第2話 視線
ある夜、ふっと目が覚めました。なにがきっかけで起きたのかはわかりません。布団の中でしばらくじっとしていたのですが寝付けないので、トイレに行こうと和室を出ました。
狭い家に似合いの急階段をぽてぽてと下り、あと一段、となったときです。
視線を感じました。
母が起きたのだろうか、と階段の上を振り仰いだのですが、誰もいません。しばらく待っていたのですが、母が起きてくる気配もありません。
寝惚けていたのだろう、と最後の一段を下りた瞬間。
視界の端に、白い影が引っかかりました。
え? と慌てて振り返ったのですが、階段の上には誰もいません。
けれど確かに白いものが見えました。
トイレに行くことすら忘れて、階段の下に立ち尽くします。寝惚けていたのだろうか。けれどなにか、ふわふわとした繊維状のものがあった。一緒に暮らしているネコは白猫でしたが短毛で、ふわふわと表現するのは相応しくありません。
考えているうちに、頭の中で妄想が膨らんでいきます。どんどんと像を結んでいきます。
──老婆の、髪だ。
そう思いついてしまったのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます