃねーか!!!それに、俺達はカオスイーツが出たから来たまで!お前を助けるのは、そのついでだぜ!!」
ミルフィーユの言葉に、プディングは黙ってうんうんと頷く。
「それから、これは英語の時の仕返しだ…その姿、めちゃくちゃ無様だぜ!!!そんなんでよく大口叩けるなんて、立派なもんだぜ☆」
そう言いながら、ミルフィーユはソルベに向かって「んべっ」と舌を突き出し、プディングをお姫様抱っこしつつ、練習場の屋根に飛び移り、練習場をあとにした。
どうしてここまで素直になれず、強がるのか…その自分に対する苛立ちと、ミルフィーユもとい、千葉一悟に対する執着心が、ソルベもとい、氷見雪斗を更に追い詰める…
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