第10話 トマホークブロックV海原

「スタンダートミサイル6,ファイア!」

これで6斉射目…残敵は…数体程度、これなら由美に任せてしまっても問題ない。

「直人!芋虫はどうだ!?」

「ああ!視認できる奴はあらかた殲滅した」

よし、地上の芋虫モンスターも粗方、片付いたと。

「ほぼ掃討完了…か?」

「我々の勝利である!」

「いや、直人、多分まだだ」

「は?いやでももうモンスターはほぼ」

「こういうのにはラスボスがいるのがお約束だろ!」

「…いや、ゲームじゃないんだから」

直人は呆れているが…甘い、甘いぞ直人!


―バリッ!


「「!?」」

と突如、上空から何かを引き裂く大きな音がする。

上を見ると空間に開いた巨大なゲートのようなも。

やべ、半分冗談だったのに、フラグになってしまったか!?

「ほ、ほーら、言っただろ」

「…おいおいマジかよ」

巨大なゲートからのそりと巨大な何かが姿を現す。

「…なるほど、蜂共の親玉ってわけか」

その外見を一言で表すなら巨大な女王バチ。大きさは数十メートルほど。

「で、どうする、ナギ、流石に俺の攻撃力じゃ、あいつは無理そうだぜ?」

「…なに、簡単だ」

「簡単?」

「でかくなった蜂如き…うん、マジで的でしかないからなぁ」

というわけで。

「VLS…96セル、レディー!」

最後は全力で行こうか…目標は大きさ故、極めて鈍重だ、君、飛んでいる意味ある?(困惑)

「さあ、最後は盛大に俺の二つ名「トマホーク海原」の名に懸けて!」

「…それ、自称だろ…しかもダサぇ」

ええい、うるさい、これは由緒正しき二つ名なんだ。

ふん、まあみてろって!

「トマホークブロックVbレディー!」

トマホークブロックVb、トマホーク巡航ミサイルの最新ロッド、ブロックVであり、そのうちバンカーバスター的な能力を付与されたものだ。

目標は極めて近距離かつ巨大、これなら…当たる。

「喰らえ!…これがトマホーク海原の神髄だ、ファイアー!」

ふはは、最新鋭巡航ミサイルによる飽和攻撃!贅沢な使い方だ!どうだ明るくなったろう?

設置されたVLSから次々に発射され命中していくトマホークブロックVb。

「…えげつねぇな」

「ラスボスだか何だか知らんが何もさせんよ」

悲鳴すら上げる暇もなく蹂躙される推定ラスボスさん。たーまやー。

残念、君に見せ場とか、ないです(迫真)。

…いやだってどうせただの大きい蜂だろ?

全弾撃ち尽くし、煙が晴れると数多の巡行ミサイルを受けた巨大な蜂は…全身穴だらけのボロボロで、すでに瀕死の様子だ、そして徐々に落下してくる…俺たちがいる広い交差点目掛けて。

おいおいおいおいおい

「うわ、やべ、逃げるぞ!直人」

「おいおい!倒した後のことを考えてなかったのかよ!?」

「…てぺぺろ」

「うがー!外見が良すぎて普通に様になっているのが更にむかつくぜ!」

なんて言い合いながら急いで交差点から避難する俺たち。

その後すぐ、巨大な蜂の死骸は交差点の真ん中に落ちる。


―ズシンッ!



…[悲報]ラスボスさん、一瞬で討伐される(´-ω-`)

やはり、物量による飽和攻撃というのはえげつない…米国さんが、イージスシステムなんぞ、大層なもの造り上げた理由がわかる気がしたどす。

まあ、先はただのでかい蜂といったが、もしかしたらとんでもない能力を持っている可能性もあったからな、故に、先手必勝、一撃必殺!だ。どこぞの武器商人もそう言っていたしね。

「ふう、危なかったぜ…」

「全くだ」

「…いやお前の所業だろ」

なんて言いながら巨大な蜂の死骸を眺めながら話す俺たち。

「…これが、新時代なのだな?」

と、後ろから声を掛けられる。

振り向くとそこには探索者たちを率いた工藤さんがいた。

「…ああ、工藤さん…さっきは俺が」

「いや、いいのだ…あの言葉で我々は目を覚ました」

そう言った後、工藤さんは後ろを振り返り。

「では…皆!これから市民の方々の避難誘導を開始するぞ!」

「「「おおぉー!」」」

そうして散っていく、探索者たち。

とここで工藤さんが俺にとって衝撃の発言をする。

「そうだ、君たちの活躍はしっかり全国のお茶の間に流れたぞ!」

「…はい!?」

…え、まじで…!?

「ははは、これで有名探索者で時の人だな…まあ、頑張れ!」

そう言って笑いながら歩き去っていく工藤さん。

「…直人、どうやら俺たち平穏な生活は終わりを迎えそうだ…」

「いや、こんなユニークスキル持っていたら、どっちにしろ、何れそうなっていただろうが」

「…まあ、それもそうか」

「そんなことより、さっさと由美と合流しようぜ、あいつも労ってやらないとな」

そうだ、実際、レーダーで確認した限りでは由美は獅子奮迅の活躍ぶりだったからな。

というわけで俺たちは由美を探すべく歩き出す。

「…というかここ数日色々とありすぎたなぁ」

「全くだ…そういや俺なんて一応Bランク探索者なのに一回もダンジョンにはいったことがねぇな」

「よし、色々と事が片付いたら早速ダンジョンに潜ろう」

「おう、ナギ!とんでもないオーパーツを見つけて億万委長者になるぜ俺は!はっはは!」

「いきなり金かよ、ロマンねぇな直人」

「なんだと!?金こそロマンだろ!」

「ふ、浅いな…」

そんな話をしながら…さーて、由美は…えーと…あそこらへんかな。







[仮名称「アルティメットクイーンビー」

推定Sランクダンジョンボスである超大型蜂型モンスター。

広範囲に鉄筋コンクリートすら瞬時に溶かす毒液の雨を展開する。

尚、ナギが瞬殺したため、その凶悪な能力は日の目を

見ることはなかった。]








ここに第二次八王子危機は終結した。

人的被害は初動でモンスターに殺された探索者たちのみ。

史上まれにみる規模のスタンピード、、自衛隊と探索者協会の総力による戦闘、つまり、八王子特別区中心部が焼け野原になる覚悟さえされていた。

しかし、たった三人の少年、少女が強大なモンスターを容易く数十分ほどで制圧した。

数十人の勇敢な探索者の尊い犠牲を出したが、それでも予想された被害よりかなり少ない。まさに奇跡と呼べるもの

彼ら3人はどうにか法的ハードルを回避して、防衛戦力として、取り込めないかと政治家や官僚が本気で考えるほどの存在になった。

無論、探索者としても注目されることとなる

…ダンジョンの世紀における人類の悲願、SSランク超大型ダンジョン「アースホール」攻略を達成するかもしれない探索者として。


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