セシルが終わる

マッチャポテトサ

セシルが終わる

 私たちが出逢うのはいつもこの場所ですねと、まるで初月無料の宅配サブスクリプションサービスかのように高らかに申し上げる貴女の背中は、とても艶やかで何というか生暖かい葬式場の空調のようで私はやはり夕方の中で途方に暮れていました。何周目なのでしょうね、本当に。二人の間を永遠のような時間が手繰り寄せる。

この時間を何周も繰り返し記憶が残った我々の、その映画の上映のような夕陽、綽々としたせせら嗤い。恰幅の良さそうな大男が時々、彼が管理する市の虚数党の窓からひしゃげて一言放つ「讒謗長官 牛蒡泥棒 猛攻毒雨 空、まさしく、まさしく、晴れ晴れ」という声と共に大雨が我々の眼中に差し迫り出して、しかしまだ空は赤色であるのだ。我々を護るものなどあるのだろうか。いや、無い。

 獣がいた。鹿空路で草を生やしたぼーぼー、の獣。鹿空路とはこの場合ラカンさんプロデュースの函館レモンラーメンのお味を参照して頂きたい。獣がまだマゾヒスティックな塊として形を現実にしてからは三ヶ月が経つ。その間、夢浜辺ハンター技師がクレオン色のペケペケ棒で夢中になって神庭を創作していた。まるで浜馬坂ァザの帳でもあるかのようであるのか。獣はついに、大雨の中立ち現れたのが本稿の着眼すべきことの一つなのであろう。

 毎秒500mの繋がった卵焼きを製造し続けるその機械が轟音を立てて線路から発進しているのを見つめる時、僕の感情のボルテージは歯に挟まったニラや高速道路の壁とアスファルトの間から生えたたんぽぽのような、不毛で野生的で純情で目立ちたがり屋で、ややがーどまんのコメント欄のようなある意味でのあどけなさを保ちつつ、それらを肉薄化させてそこの上で成り立たせようと、努力する一方、右腕に担いでいる最中であった3袋のデンプンの粉の引力に引きつられて、僕がやって来たのは九州であった。朝早くから並んでいるラーメン屋のチャーシューの部分に浮かぶ虫を少しだけ見つめた後、石井庄八に投げ飛ばされたかのような目力と共に、盆地一帯をくるみ割り人形にする都市計画を市長に提出、後、却下され、私はブロードウェイの僻地にあるもんじゃ焼き屋で泥酔していた。仕方無さそうなその女のくるぶしと左乳房の間に挟まっていたのはもう既に午後になってからであっただろうか。イギリス革命戦争の初期、地中海を歩み続けるカナダ級74門3等戦列艦キャプテンは南下、その隙に私の小さな彩りを添えて東シナ海のとんぼがイオンモールにたどり着く頃には苦しいかな、その大通りにはエレベーターガールの踊り子の大群が「努力撤廃」を訴えて、マイケルジャクソン的な踊りを繰り出していた。時短駄を踏む多摩川周辺のアパート8棟ぐらいが緑色の図書館に建て替えられ、反出生主義に思想を傾けつつ、スティーリー・ダンやあいみょんを口ずさみながら、TikTokで訳が分からない面白いとも面白くないとも言えない訳が分からない動画を撮っている間に、(そんな夢を見ている間に、)俺は戦後を駆け抜けたのであった。

ア ロマの匂い漂う宮中でもまた盛んじられていた清麿のぼーぼーの印籠に、歯磨き粉やマウヤケソを粉末状にして、散り散りになった僕らの夢と共に、もうた出る獣の左肘に一心に彼女は矢を放った。恋は淡く散っていった。結局、獣とは過去の私のことであったのだ。すべからず全てがすんべ。

 全ての意味が消えていく世界で僕らはただ二人で手を繋いでいたかっただけなのにそれすら果たせないのはやはり彼女の母性のためであると、その鳥の排卵したての卵を曲雨の空に投げつけると、卵から鳥が放たれていった。それは音楽や料理のような


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夏休み


6になった君はもう5では無い 


 電車は走る。まるで走るためにあるみたいだ。走るためには無いかのように笑う君の声は、私を走らせるようになっている。墨色、豚平、桶、客体となって緑になったデベソのガキが これ これ これと嘲笑うあの頃の私はまるで違う ん のか。色、が破滅し


 それは音楽や料理のような 

 それは音楽や料理のような時間が手繰り寄せる。いつになっても夕方でぺちゃくちゃぺちゃくちゃ喋る素晴らしい、教会のコンサートで再結成ライブ。永遠の夕方。逃げ出したいのに。獣がぼーぼーと君と愛し合っていた。不確かな妖精が蔓延る 菌のそれが 色を失った記憶の中で鼓動する無愛想な笑みを浮かべた六角形の偉人の肖像画がバイオリンの膨張


 電車は走る。横にある海は田園風景であった。これは比喩では無い。現実であった。そして、あのデベソの デベソのガキが あ これ これ これ これ小便臭いあのデベソのガキが客体となって嘲笑うあの頃の私はまるで違う う あ が ん んの のか。色が、破滅し


 バイオリンの膨張

 バイオリンの膨張の再放送という言葉は夕方にありふれた奇人ほっそり、こす ラバーズは茶色の園児のソファに無礼荘の戸棚で抜歯した。画質悪いのがタンバリンの方です。嫌いだ。いや僕が。アーメン 外面全て ルーローハンのじゃない 雑誌に切り刻まれた365日のどこかだけでいいのにどこにも無いんだ。だから白虎歌の夜だけが訪れない。手札は整っているのに。だから目深に被った帽子の奥に潜める奴らは白色の


 電車は走る。6になって君はもう5では無い。もう6になったんだから全然良いよね、君は知的そうな笑みを膨らませる。そうやって二人で旅に出たんだから。何せ図書館にある哲学書は全部読んだのだからそれはとっても6なことである。6過ぎて7なのでは無いかと館長は言っていた。6としては6気味の6ガールの小粋な6ステップに身を包んだ6的な場合も見たいのだがそれはそれで6じゃ無い気がする。児童書を捲し立てる様はあの頃の僕    あの あのデベソのガキが 小便臭い デベソのガキが これ これ これ これ これ これ これと、嘲笑うあの頃の私はまるで違う。いや、違わない。いつもみたいには絶対にならない。だって今日は君がいるから。6になったから君を連れ出したんじゃ無いのだ。結局いつも僕はこうなっちゃうから君と一緒に今日こそは、 あの小便 いや、絶対に。おや君は手を掴んでくれた。必死に。だって僕がこんなにあの頃になってる、僕は今なんだよ。君がいるから僕は今にいる。そしてようやく電車は浮き始めた。結局いつも全て僕のせいだった。しかし君がいるから、電車は。電車は浮き始めた。そして調子の良さそうに電車は笑っている。よかっただろ。安心した。そしてあの糞みたいな田園風景は海は消えて、まだ見ぬ都会へと電車は空中の中で動き始めた。

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セシルが終わる マッチャポテトサ @mps_mokohima

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